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入居者はお客様

2014年04月14日 | 不動産

【入居者はお客様】 (住宅新報記事)

「長期満室」のオーナーとは 〝当たり前〟を愚直に実践
[住宅新報 2014年4月8日号]




 賃貸住宅市場が年々厳しさを増す中、これまで通りの事業展開に危機感を覚える賃貸オーナーは増えている。ハードやスペックの差別化で新たな対策を模索する動きもあるが、それらの取り組みは、コストや時代の移り変わりで一定の限界があるのも事実だ。「長期満室」を実現するには何が必要なのか。特別奇をてらったサービスやスペックを導入せずとも、「快適に暮らせるように」という思いを実現すべく、愚直に入居者へ向き合うオーナーたち。その姿勢にこそ、ヒントが隠されているかもしれない。 (福島康二)

 東京都豊島区在住の足立稔さんは、昨年3月に長年勤めていた職場を定年退職し、自宅横で総戸数4戸(2階建て)の賃貸物件を竣工、オーナー業をスタートした。「室内の動線が優れています」「十分な収納スペースを確保しました」「外構の植栽がきれいなのです」と語るその顔には、〝自慢の子供〟を紹介するかのような笑みがこぼれている。「住んでいる自宅よりもよっぽどよい。私こそこの賃貸住宅に住みたい(笑)」。

 西武池袋線椎名町駅が最寄りで、閑静な住宅街に立地。近くに大学や会社もないため、単身者向けだと経営は苦しいと判断。専用面積50m2弱のカップル向けとした。

 鉄骨躯体からの造り付けである「物干しハンガー」は、リビングと寝室、洗濯機上の3カ所の天井に設けた。洗濯後すぐに衣類をハンガー掛けでき、雨の日でもリビングに洗濯物を干すことができる。来客時には洗濯物は寝室に移動。造り付けであるため、コートなど重い物にも耐えられる。また、アクセント小物や写真を展示するためのピクチャーレールは、リビングだけでなくトイレにも用意。外側の玄関扉の横には、解錠のしやすさを目的に、傘やスーパーの荷物袋が掛けられる収納式フックを設けた。「ちょっとした気配りを盛り込んだつもりです」(足立さん)。

〝ちょっと〟が大きく

 物件のプランニングを担当した清水勝氏(娯住創社長)は、「〝ちょっとの気配り〟でも、それが3つ重なると大きな気配りとして入居者に伝わる」と語る。入居者に対して当たり前に提供されるべき「きれいである、清潔感、よい雰囲気、便利さ」といった事柄について、実現できていない物件が多いという。だから、「当たり前のことを当たり前に行えば、差別化できる」と話す。そして、その「当たり前」のことを「深掘り」すると、より競争力のある物件に仕上がるという。

 「よい雰囲気」とするため、外構に丁寧な植栽を設ければ「深掘り」となる。錆びた金網をきれいにふき取るだけでなく、磨きあげれば深掘りにつながる。「自分(オーナー)の好みを物件に反映させるのではなく、〝人〟として嬉しいか、気持ちがよいかといった当たり前のことを、物件で実践できているかが重要」(清水氏)。足立さんは、入居者の引っ越しの際、「トイレットペーパー、スリッパ、カッター、タオル、軍手」などが入った「ウェルカムBOX」を用意した。引っ越し直後にすぐ使えるものを詰めた箱だ。「便利に使えますからね」と足立さん。竣工から1年たった今年3月には、入居者にお礼のメッセージカードを添えてお菓子を配った。「ありがとうの気持ちを伝えたかったから」と話すが、もらった側も嬉しくないはずがない。

 自分本位ではない、入居者の立場を考えた賃貸経営。「経営」よりも、「サービス」という言葉がピッタリと当てはまりそうだ。

「人として尊敬できる」

 JR中央線武蔵境駅バス便立地の場所に、渡辺敏明さん(仮名)の賃貸物件はある。「入居者は神様」と笑って話す渡辺さんは、大手企業の重役経験もある1929(昭和4年)生まれのオーナーだ。

 自宅のリフォーム時期と賃貸物件の建設が重なった際、「もちろん、賃貸の建設費用を優先しました」と話す渡辺さんの傍らで、苦笑いを浮かべる奥様。2週間ほど賃貸物件の外装工事を行った際も、「入居者に息苦しい思いをさせた」とのことで、家賃を半月分返したという。管理を手掛ける坂口有吉不動産の坂口久夫社長は、「渡辺さんほど、入居者のほうを向いているオーナーはいない」と断言する。生活が苦しそうな入居者には、「家賃を下げようか」と坂口社長に提案。坂口社長は、「他の入居者とのバランスを欠くのでやめましょう、とアドバイスしました」と笑う。

毎朝掃き掃除

 賃貸物件を初めて建てたのは1981年、52歳の時。その日から、物件からバス停までの「毎朝の掃き掃除」が始まった。それは、会社の重役となった時期も、どのようなときでも継続した。入居者と特別な交流があるわけではないが、時折交わす朝の挨拶が、日常から生まれる何よりのコミュニケーションだ。

 「ある賃貸物件の建て替えについて相談されたとき、『私が教えを請うのだから、私が出向きます』と言って店舗まで来てくれた」と坂口社長。オーナーという立場以前に、人として尊敬できる人物だと話す。

入居者の声に耳を傾ける

 賃貸オーナーにとって、最も避けたい問題の一つが「入居者の家賃滞納」だ。滞納期間が長くなればなるほど、その回収は困難になる。強制退去や夜逃げなど、お互いにとって不幸なケースも生まれてしまう。東京都豊島区の寿龍馬さん(仮名)は、「家賃滞納」に果敢に挑んだオーナー。3年掛かりで、最長8カ月(合計50万円)の滞納を解決した。

 〝事件〟は、母親が自主管理する物件で起きた。母親からの相談時には、既に半年滞納。寿さん自身も賃貸物件を所有しているが、母親に代わって交渉することとなった。

二人三脚で滞納解決

 会社をリストラされた30代前半の男性が相手。玄関先での数回の立ち話では埒(らち)があかず、飲み屋でじっくりと事情を聞くことにした。なぜそのような状況になったか、今後についてはどのように考えているのかなどを親身に聞き、「二人三脚で一緒に頑張ろう」と返済計画を作成。1万円の上乗せをベースとしたが、時には5000円、時には上乗せがゼロのときもあった。更に、滞納の再発も。それでも寿さんはその入居者を見捨てず、叱咤激励の繰り返しで入居者を立ち直らせた。滞納完済を果たし、二人はカラオケ大会にデュエットで出場するほど意気投合。毎週土曜日は、その入居者が「滞納の利息代わりに」と始めた物件回りの清掃日となっている。

 寿さんは常々、「入居者の声への傾聴」を意識しているという。滞納者への対応にも表れているように、「相手の意見に、まずは耳を傾けること」が様々な問題解決の第一歩だと考えている。

 寿さんは、所有している賃貸物件の「入居者アンケート」をこれまでに2回実施。より多くの声を聞くために、2000円分のクオカードをプレゼントとして付けた。「オートロック解除機械の横に荷台を」「感度がよすぎる自動ドアの改善」「ゴミ置き場に使用済み乾電池を入れる箱の設置」といった要望を実際に形にした。また、寿さんの物件には管理会社が入っているが、入居者から隣室の騒音について相談が入ったときは、寿さん自らが対応。相談者の「声」を丹念に聞いた。

 宅配ボックスの使用について管理会社が注意事項を貼り出そうとした際には、「形式的過ぎる」と感じた文章を、寿さん自らが練り直した。「当事者としての意識をもって、賃貸住宅は経営すべきだと思っています」(寿さん)。当事者になるとは、自らも責任を負うということ。その思いは、入居者に必ず伝わっているはずだ。

一緒に物件を作り上げる

 入居者が物件に携わる領域を増やし、物件に関わっていると意識してもらうことで、「満室稼働」と「良好なコミュニティ」の双方を実現しているオーナーがいる。東京・千歳船橋の安藤勝信さんだ。安藤さんの取り組みを一言で表せば、「入居者と一緒に物件を作り上げる」だ。

 安藤さんは、所有している築20年の物件を募集する際、入居者に様々な内装材を選んでもらっている。国産の間伐材を使ったフローリング材や豊富な種類の壁紙、そしてタイル材など。入居者が持ち込む内装材も利用可能だ。

クレームが来ない

 一般的には、オーナーは入居者からのクレームを極力減らすため、〝無難な〟内装材を使用する。この点について、入居者に「選んでもらう」ことにすれば、より魅力ある物件として内装が仕上がる。国産材のフローリングが変形した場合でも、「自分で選んだ」のだからクレームになることは少ないため、オーナーは安心して提供できるからだ。

 安藤さんは、入居者が内装材を選ぶ際、必ず一緒に打ち合わせする。「一緒にすることでコミュニケーションが生まれる。何度も会うので、入居者と顔見知りにならないはずがない」(安藤さん)。費用については、安藤さんが考えていた通常の造作以上となった場合に、差額をもらうようにしている。また、打ち合わせした部分についての原状回復は不要だ。「ピースを一つひとつはめ込んで、パズルが完成する。そんな達成感があると思います」。

 「住民参加型」の取り組みは、別の築3年の築浅物件でも実践されている。この物件には安藤さんも居住しているが、最初は安藤さん自身で行っていた定期的なイベントや物件の飾り付けに対し、いつしか入居者から「私も参加したい」という声が大きくなった。もともと〝コミュニティ〟を1つのコンセプトにした物件ということもあるが、自然発生的に生まれたその流れが、入居者が物件の運営に携わっているという意識の醸成へとつながっている。

 前出の娯住創・清水勝氏は、オーナー側から見た「参加型物件作り」の重要性を説く。

 「参加型と言っても、オーナーが外壁の色を選ぶことや、設備を決めるといったものではない。それを行うと〝オーナー好みの物件〟になってしまう。大切なのは、顧客(入居者)目線で『事業に参加する』ということだ。例えば、入居者は植栽をどのように位置づけるか、それが賃貸事業にどのように寄与するか、どのような植栽にすれば事業として成り立つかを考えるということ。それを一つひとつ検証し、積み上げることでオリジナリティのある物件に仕上がる」

 理想は、「画一的でない、万人受けする物件」だという。



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要するに、アパート経営は、『入居者は神様』は言いすぎかな、『入居者はお客様』はベースに必要な基本姿勢です。目線を合わせた、ニーズに合わせたサービスの提供が望まれます。

メゾンドコスモス



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