抹茶(パウダー)と湯を茶筅で攪拌すると、泡立ってフワフワになる。
最初に見たときは面白いな~と思った。
実際に自分がやるようになると、最初は上手に泡立たなくて、
でも、慣れるほどに手首の使い方が上手になって、
細かいきれいな泡で茶碗の表面がいっぱいになった。
茶筅を抜くその瞬間、真ん中がふっくらすると、嬉しくなる。
泡立つことになんの疑問も感じてこなかったけれど、
ちゃんと科学的に理由があることを知った。
お茶という植物自体に「泡が立つ性質がある」ってこと、
「泡立てる物質が含まれる」ってこと。
先日ご紹介した月刊誌「たくさんのふしぎ」。
2018年10月号は、”植物でシャボン玉ができた!”
高柳芳恵 文 ・ 水上みのり 絵
この本には、その不思議が紹介されている。
自分でその不思議を楽しみたい方は、本を実際に読んで下さいね。
内容を纏めると、
***********************
作者が小学生一年だった頃のお掃除の時間の話。
雨でどろんこの廊下。
六年生のお兄さんが、近くに生っていた緑色の実をバケツ水に入れ、かき混ぜるとあっという間に泡立ち、それで廊下をこすってきれいにした、という。
「まほうの実みたい!」と作者はびっくりする。
時は流れ、
母になった作者は、子供と遊んでいた砂場で、その時と同じ実を発見する。
持ち帰って家で泡だて器を使って混ぜると、生クリームのように泡立った。
調べてみると、そのまほうの実はエゴノキの実で、泡立つのは”サポニン”という物質によるものだとわかった。
日本で今のような石鹸が使われるようになったのは明治時代から。
それまでは、身の回りにある木を燃やしてできた灰や米のとぎ汁など汚れを落とす力のあるものを見つけ出して活用していた。
特に洗濯によく使われていたのは、サポニンを含む泡の立つ植物、ムクロジやサイカチの木の実だった。
また、江戸時代にはムクロジの実で作ったシャボン液を売る「シャボン玉売り」という職業もあったという。
ムクロジといえば、お正月の羽根つきの羽根についているかたーい玉ですよね?
以前、私もブログに書いたムクロジ。子供が患わないようにという意味の名前。
破魔弓と羽子板の由来
ムクロジの種は羽根に使われますが、その周りの皮は、洗濯や、カイコの糸や道具を洗うのにも使われていたのだそう。
周囲を探して、エゴノキ、ムクロジ、トチノキ、サイカチの4種類のまほうの実を手に入れた作者は、サポニンが含まれるのは実だけだろうか?と疑問を持ち、花、葉、枝までも調べることにします。
結果、時期や植物の状態によっても変わってくるものの、どれも実の部分が一番泡立ちながらも、植物の全ての部分にサポニンが含まれていることが判明。
他にもまほうの植物があるはずだ!
葉が泡立つのを見て思い浮かんだのが、抹茶。
では、同じ茶の葉から作られている緑茶、紅茶、ウーロン茶はどうか?
実験の結果、どれも泡立ちました。
→つまり、茶の葉にはサポニンが含まれる
確かに、ペットボトルの紅茶や緑茶でも、ボトルを振ると上にアワアワが発生しますね。
茶を植物図鑑で調べると、「ツバキ科」。
もしかしたら「ツバキ科」の木はまほうの木かも?
ツバキ、サザンカでも実験。
ツバキの花びらを細かくちぎって水に入れ、激しく振ってみると、きめの細かいしっかりした泡ができ、何日も消えなかった。
花が似ているサザンカでも実験。すると、すぐには泡ただなかったのが、一日置いた後に振ってみるとよく泡がたった。
同じ科の植物でも泡立ち具合は違うことがわかった。
作者の探求はまだまだ続きます。
ある日、台所でダイズを煮ていて、ふきこぼれてしまったのをみて、これは泡?
もしかして大豆もまほうの実?と大豆のと同じ「マメ科」の仲間を探したら、
小豆、ソラマメ、黒豆、金時豆、ツタンカーメンの豆、ツルマメ、カラスノエンドウ、ヤブツルアズキ、カワラケツメイなども泡立った。
マメ科もまほうの実だった。
特に、豆と豆をつつむサヤの泡立ちがものすごく、サポニンが多くふくまれていることがわかった。
サポニンが植物の中でどのような働きをしているのか、科学的にははっきりわからないようだが、
作者自身は、種や果皮などにサポニンが多くふくまれていたという実験結果から、動くことのできない植物が外敵から身を守るために作り出したものではないだろうか、と考えます。
子孫を残すために、なんとか食べられまいと工夫しているのかなあ、と。
サポニンをふくむ植物を沢山見つけた作者、次はシャボン玉づくりをします。
結果、ムクロジ、サイカチ、トチノキの実から、大きなシャボン玉ができました。
しかし、他の植物ではうまくいかず。
シャボン玉をするストローは、最初はプラスチックのものをつかっていたけれど、江戸時代にはないと気づいた作者は、自然にある穴のあいた植物を見つけ、ストローとして使ってみます。
アシやハス、タンポポ、ササ、ムギ、ウツギ、クウシンサイ、ホウレンソウなど。
それら自然のストローは、植物の茎の穴のデコボコにシャボン玉液が溜まりやすく、
プラスチックよりずっとうまくシャボン玉ができたと。
更に、細めの茎のほうがうまくできることも発見します。
サポニンをふくむ植物を見つけて、泡で愉しむ楽しさに嵌った作者は、年中遊びたいと、植物を乾燥させたり、冷凍させたりして、使うようになります。
サポニンは温度を変えても、長い時間が経っても泡立つ性質は変わらないということを発見します。
更に、細い自然のストローを探すことも続けて、直径2ミリほどのメヒシバ、糸ミツバ、ムギなどで
実験を続け、以前はシャボン玉が作れなかったツバキやエゴの実でもシャボン玉が作れるようになりました。
ストローが細いほど吹き込まれる空気が少ないため、シャボン玉が出来やすいということに気づきます。
最後に作者は、植物を使ったシャボン玉あそびはいつもうまくいくとはかぎらない、
工夫して大きなシャボン玉を作ることが楽しく、喜びも大きいと結んでいます。
*********************
この本は2018年10月号ですが、作者が泡立つ植物に興味を持って探したのはその20年も前のことだそうで、今はネットでサポニンと調べればずらっと出てくる植物の名前も、その頃は、一つ一つ自分で調べるしかなかったそうです。
<ご参考>
サポニン 植物 で検索して出てきた写真
https://www.bing.com/images/search?q=%e3%82%b5%e3%83%9d%e3%83%8b%e3%83%b3%e3%80%80%e6%a4%8d%e7%89%a9&form=HDRSC2&first=1&tsc=ImageBasicHover
それにしても、この探求心、すごいと思いませんか?
私は読み返す度に、次々に思い付き、考え、行動する作者に感動しました。
偶然この本を図書館で手にして、パラパラとめくっていて、お茶が泡立つのはサポニンが含まれるからという部分を読んで、即借りて家で読んだのですが、内容もさることながら作者自身に惚れました。
雑誌の最後のページに、作者の言葉があり、そこには、
『アンテナをはっていると、情報はあちこちで見つかるものです。
まほうの植物から「知りたい!」というまほうをかけられた日々がこれからも続くでしょう。』
とありました。
私も茶道について、知りたいと思った瞬間に、色々なところで茶道に関することが目につくようになり、
出会うようになりました。
これからもアンテナをはって、この作者のように沢山のワクワクに出会いたいなと思いました。
まだちょっと続きがあるのですが、、、、
あまりに長くなったので、また明日。
最初に見たときは面白いな~と思った。
実際に自分がやるようになると、最初は上手に泡立たなくて、
でも、慣れるほどに手首の使い方が上手になって、
細かいきれいな泡で茶碗の表面がいっぱいになった。
茶筅を抜くその瞬間、真ん中がふっくらすると、嬉しくなる。
泡立つことになんの疑問も感じてこなかったけれど、
ちゃんと科学的に理由があることを知った。
お茶という植物自体に「泡が立つ性質がある」ってこと、
「泡立てる物質が含まれる」ってこと。
先日ご紹介した月刊誌「たくさんのふしぎ」。
2018年10月号は、”植物でシャボン玉ができた!”
高柳芳恵 文 ・ 水上みのり 絵
この本には、その不思議が紹介されている。
自分でその不思議を楽しみたい方は、本を実際に読んで下さいね。
植物でシャボン玉ができた! (月刊たくさんのふしぎ2018年10月号) 新品価格 |
内容を纏めると、
***********************
作者が小学生一年だった頃のお掃除の時間の話。
雨でどろんこの廊下。
六年生のお兄さんが、近くに生っていた緑色の実をバケツ水に入れ、かき混ぜるとあっという間に泡立ち、それで廊下をこすってきれいにした、という。
「まほうの実みたい!」と作者はびっくりする。
時は流れ、
母になった作者は、子供と遊んでいた砂場で、その時と同じ実を発見する。
持ち帰って家で泡だて器を使って混ぜると、生クリームのように泡立った。
調べてみると、そのまほうの実はエゴノキの実で、泡立つのは”サポニン”という物質によるものだとわかった。
日本で今のような石鹸が使われるようになったのは明治時代から。
それまでは、身の回りにある木を燃やしてできた灰や米のとぎ汁など汚れを落とす力のあるものを見つけ出して活用していた。
特に洗濯によく使われていたのは、サポニンを含む泡の立つ植物、ムクロジやサイカチの木の実だった。
また、江戸時代にはムクロジの実で作ったシャボン液を売る「シャボン玉売り」という職業もあったという。
ムクロジといえば、お正月の羽根つきの羽根についているかたーい玉ですよね?
以前、私もブログに書いたムクロジ。子供が患わないようにという意味の名前。
破魔弓と羽子板の由来
ムクロジの種は羽根に使われますが、その周りの皮は、洗濯や、カイコの糸や道具を洗うのにも使われていたのだそう。
周囲を探して、エゴノキ、ムクロジ、トチノキ、サイカチの4種類のまほうの実を手に入れた作者は、サポニンが含まれるのは実だけだろうか?と疑問を持ち、花、葉、枝までも調べることにします。
結果、時期や植物の状態によっても変わってくるものの、どれも実の部分が一番泡立ちながらも、植物の全ての部分にサポニンが含まれていることが判明。
他にもまほうの植物があるはずだ!
葉が泡立つのを見て思い浮かんだのが、抹茶。
では、同じ茶の葉から作られている緑茶、紅茶、ウーロン茶はどうか?
実験の結果、どれも泡立ちました。
→つまり、茶の葉にはサポニンが含まれる
確かに、ペットボトルの紅茶や緑茶でも、ボトルを振ると上にアワアワが発生しますね。
茶を植物図鑑で調べると、「ツバキ科」。
もしかしたら「ツバキ科」の木はまほうの木かも?
ツバキ、サザンカでも実験。
ツバキの花びらを細かくちぎって水に入れ、激しく振ってみると、きめの細かいしっかりした泡ができ、何日も消えなかった。
花が似ているサザンカでも実験。すると、すぐには泡ただなかったのが、一日置いた後に振ってみるとよく泡がたった。
同じ科の植物でも泡立ち具合は違うことがわかった。
作者の探求はまだまだ続きます。
ある日、台所でダイズを煮ていて、ふきこぼれてしまったのをみて、これは泡?
もしかして大豆もまほうの実?と大豆のと同じ「マメ科」の仲間を探したら、
小豆、ソラマメ、黒豆、金時豆、ツタンカーメンの豆、ツルマメ、カラスノエンドウ、ヤブツルアズキ、カワラケツメイなども泡立った。
マメ科もまほうの実だった。
特に、豆と豆をつつむサヤの泡立ちがものすごく、サポニンが多くふくまれていることがわかった。
サポニンが植物の中でどのような働きをしているのか、科学的にははっきりわからないようだが、
作者自身は、種や果皮などにサポニンが多くふくまれていたという実験結果から、動くことのできない植物が外敵から身を守るために作り出したものではないだろうか、と考えます。
子孫を残すために、なんとか食べられまいと工夫しているのかなあ、と。
サポニンをふくむ植物を沢山見つけた作者、次はシャボン玉づくりをします。
結果、ムクロジ、サイカチ、トチノキの実から、大きなシャボン玉ができました。
しかし、他の植物ではうまくいかず。
シャボン玉をするストローは、最初はプラスチックのものをつかっていたけれど、江戸時代にはないと気づいた作者は、自然にある穴のあいた植物を見つけ、ストローとして使ってみます。
アシやハス、タンポポ、ササ、ムギ、ウツギ、クウシンサイ、ホウレンソウなど。
それら自然のストローは、植物の茎の穴のデコボコにシャボン玉液が溜まりやすく、
プラスチックよりずっとうまくシャボン玉ができたと。
更に、細めの茎のほうがうまくできることも発見します。
サポニンをふくむ植物を見つけて、泡で愉しむ楽しさに嵌った作者は、年中遊びたいと、植物を乾燥させたり、冷凍させたりして、使うようになります。
サポニンは温度を変えても、長い時間が経っても泡立つ性質は変わらないということを発見します。
更に、細い自然のストローを探すことも続けて、直径2ミリほどのメヒシバ、糸ミツバ、ムギなどで
実験を続け、以前はシャボン玉が作れなかったツバキやエゴの実でもシャボン玉が作れるようになりました。
ストローが細いほど吹き込まれる空気が少ないため、シャボン玉が出来やすいということに気づきます。
最後に作者は、植物を使ったシャボン玉あそびはいつもうまくいくとはかぎらない、
工夫して大きなシャボン玉を作ることが楽しく、喜びも大きいと結んでいます。
*********************
この本は2018年10月号ですが、作者が泡立つ植物に興味を持って探したのはその20年も前のことだそうで、今はネットでサポニンと調べればずらっと出てくる植物の名前も、その頃は、一つ一つ自分で調べるしかなかったそうです。
<ご参考>
サポニン 植物 で検索して出てきた写真
https://www.bing.com/images/search?q=%e3%82%b5%e3%83%9d%e3%83%8b%e3%83%b3%e3%80%80%e6%a4%8d%e7%89%a9&form=HDRSC2&first=1&tsc=ImageBasicHover
それにしても、この探求心、すごいと思いませんか?
私は読み返す度に、次々に思い付き、考え、行動する作者に感動しました。
偶然この本を図書館で手にして、パラパラとめくっていて、お茶が泡立つのはサポニンが含まれるからという部分を読んで、即借りて家で読んだのですが、内容もさることながら作者自身に惚れました。
雑誌の最後のページに、作者の言葉があり、そこには、
『アンテナをはっていると、情報はあちこちで見つかるものです。
まほうの植物から「知りたい!」というまほうをかけられた日々がこれからも続くでしょう。』
とありました。
私も茶道について、知りたいと思った瞬間に、色々なところで茶道に関することが目につくようになり、
出会うようになりました。
これからもアンテナをはって、この作者のように沢山のワクワクに出会いたいなと思いました。
まだちょっと続きがあるのですが、、、、
あまりに長くなったので、また明日。