茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

人体の不思議展

2006-06-07 23:42:30 | 美術館・展覧会
 横浜産業貿易ホールで開催中の“人体の不思議展”に行ってきた。
 プラストミック人体標本を見せる展覧会。プラストミック人体標本とはホンモノの人間から水分を抜いてアセトンで特殊加工した死体標本のことで、それを様々な角度から見せるという新しい試みのインパクトのある展示だった。
 標本は全て生前からの意思に基づく献体によって作られていた。養老孟司さんが標本を紹介したテレビ番組を見てはいたが、展示会では、立った姿、座った姿、輪切りにされた姿、縦切にされた姿、臓器そのものなど様々な姿の標本があった。輪切り、縦切りはよく健康診断で見る断層写真の実物がそこにあるわけで、死体をそのように切ってしまうことには個人的には不快感あり、グロテスクでもあって複雑な気分になった。しかし、標本からは内臓や筋肉、筋、骨格、神経、血管の作りがよく見てとれ、それらがいかに精巧に、緻密に組み合わさって人間が構成されているかは実感できる。
 実際触ることができる標本もあった。恐る恐る触ったが、固い乾燥した感じだけで、プラスチックで作ったのではないかと思えるほどだった。最近、核家族化が進んで人の死に実際触れる機会がないので、こういう展示会で人の死について感じるのもひとつの試みかと思ったが、これはやはりあくまで標本であって、本当の死や死体を感じ取る助けにはならないと個人的には見てみて思った。死体の本当の冷たさや臭いを感じとることはできないのだから当然ではある。
 とはいえこの標本、乾燥していて人間というリアル感には少々欠けるものの、ホンモノの死体があらゆる形にされ飾られているわけで、夜の会場はさぞ異様な雰囲気だろうと想像した。
 展示の合間に、血液は骨髄で絶えず作り直されていて、赤血球は120日、白血球は7日、血小板は10日で入れ替わる、一人の人間の血管を繋ぐと地球二周半(約10万キロ)にもなる、心臓のドクンドクンという音は心臓にある4つの弁が閉じる音などの説明があった。それが標本もかつてはそうやって動いていたのだと感じる一助になればいいが。
 最近、脳や人体への関心が高まっているのでこういう展示会が実現したのかもしれないが、もう少し見せ方を考えてもよかったのかなとも思った。

 展示会を一巡して外へ。日差しが眩しかった。少し歩いて中華街に向かったがすごい人、どのお店も長蛇の列。
 食事を諦めて駅へ向かう道すがら、献体した人ってどんな人だろう、胎児の標本もあったけど、それはどうしたのだろうと考えてしまった。確かに研究の役には立つかもしれないし、永遠に残るけれど、私は多分できないだろう。あくまで個人の意思だけれど、家族親戚でも私は辛いかもしれないと思ったりした。
ご興味のある方はどうぞ。以下HPから標本もいくつかご覧になれます。
http://www.jintai.co.jp/shousai.html


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10 コメント

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人体は不思議? (酒徒善人)
2006-06-08 19:00:59
私も昔、見に行ったことがあるのですが

人体って不思議なものですよね。

進化の過程で・・・と説明すればそうなのだけれど・・・神様の成せる技と思えることも多いですよね。

大英博物館ではエジプトのミイラを覗き込んでいました。
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あの展示に・・・ (ゆりかもめ)
2006-06-08 19:58:38
あの「人体の不思議展」に行かれましたか。

とってもすごいと噂には聞いています。京都でも開催されていましたが、私はちょっと行く勇気がありませんでした。

お医者さんは、常にあのような人体の中を見て仕事をしているわけで、大変だなぁと思います。私にはできないでしょうね。

やっぱり、きれいな茶花やお菓子を見ている方がいいです。

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夜の会場 (ukiki01)
2006-06-08 23:29:04
うわー。

考えたことなかったけど、

うわー。

警備の人とか……ひー。

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わたしも ( 草君)
2006-06-09 11:48:08
行ったことがありますよ。

会場を回りながら、来た事を後悔した覚えがあります。。

すごかった。。。
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ホルマリン漬け (ジジのママ)
2006-06-09 19:45:25
学生時代に人体の臓器のホルマリン漬けを手にした事があります。

薬学部の人体解剖学の一環で実際に持ってみて重さを感じるという主旨だったと記憶してます。

ママは結構好きなんですよ!

人間の体の不思議さは神秘的であり巧妙な造形だと思います。

行ってみたいなぁ・・・でも、夜はちょっと!

昼間に大勢にぎわってる時がいいですね♪

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人体は不思議 (m-tamago)
2006-06-09 21:25:10
酒徒善人さんもご覧になりましたか。

本当にこれほど精巧に緻密にできているってすごいと思いました、特に神経や血管、こまかく枝分かれして美しい。

神のなせる技ですね。

エジプトのミイラは小さい頃に国立博物館で見た覚えがあります。子供にはちょっと強烈だった。。。。

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インパクト (m-tamago)
2006-06-09 21:28:18
ゆりかもめさん、行って参りましたよ。

ナマではないので、思ったよりもショックは小さかったのですが、それでも感じることは多かったですね。



>やっぱり、きれいな茶花やお菓子を見ている方がいいです。

私もその方がいい!血とか内臓、手術風景とかだめです。。。。

















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夜の会場 (m-tamago)
2006-06-09 21:30:05
ukiki01ちゃん、夜はすごい恐怖空間かと思いますよ。

私は警備員にはなれない!!





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やっぱり (m-tamago)
2006-06-09 21:31:45
草君さんもいらっしゃいましたか。



>会場を回りながら、来た事を後悔した覚えがあります。。

確かに話題になっているので行ってみましたが、なんとも複雑な気分でした。

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ホルマリン漬け (m-tamago)
2006-06-09 21:37:45
ジジのママさんは本業でしたね。。。。



>学生時代に人体の臓器のホルマリン漬けを手にした事があります。

すごい経験だ。私はその方がショックかも。今回の標本は乾燥しているので生きているって感じがあまりしないのです。ホルマリン漬けの方が柔らかくてリアルだと思う。



>人間の体の不思議さは神秘的であり巧妙な造形だと思います。

本当にそうだと思います。機能的かつ美しいフォルムですよね。これだけ精巧なものを簡単に傷つけたら元には戻らない、大変なことだと皆知るべきだと思いました。実は傷ついた時の回復力もすごいものですけど~。





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