父の日記 昭和17年

昭和17年の日記 
ようやく召集解除 神武屯を発ち東京へ向う

昭和17年7月5日

2005-07-05 | 昭和 (父の日記 昭和17年) 
5日 (日) 晴れ 大分暑気和らぐ

昨日は警戒警報が出た程の事もなく無事通過、隊長
副官、青木大尉等の敵潜水艦に対する恐怖心を
笑ふかの如く海は相変らず静穏。潜水艦でも敵機でも
出たら出たまでの事。船が沈んだら沈んだまでの事。我々はどうしや
うもないのだから仕方がない。舟は帆まかせ帆は風まかせだ。
慌てる事はない。
今日昼頃内地行の船は針路を右に取り我々と別れてしまふ。
護送して来た馬公の軍艦も帰ってしまふ。これからは上海から
来た小さな砲船が護送して呉れる。上海沖にはまだ至ら
ず。今晩あたりか。今晩が過ぎれば危険区域も大分離
れるとか。
腹工合は相変らずよくない。腹が減るので食事はする。
それが却っていけないかも知れない。
昨夜から大分涼しくなった。海水の温度は24℃とか。
船室にゐてもそれ程汗をかゝなくなった。マニラから見れば
もう旅程の半分位来たか。
ラヂヲは工合が悪くてよく聞えぬ。目的地迄あと幾日
かゝるのかと思ふとがっかりする。
午后カメラを出して五、六枚撮る。

人気blogランキング 元祖blogランキング