30日 (土) 晴れ 暑し 夜夕立あり
今日はすっかり熱も下がり気分も全快。
朝、自動車の事で両大隊へ連絡に行く。押収自動車
を内緒で持ち帰るのは各大隊一、Rst一、R本一のみと
する事にR長が決められる。R本では結局Cadeluck
を隊長車として持ち帰る事にする。
今日は十六時から聯隊本部の将校の会食がある。十
時頃出発。第二中隊に転任した相川中尉の送別会も
兼ねてゐるわけだが未だ相川中尉に其の旨を伝へてない。
今両大隊へ僕が連絡に行ったときに伝へやうとしたが既に
相川中尉はManilaへ外出してしまってゐて伝へる事が出来
なかった。乗用車で先に行ってManilaで相川中尉をみ
つけて伝へて呉れと青木大尉に言はれる。病気上りの者に
そんなにやらせなくてもよささうなものだが。結局乗用車
を出し、田中少尉と一緒に乗用車で先行する。相川中尉
の行きさうな所、第一軍人会館、サクラ食堂、等を廻って歩い
たがみつからず、Escortaにもゐない。ぐづぐづしてゐる中に
昼を過ぎてしまふ。相川中尉をみつけるのは一時やめて、平
岡病院に入院してゐる白神軍医を見舞ふ。モノスゴキアバ
ラヤの伝染病棟に数名の将校と共に入ってゐたがすっかりや
せてしまってゐた。病勢はもう進行せず快方に向ってゐるとの事。聯
隊段列の軍医末広中尉も同じ所に入ってゐたがもうすっかり
元気だった。
病院を出て、新井中尉と待ち合わせのEscortaの食堂
へ行くと兵がゐて将校は皆此方に集ってゐますからと
案内する。イサクペラル街のSpanishの食堂
副官以下皆集ってゐる。此処で昼食。其の后会食の
時間まで買物をする事にする。相川中尉は偶然に操縦
手が知ってゐて迎へに行きイサクペラルの食堂で一緒になる。
今日の僕の買物は此の間の大○バザーで買った洋服の生地
Palm beachで背広を仕立てるのと、靴も一足買ふとそれだ
け。洋服の仕立ては新井中尉の仕立てたSpanishの生地の
店、三ツ組、裏をつけないで30P、裏をつけると46ペソも
かゝる。随分高いものだ。生地代よりも仕立て代の方が高い位。
靴は、ゴム底の黒の短靴を買ふ。厚い、黄色のゴム底で
随分保ちがいゝらしい。
十六時に新亜州飯店で会食。支那料理ももう倦き
た。約一時間。静かな誰もあまりしゃべらない退屈な会
食だった。終った後の行動は副官は一人で帰る。青木大
尉h荒井、野淵をつれて帰る。あとに若いもの許り残り、少しあ
そんで行かうと言ふ事になる。ツハモノは江波戸中尉、小宮
田中少尉、大谷軍医、及山路通訳。夕方迄時間をつぶす
のにイサクペラル街の喫茶店へ行く。此処のManagerに
山路さんが面白い所を聞いて出かける。乗物は指揮車
海岸の散歩道をずーっと東の方へ。一番先に行ったのが
海岸に向った、高級キャバレーカサマニーニア(CasaMa
nana)、立派な建物でなかなか優秀なキャバレーだ。
まだ時間が早いために客も少ないし女達も少かったが
優秀なSpanishやMixed等がゐる。30分許り
で引きあげる。次はもっと奥の方へ入ってEl Rantito
此処もSpanishのキャバレーらしく、Mixed風の
所だ。此処ではまだ時間が早いためにBandが揃
はず、入らずに帰る。此の近処にBar Nichevoがある
Russian Cafeだ。もう此の辺を切り上げて帰途に着く。
此の附近はこんな風なCabarayが道の両側に
澤山あるやうだ。
今度は田中少尉の好きなCinderella Nite Club
State Buil.の五階。此処では十時近くまで
遊ぶ。大谷さん迄ダンスを始めて、実に愉快。雨が
猛烈に降る。最后はBarintawakの某Hotel,
操縦手の野路が知ってゐたと言ふ所。マニラの郊外、バリ
ンタワクにあり、周囲は全くの田舎で気分のいゝ所だ。音楽
はなし飲み物もなし、Girl Onlyだ。此処で最后のPa-
ssionを盡くして十一時頃帰途につく。此のHotelは
Avenue Hill's Hotelとか言ひ、優秀なPilippinoや
Mixedがゐる。Technichの濃厚な事。日本人には続か
ぬ。Macabebe着十二時。そっと寝に就く。
来月分の給料を貰ったがそれももう残り少なになった。
Manilaではいくらあっても足りない。
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