マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




 報道によると、欧州連合(EU)の加盟国27ヶ国の常設協議機関「常駐代表会議」(COREPER)は3月10日、欧州委員会から提案されていた大西洋クロマグロ(学名 Thunnus thynnus)の取引禁止について、これを支持することで一致。3月13日から25日までカタール・ドーハで開催されるワシントン条約(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora、CITES)締約国会議で、27ヶ国が一致して取引禁止を主張していくこととなりました。

(写真)常駐代表会議が開催された欧州連合理事会総事務局庁舎(ベルギー・ブリュッセルのシューマン地区)((撮影:欧州連合理事会総事務局)
 
 この問題は、以前の記事でも取り上げたように、2009年7月28日にモナコ公国がCITES事務局に取引禁止を提案したもので、Ⅰ~Ⅲがあるワシントン条約附属書中、附属書Ⅰには絶滅のおそれのある種で取引により影響を受ける種が登載され、これに登載されると、商業取引が全面的に禁止されてしまいます(動物園や大学などでの展示、研究といった学術目的での取引は可能。)。登載の決定には全加盟国の3分の2以上の賛成が必要ですが、モナコ案にはEUのほかアメリカやスイスも同調しており、賛成国が広がりつつあります。仮にワシントン条約にクロマグロが登載されても、日本政府が国際法上の「留保」(国際法上、条約の特定の項目について、効果を除外する旨の宣言。)を付すれば、日本自身については条約上の規制が及びませんが(実際に、日本は条約加盟時に、9項目について留保を付しており、現在も一部継続中。)、大西洋クロマグロの場合、輸出国側も同様に留保を付けてくれなければ、日本単独で留保を付けても食用輸入はできなくなります。

 EUが、規制賛成の方針を、各国閣僚級からなる欧州連合理事会ではなく、その下の大使級会合(「常駐代表会議」は、EU加盟国の常駐代表部大使からなる事務レベル最高の意思決定機関。仏語の「Comite des representants permanents」の頭文字をとって「COREPER」(コレペール)と呼ばれます。)で決定したことは、この問題でEU各国がそれほど大きな異論もなくこの問題で統一歩調をとることを決めたことを意味し(当初はマルタ、スペイン等一部の加盟国が難色を示していました)、今後、日本側がこれを覆すのはかなり難しそうです。規制反対派が軟化した背景には、EU議長国のスペインが、規制実施を1年先送りして激変緩和措置をとったり、EU域内での取引を「国際取引ではない」と位置づけて「抜け道」を用意したりすることで、統一された立場を取りまとめたことがあるようです。EUの執行機関である欧州委員会のポトチュニク環境担当欧州委員(閣僚級)も、2月22日に禁止賛成を表明しており、禁止に向けたとりまとめを後押しした格好です



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