(写真)野原のマオ猫
最近、我が家のマオ猫を見て思ったのは、「やっぱり、キジトラ猫の毛って、迷彩なんだなあ」ということです。


(写真)「戦闘装飾制服」(BDU)の森林地模様M81(上)と、BDUを着用して訓練する米陸軍州兵(下)
一般に、「軍服」「迷彩服」というと、すぐに思い出されるのはアメリカ軍のM81ウッドランド(森林地)用迷彩で、1981年9月から普及が始まった「戦闘装飾制服」(Battle Dress Uniform、BDU)等に使用され、米4軍(陸海空軍・海兵隊)で使用されていました(迷彩服そのものは19世紀初頭から存在し、第二次大戦ではドイツが一部部隊で使用。)。緑色や茶色を配色したこの迷彩は正に森林地帯用のもので、更に湾岸戦争当時は、「砂漠迷彩」(通称、「チョコレートチップ」)という、「ウッドランド迷彩」とは異なる茶色、黒色とカーキ色のものも多用されました。

(写真)米軍の「砂漠地用戦闘装飾制服」(DBDU)
陸上自衛隊は、米軍迷彩服とパターンは似ているものの少し色がくすんだ?「戦闘服」を導入していますが、海外派兵が憲法上禁止され、海外派遣任務が少なかったため、「砂漠迷彩」のような制服はありませんでした。
もっとも、この「ウッドランド迷彩」、冷戦時代の欧州戦線ならともかく、最近米軍が派遣されるイラクやアフガニスタンでは明らかに目立つため、米陸軍では2008年4月を以って、また米空軍では2011年までに使用を中止。代わって2005年4月から、「陸軍戦闘制服」(Army Combat Uniform、ACU)という新迷彩服が導入されました(なお、米空軍は「空軍兵戦闘制服」(Airman Battle Uniform、ABU)を、米海兵隊は「海兵隊戦闘用制服」(Marine Corps Combat Utility Uniform)という新迷彩服を導入。)。


(写真)米陸軍のACU(上)と米海兵隊の新迷彩(下)
このACUの特徴は2つあり、1つは1980年代から徐々に流行し始めた「デジタル迷彩」(従来よりも細かい点で色を表現)を採用していることと、いまひとつは森林地、砂漠地、市街地を問わずどこでも迷彩効果を発揮できる「全地勢迷彩」(All Terrain Camouflage又はUniversal Camouflage Pattern )となっていることで、実際のACUを見ると、従来よりも薄い色使いで、緑というより灰色に近い印象です(但し、米海兵隊の新迷彩服は、デジタル迷彩ではあるが、「森林地」と「砂漠地」の2種類を区分。また、空軍の新迷彩服は、色使いはACUと似ているが、柄は「虎柄迷彩」(Tiger Camouflage))。


(写真)ACUを着用した米陸軍兵士(上)と、カナダ軍が採用したデジタル迷彩(下)
「全地勢迷彩」は最近の流行で、ACUには採用されなかったものの、米軍特殊部隊や一部の空挺部隊では、米クレイ・プレシジョン社が開発した「マルチカム」(MultiCam)という別の種類の「全地勢迷彩」も使っています(クレイ社のホームページでこの「マルチカム」の使用写真を公表していますが、不思議なことに森でも砂漠でもその迷彩効果は十分で、目をよく凝らして見ないととこに兵士が隠れているのか全く分かりません・・・グラデーションを多用しているため、従来のものよりも一層迷彩効果が高いようです。)。このほか、米陸軍のACUには、敵味方識別用のICチップや赤外線抑制コーティング(但し、アイロンをかけるとこの赤外線抑制効果は失われてしまう。)といった最新技術が盛り込まれているとか。


(写真)クレイ社の「マルチカム」(上)と陸上自衛隊の「迷彩服2型」(下)の迷彩
ちなみに、陸上自衛隊でも、1992年から「迷彩服2型」という新しい装備を導入しており、こちらはデジタル迷彩というより単に色使いが細かくなったウッドランド迷彩のような色使いです。


(写真)マオ猫の迷彩?パターン(上)と、実際に自然に溶け込んだマオ猫(下)。「ウッドランド」というより、「全地勢迷彩」に近い?
一方、我が家のマオ猫も、米軍の「ウッドランド迷彩」と比較すれば茶色が強いものの、これが森林地帯の土壌や秋のヨーロッパにはよくマッチ。黒のタイガーストライプ(軍服にも、虎や猫に似たこのストライプを入れた「虎柄迷彩」(Tiger camouflage)なる迷彩パターンが存在。)が枯れ木の枝や影を表現するので、それこそ自衛隊の明るい森林色の迷彩服よりも、迷彩効果は高そうです・・・。