マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




 世界屈指の警察と治安を誇り、身代金誘拐といえば刑事ドラマの中ぐらいでしか起きない日本。それでも、アフガニスタン、イラク、イエメン、北西アフリカ諸国あるいは中南米諸国に目を転じてみれば、日本人を含む外国人がテロリストや地元誘拐犯に誘拐される事件が後を絶ちません。被害者本人やその家族にとっては、誘拐被害に遭う等というのは悪夢以外の何物でもありませんが、一方で強い刺激を求める大人が増えたのか、報道によれば、最近、フランスで、誘拐事件を疑似体験できるサービスを提供する会社なるものが設立されたそうです。

 「ユルティム・レアリテ」(Ultime Réalité)(Ultimate realityの意)と称するこの会社、フランシュ=コンテ州ドゥー県ブザンソン市に本社を構え、社長は弱冠28歳のセクサス(Georges Cexus)氏。2月4日付「ル・ポスト」紙の記事「900ユーロで誘拐してもらえるのって、どう?」によると、取材を受けた社長は、「当社では、お客様と契約を締結した後、2か月間、お客様はいずれかの時点で誘拐されることを知っているが、正確にいつなのかは知らない。」「その後、お客様は、拉致され、監視下に置かれ、緊縛され、覆面をつけさせられ、洞窟の奥でストレス下に置かれる。」と語っている。社長は続けて、「(このサービスの)目的は、誘拐被害者に考える時間を与えず、これがお遊びであることを忘れさせること。被害者は、本当のストレス状態に置かれる必要がある。」と話しており、1月に設立したばかりだが、2月上旬には初めての顧客を獲得。今では日に2件ほど問い合わせがあるとか。

 「ユルティム・レアリテ」社の公式サイト(http://www.ultimerealite.fr/)によると、同社が提供する誘拐体験には、「First Kidnapping」(4時間コース)、「Real Kidnapping」(10時間コース。自宅近くや飲食店の前からでも決行)、「Kidnapping sur-mesure」(自由オプションコース。身代金要求等も含めることができる。)の3種があるほか、追跡体験にも、「First Manhunt」(追跡者又は被追跡者のいずれも体験できる)、「Real Manhunt」(2日間にわたり逃亡。追跡側は犬も使用)、「Manhunt sur-mesure」(自由オプションコース。追跡団の指揮、妻との逃亡、島からの脱走、陸上のみならず海上での逃亡もあり)の3種を用意。報道によれば、誘拐4時間のコースでお値段は900ユーロ(約11万円)、10時間のものだと2500ユーロほどになるとか。なお、同社は、誘拐も追跡も面倒だという客のために、最近、「密輸用高速モーターボート体験」(GoFast adventure)も販売中のようです(価格不明)。

 顧客は、事前に、同意書や健康診断書等を提出する必要があり、会社は、より緊迫感を出すために様々な演出を凝らしてくるとのことですが、当前のことながらフランス警察は、本人が同意しているなら合法だが、事情を知らない周囲の人たちのために予告はしてほしい、と話しているそうです。

 それにしても、11万円払って、犯罪被害体験とは・・・。アメリカに対抗心を燃やしつつ、その実、アメリカ人も顔負けの遊びをやってしまうのが、フランス人なのでしょう・・・。



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