マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




 6月1日、日本では改正道路交通法の施行に伴う後席シートベルトの義務化、高齢者マーク掲出の義務化が実施されましたが、フランスでは、「シャテル法」の追加改正に基づくFAI(Fournisseur d'acces a Internet、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP))等の電気通信事業者の規制強化が実施されました。

 「シャテル法」とは仏の消費者保護に関する法律で、提唱者であるシャテル(Luc CHATEL)(現)産業・消費担当国務長官(経済・産業・雇用大臣の部下)兼政府報道官の名をとってこう呼ばれています。2007年12月21日に議会で可決・成立したシャテル法改正法は、主として電気通信事業者に関する規制を強化したもので、具体的には次の内容を含んでいます。

契約解約の容易化
 2年間の契約を期限前に破棄する場合、違約金を残った契約期間の料金の25%に制限。
 10日前に電話予告を行うことで解約できる。保証金の10日以内の返還。
ネット販売の規制
 インターネットサイト上で販売する物品について、配送期限及び消費者側の取消権を明記する義務を追加。配送期限を超過したときは、消費者は、契約そのものを解約できる。
サービス有料化の規制
 契約当初に無料だったサービスが有料化された場合、インターネット事業者は、予め顧客の同意を得る必要がある。
電話相談窓口の料金規制
 ヘルプデスク等の電話相談窓口の通話料金は、最高でも市内通話料金以内としなければならない。また、オペレーターに繋がるまでの待ち時間は原則無料としなければならない。

 競争・消費・不正防止庁(DGCCRF。経済・産業・雇用省傘下の行政機関で、2部7課を擁する)によれば、最近の消費者苦情相談の実に30%が電話・インターネットに関するものだそうで、今回の法改正もそうした傾向を受けて実施されたもののようです。

 もっとも、消費者団体の側は、今回の法改正を歓迎しつつも、消費者保護には不十分であると指摘しています。例えば、フランス・テレコム系の「オランジュ(Orange)」は、法改正を受けて、フランス・テレコム社提供の固定電話から電話相談窓口に架電した場合、通話料金を市内料金とするとしていますが、自社の「オランジュ」携帯電話から架電した場合は、それ以上のお金がかかります。「ヌフ・セジェテル」(Neuf Cegetel)」社は、依然として1分34ユーロセントを課金している他、「ニュメリケーブル(Numericable)」(ベルギー、ルクセンブルグで「コディテル」ブランドを展開する企業。Ypsoホールディングスの子会社。前進の「ヌース・ニュメリケーブル」社は顧客からの苦情が多く、競争・消費・不正防止庁の監視対象になっていた)も、同社の電話回線からの通話については市内通話料金を適用するとしており、電話相談窓口を完全に無料としているのは「アリス」(仏イタリア・テレコム(Telecom Italia France)が提供するサービス)のみとなっています。
 また、待ち時間の無料化にしても、法律は「(契約者が)電気通信事業提供者に対して、電話によるサービスを、契約した回線を用いて行うとき」に無料になるとしており、多くの事業者が、異なる事業者の回線を利用して相談電話窓口に架電する場合(例えば、「ヌフ・セジェテル」のインターネット接続に故障が生じて、「オランジュ」の携帯電話で「ヌフ」の電話相談窓口に電話するとき)、待ち時間であっても市内通話料金を適用しています。通常、自分の加入している通信機器に問題が生じれば、当該機器を利用して電話相談窓口に電話することは困難なので、結局利用者は、待ち時間であっても市内通話料金を支払わされるという仕組みです。

 実際にも、ベルギーやフランスにいた時代、こうしたネット事業者の電話対応はとても不便、不親切だった記憶がある訳で、例えば「ニュメリケーブル」グループの「コディテル」の店舗(ブリュッセルに1軒しかない)など、待たされた客が店の外に溢れ、しかも警備員が入口に仁王立ちになって、店内の椅子席に入りきらない客を店外で待たせるという対応でした。欧州のネット環境の改善はまだまだ先のようです



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