月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

信夫文知摺(古今和歌集、百人一首)

2011年11月11日 | 謡蹟
曹洞宗香澤山安洞院(福島:福島市山口)

謡蹟というよりは、歌枕だろうか。 

文知摺石は、
「みちのくのしのぶもぢずり誰故に乱れむと思ふ我ならなくに」(古今和歌集)
「みちのくのしのぶもぢずり誰故に乱れ初めにし我ならなくに」(伊勢物語、百人一首)
の歌で有名だが、この作者は河原左大臣融ということになっている。

でも、お能の「融」には出てこないようだ。

このあたりは昔、しのぶ草の産地で、石の上に布を置き、その上からしのぶ草をすりつけるという方法で染めていたのだとか。だから大きな石なのだな。

上記の歌は、ここへ赴任してきていた源融が都に呼び戻されてのち、信夫の里に残してきた恋人虎女に送ったとされる。けれどもその歌が届いたとき、虎女は待ちくたびれて逝ってしまったあとだった。悲恋である。


紅葉も名残。この奥に文知摺石がある。

 

 
河原左大臣の歌碑

芭蕉、子規ほか、歌碑がたくさん建てられていた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿