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暇人のお気楽日記

ほぼ、観た映画の感想、たまに日常の諸々。

ヒトラーの偽札

2011-03-03 00:16:55 | 映画・ハ
2007年(ドイツ/オーストラリア)

原題: DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER

監督:ステファン・ルツォヴィツキー
出演:カール・マルコヴィクス(サロモン・ソロヴィッチ(サリー))
   アウグスト・ディール(アドルフ・ブルガー)
   デーヴィト・シュトリーゾフ(フリードリヒ・ヘルツォーク)
   マリー・ボイマー(アグライア)
   アウグスト・ツィルナー(クリンガー医師)
   マルティン・ブラムバッハ(ホルスト親衛隊小隊長)

ストーリー:1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣などの偽造を行うプロの贋作師サリー。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォークに捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られた。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。サリーはそこで贋作づくりを命じられ・・・。

感想:第80回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞作品。映画として観るなら、「シンドラーのリスト」ほどの感動作ではないかな。でも、今を必死で生き抜こうとするサリーと、自らを犠牲にしてもナチスに抵抗し贋作づくりを阻止しようとするブルガー。この二人の対照的な考え方が、「偽札を作っていれば食事と温かいペットが与えられるが、ナチスに貢献してしまい多くの同胞を殺す手助けになってしまう。でも偽札を作らなければ、自分たちが即殺されてしまう。どちらにしても戦争が終われば証拠隠滅のため殺される。」そういう心の葛藤を見事に描かれていました。周りの人の気持ちを無視して自分の意志を貫こうとするブルガーが、一見自己中心的なヒドい人に見えるのに、最終的には彼のおかげで戦争を早く終わらせることに貢献したヒーローだったり、必死で自分や同じ収容所の人たちを助けようとしていたサリーが、結局苦しむ人を増やしているだけだったり。サリーが主人公だったからブルガーがヒドイ人に見えたけど、ブルガーが主人公だったらサリーは愚かな人に見えてしまうんだろうな。皮肉な結末に、なんとも切ない気持ちになってしまったけど、戦争ってこういう思いを抱く人が沢山いたのでしょうね。戦争を終わらせる事に貢献していたり、多くの人を救った人は何かをやり遂げた達成感もあって、その後の人生も力強く生きて行けそうに思うけど、自分のせいで多くの人が命を落としたり、実際に誰かの命を奪ってしまった人たちは、一生大きな傷を背負って生きなければならない。戦争が終わっても、彼らの苦しみは一生続くのだと思うと改めて戦争の恐さを考えさせられてしまいました。

HACHI 約束の犬

2010-06-29 23:45:13 | 映画・ハ
2008年(米)

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:リチャード・ギア
   ジョーン・アレン
   サラ・ローマー
   ケイリー=ヒロユキ・タガワ
   ジェイソン・アレクサンダー
   エリック・アヴァリ
   ダヴェニア・マクファデン

感想:渋谷駅のハチの物語のリメイク版。日本人なら誰もが知っているようなお話。映画の宣伝があちこちであった頃、王様のブランチでこの映画の紹介を見て、もうそれだけでボロ泣きしちゃいました。だから映画館で観るのはちょっとやばいかも、と思いDVDを待ってレンタル開始すぐに観ました。レビューが大分遅くなっちゃったけど、思い出しながら書いてみます。
 私の父が犬が好きで、私が物心ついた頃には家に常に何匹か犬がいて、そのほとんどが秋田犬でした。犬にも本当にいろいろな性格があって、自分で産んだ子供を育てようとしないのもいれば、自分以外の犬が産んだ子犬まで一緒に育てようとするのもいたし、喧嘩っ早いのもいれば、全然おとなしいのもいて・・・。そういうなかで相対的にみて、私の中で秋田犬の印象は「おばかさんで警戒心が強い」というイメージでした。うちで飼っていた犬達って「おすわり」ぐらいしかできないのがほとんどだったのよね。。。 まあそれはしつけが全然できていなかったというだけの話だったのだけど。それに家族以外の人間が家の周りを通ると吼える吼える・・・。だから主の帰りを人通りの多い駅前でおとなしく待っている秋田犬なんてすごすぎ 
 まあそんな私の印象はさておき、映画は迷子になったハチとリチャード・ギアが演じるパーカーが出会うところから始まって、毎日パーカーを駅まで送り迎えする微笑ましい日常から、やがてパーカーが亡くなり、帰ってこない主人を待ち続け、そして・・・、という日本版ハチ公物語をほとんどそのままリメイクしただけなんだけど、だからよけい泣けてしまって、まだパーカーが生きているのに駅で待っている姿をみるだけで泣けてしまう(←泣きすぎだっつーの)のでありました。もうね、こういう犬ものって本当に弱いのよね。何回鼻をかんだことか。映画館で観なくて正解だったな、多分。。。
 綺麗に手入れされて笑顔をみせていた頃から、だんだん汚れて表情まで悲しそうになっていく。犬なのにこんなに演技できちゃうわけ?と思うほど表情豊かなハチ。本当に秋田犬って思っちゃった。始めは犬を拾って困ったような雰囲気だったパーカーが、だんだんかわいくなってしまってお風呂まで一緒にはいってしまうとか、口ではなんだかんだと言いつつ、こっそりおやつをあげている奥さんとか、もう感情移入しまくりの泣きまくりでした。

 見終わった後、私の上でお昼寝しているクーちゃんを見て、思わず「君はこんなことしてくれそうにないね」と言ってしまった 

ひぐらしのなく頃に

2009-06-23 16:04:15 | 映画・ハ
ひさびさに映画を観ました♪
テレビのCMを観ていて面白そうだなと思っていた日本のホラー映画。。。
しかし、さっぱり意味がわかりませんでした なんだこりゃ?
謎が謎のまま終わってしまって、結局なんだったのか、さっぱりわからん。。。会社の人に聞いたら、これはゲームがあって、それがよく出来たストーリーで人気がでたから実写版で映画化されたそうです。そういえばアニメのCMが入っていたけど、見なかったのでわかりませんでした。っていうか、CM観たくらいじゃわかんないわよね。
でもさー、映画だけを見る人がいるんだから、そういう人にも内容が分かるように作ってくれよ~、と思ってしまった。

久々に観たのに、ちょっとがっかりしちゃったな。

ブラックサイト

2008-12-05 16:24:47 | 映画・ハ
2008年(米)

監督:グレゴリー・ホブリット
出演:ダイアン・レイン(ジェニファー・マーシュ)
  ビリー・バーク(エリック・ポックス刑事)
   コリン・ハンクス(グリフィン・ダウド)
   ジョセフ・クロス(オーウェン)

<ストーリー>
 舞台はオレゴン州ポートランド。ネット犯罪専門のFBI捜査官ジェニファーのもとに捜査依頼が届いたサイト「kill with me」。それはWebサイト上で殺人の映像をライブ中継するというものだった。アクセス者数に応じて殺人機器が作動し、増えれば増えるほど死期を早めてしまうというもの。噂が広まり、好奇心でアクセスする人間が爆発的に増えていく。アクセスする人々に罪悪感を感じさせず、人を殺させていくシリアル・キラーにジェニファー達はなす術も無く、やがてジェニファーやFBI捜査官達にも魔の手が忍び寄る。。。。

<感想>
 ただのサスペンスと思って軽い気持で観たら、思いがけないほど現代社会の問題を鋭くついてくる作品でした。インターネットやテレビなど、今は生活に欠かせないものでありながら、その画面に映るものをただの映像としてしかとらえる事のできない視聴者達。映像を配信する側も視聴率をとることしか頭に無い。その映像を公開され、衝撃映像としてネット上でおもしろおかしく配信され続けることで、2重3重に傷ついていく人がいるということを、誰も考えない。人のモラルを強烈なインパクトで問いかけてきて、観た後は映画の内容よりも映画が持つこのテーマについて考えずにはいられませんでした。

ここからはネタバラしありです。未見の方は先に映画をみてくださいませ。
************************************
始めは猫の虐待映像。エスカレートしていく事を警戒してジェニファーがサイトを調べてみたところ、削除してもすぐに別のアドレスに現れる。まるでネットの中をするすると逃げていくようなこのサイトを捕まえる事が出来ない。なす術も無く観ていると次に現れたのは見知らぬ男。すぐに彼が誰かという事は判明するのだけど、ジェニファー達がみている画面の中でアクセス数が増え、被害者は苦しみながら死んでいった。それがまた人の好奇心をおあり爆発的にアクセス数が増えていき、犠牲者の死期がどんどん早まってしまう。こんな恐ろしい設定をよく考えたなと感心してしまうほど、人の心理を利用した或る意味見事な犯罪なのかしら。勿論、絶対許される事ではありませんけど。犯人の魔の手はやがてFBI捜査官達にも及ぶわけだけれど、なぜ、彼らが狙われたのかとか、なぜ、こんな犯罪がおこっているのか、ということが明らかになると、単純にこの犯人だけを悪と決めつける事が出来ない気がしました。
 妻を失ったショックから鬱病になり自殺してしまった父親の映像をテレビやネットで衝撃映像として繰り返し流される。繊細な少年の心にどれほどの痛みを与えたことか。そしてそれが彼を恐ろしいシリアルキラーへと変貌させてしまった。捕まれば死刑。それを覚悟の上で始めた恐ろしい連続殺人は、彼の父親の死を辱めたメディアやネット、そして人の好奇心を皮肉った方法で実行されていく。彼のしたことは絶対に許される事ではないけれど、死を覚悟の上で実行していくこの殺人計画は、強烈なインパクトを持って、人々に現代社会の問題を訴えかけていく。それはこの映画を観ていることにさえ罪悪感を感じてしまうほど、伝わってくるものがありました。「いずれ死刑もテレビで放送されるようになる」という言葉にはぞっとするものを感じます。
 ラストのジェニファーと犯人の対決は、ジェニファーがとてもかっこ良く描かれていますが、これで万事解決とはとても思えませんでした。これほど強いインパクトを持ってテーマを訴えかけてくる映画は少ないんじゃないかな。
 サスペンスのものの娯楽映画としてみても面白いし、観た後考えさせられるものがあり、期待した以上に出来のいい映画だったと思います。

パンズ・ラビリンス

2008-09-17 09:04:52 | 映画・ハ
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ(オフェリア)
   セルジ・ロペス(ヴィダル)
   マリベル・ベルドゥ(メルセデス)
   ダグ・ジョーンズ(パン)
   アリアドナ・ヒル(カルメン)

 知り合いの何人かからこれはすごくいいよ~と薦められてみた作品ですが、う~ん・・・私的には今イチだった。救いがなさすぎて、子供が主人公の割には重すぎる映画だった気がしました。
 舞台は1944年のスペイン内戦下、父親を亡くしたオフェリアは母親の再婚相手ヴィダル大尉のもとへ母とともにやってくる。ヴィダル大尉と馬が合わないオフェリアは辛く厳しい現実から逃げるように、空想の世界へ引き込まれて行った。オフェリアは地底の王国の姫であり、3つの試練を乗り越えれば王国へ帰れるという。。。
 映像がすごくきれいというか、クオリティが高いと思います。冷たい養父、難産で命の危機にさらされている母、辛い現実とリンクするかのような辛い試練。そして最後は。。。これは現実を考えると仕方ないのかもしれないけれど、映画として見るにはあまりにもラストが悲惨な気がして、楽しめませんでした。途中まではよかったんだけどなー。入り込めなかったもう一つの理由にスペインの内戦事情というか、その辺の時代背景が分かっていないという事もあるのかな。レジスタンスと闘う養父は極悪非道に描かれていますが、見る目を変えれば彼は任務を忠実に果たす優秀な軍人であり、初めて授かった我が子に目の中に入れても痛くないほど愛情を注いでいる父親なのよね。それが見えてしまうから、オフェリア次第ではもう少し違う状況になった気がして、今イチ感情移入できなかったのかな。。。
ま、これは私の好みの問題であって、映画そのものは映像も綺麗だし、ストーリーもしっかりしているし、クオリティの高いいい映画なんでしょうね。興味のある方はご覧くださいませ。

ピカ☆☆ンチ(DUBUL) Life is Hard だから Happy

2008-09-16 11:58:49 | 映画・ハ
監督:堤幸彦
出演:二ノ宮和也(タクマ)
   相場雅紀(シュン)
   櫻井翔(チュウ)
   松本潤(ボン)
   大野智(ハル)
   
 前作から3年後、少し大人になった(?)彼ら。アメリカから帰って来たタクマが目にしたのは思いがけないほど変わってしまったかつての仲間達。スーパーで働くハルはスーツ着てなんだかおかしな動きをしているし、青山大学を目指していたシュンはなぜか編み物の達人になっている。ベトナム料理の料理人になるはずだったボンは板前の修業の旅に出てしまって行方不明。そして一番驚いたのは暴走族の頭だったチュウ!なんと結婚して子供までいるし、髪も普通の髪型をして白い歯を光らせながら電気屋の営業をしている。しかも営業成績はトップ!どーいう変化よ?と思うけど、実際にはチュウが一番もっともらしい変化の仕方かな。このチュウの変化の経緯の描き方がかなり笑えました。映像なのにわざわざ駒送りにして台詞の吹き出し付き。この辺の演出も前作より凝っていて、さらに面白くなっていました。前作と同じく、あちこちにギャグ満載でくだらないけど笑っちゃうシーンが多いです。いや、前作以上に、ですね。それでいて3年前の彼らには想像もできなかったしがらみや大人であることの責任の重さもしっかり描かれていました。特に印象的だったのはあれほど彼らが忌み嫌っていた「屋形船」に乗らなければならなかったチュウ。家族の為にプライドを捨ててネクタイを額に巻き宴会を盛り上げる。。。その姿を誰よりも見られたくなかった仲間達に見られてしまう。彼の流す涙は本当にせつなくて印象的でした。その姿を見てショックを受けた仲間達。でもシュンとタクマは少し大人になっていてその状況を受け入れる度量があったけど、仲間の変化を受け入れる事が出来ないハルは大暴走してしまう。この5人のキャラクターの中で、一番私が近いのがこのハル。なんか、すごーく気持が分かっちゃうだけに恥ずかしいんだけど愛しくてたまらないキャラでした。自分に似てる部分が多いとなると普通このキャラ観たくないなーと思っちゃうのだけど、ハルはそれを愛しく思えるかわいさがあって、それを嵐のメンバー最年長の大野君が演じているのがなんだか可笑しかったです。(←ファンの贔屓目?)
暴走族の頭チュウの役を松本君ではなく、櫻井君が演じているのも意外で面白かったかな。これが逆だったらあまり面白みのある役に感じなかったかも。この意外性がよけいに笑いを誘っていた気がします。

前作以上に笑いあり、切なさあり、と楽しめる映画でした。原作者の井ノ原君は男の方が共感できるはず、と言っていましたが、確かにその通りかもしれません。でも女の人が見ても十分共感できたり笑えたりする部分が多い映画でした。

ピカ☆ンチ Life is Hard だけど Happy

2008-09-16 11:18:04 | 映画・ハ
監督:堤幸彦
出演:二ノ宮和也(タクマ)
   相場雅紀(シュン)
   櫻井翔(チュウ)
   松本潤(ボン)
   大野智(ハル)
   
 アイドル映画だと思ってナメてました。ごめんなさい。めっちゃ面白かったです。吹き出しちゃうシーンもあるほど笑えました。 
 原作はなんとあのV6の井ノ原君だそうです。何も予備知識なく、大野君の演技を観たいがために観た映画だったのですが、私の中のアイドルというもののイメージを覆すほど面白いし出来のいい映画だったと思います。
 舞台は東京・品川にある八塩団地。世帯数6000、学校、病院、その他生活に必要なものは一通りそろっていて、その団地の中だけで一生生活できちゃいそうなマンモス団地。そこで中学時代に仲良くなった個性的な5人組の青春時代をおもしろおかしく描いています。普通の少年シュン、5人のリーダー格タクマ、お金持ちの息子ボン、暴走族の頭チュウ、何かと運の悪いハル。いつも5人でつるんではいたずらしたり、彼らの憧れ(?)の地、原宿へ気合いを入れて行ってみたり。。。原宿に行ったはいいけど完全にお上りさん状態というか、やっている事が変なのが笑えます。高校卒業を間近に控えているのに、将来の事などあまり考えず、過ごしている彼ら。そんな彼らにとってもっとも醜い大人の象徴に見える「屋形船」。ネクタイを額に巻き、酔っぱらって騒ぐみっともない大人達。彼らはそれを侮蔑し、大人になっても絶対あの船には乗らないと誓い合う。やがてシュンとハルは恋をし、成就させようと奮闘するのだけど、ハルの「馬にたべられちゃった・・・」という何とも切ない台詞には大爆笑でした。
 アイドルなのに、いいのかそれで?と思うシーンも多いし、笑っちゃうけど共感できる部分も多くて感情移入しやすい楽しい映画でした。

パーフェクトストレンジャー

2008-05-20 22:21:20 | 映画・ハ
2007年(米)

監督:ジェームズ・フォーリー
出演:ハル・ベリー(ロウィーナ)
   ブルース・ウィルス(ハリソン・ヒル)
   ジョヴァンニ・リビジ(マイルズ)
   ゲイリー・ドゥーダン(キャメロン)

 ラスト7分11秒まで、真犯人は、絶対分からないーーーー。
 はい、ええ、もう、しっかり騙されちゃいました。面白かったー
 議員のスクープを握りつぶされて会社を辞めた元新聞記者のロウィーナ。ある夜、幼馴染のグレースから広告業界の大物ハリソン・ヒルの不倫スキャンダルの話を聞いたが、その数日後、グレースは変死体となって発見される。解剖の結果、毒殺、しかもグレ-スは妊娠していた事が判明する。ハリソンを疑ったロウィーナは、スクープをとろうと元同僚のマイルズの助けを借りてハリソンの会社に潜り込み、独自の調査を開始するが。。。
 伏線はいっぱいあるのに、見事騙されてしまいました。後から考えれば、そういう事かと思うシーンが多いのにね~。ラスト10分くらいは目が釘付けでした。強いて言えば、逮捕から裁判のシーンがいきなりの展開だったかな。
 主人公演じるハル・ベリー、相変わらず綺麗だこと!深紅のドレスを着て、髪をまとめ、耳から長いイヤリングをたらした姿はスーパーモデルのようでした。この役は“女”を武器に出来るスタイルのいい美女でないと無理があるから、そういう意味では色気のあるハル・ベリーは適役だったと思います。
 その色っぽいロウィーナにメロメロのマイルズ。ちょっと変態っぽいPCオタクの雰囲気がバッチリハマっていて面白かったです。最後は意外とロウィーナとくっついちゃうのかなとか、それとも最後まで気づいてもらえないのかなとか、実は犯人だったりして?とか、色々想像させてくれる役どころで、彼の出てくるシーンが一番面白かったです。
 ブルース・ウィルス、タフなアナログ人間ジョン・マクレーンをやったかと思えば、こんなドスケベ親父の役もやったりする。しかも妙にハマっているから面白い。この役はブルース・ウィルスだから、あ~あ、しょうがないなー、このスケベ親父は。といいつつどこかで許せちゃう気がしました。
 この映画はあまりあれこれ考えず、素直に騙された方がきっと面白いですよ~

ブレイブワン

2008-05-14 21:45:12 | 映画・ハ
2007年(米)

監督:ニール・ジョーダン
出演:ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン)
   テレンス・ハワード(ショーン・マーサー刑事)
   ナビーン・アンドリュース(デイビット・キルマーニ)
   ニッキー・カット(ビタール刑事)
   メアリー・スティーンバーチェン(キャロル)

 この映画のキャッチコピーが「許せますか、彼女の”選択”」とあったので、考えてみたのですが、倫理的には許せない。でも感情的には許せる。多分、ほとんどの人がそうですよね。もし彼女のように愛する人を理不尽に奪われたら、ほとんどの人が復讐してやりたいと思うんじゃないかな。もちろん、実行できるかどうかは別ですが。
 FMラジオのDJをしているエリカは、医師デイビットと結婚を間近に控え、幸せな日々を送っていた。しかしある夜、二人で犬の散歩に出かけ、3人の暴漢に襲われエリカは3週間意識不明の状態に陥った。気がついたときにはデイビットは亡くなっていて葬儀も終わった後だった。
 体は回復したものの、心に負った痛手から立ち直れずにいるエリカ。事件の捜査状況を聞きに警察へ行っても、そこは毎日沢山の事件が起こるニューヨーク、事務的にお悔やみの言葉を述べる警察官が機械的に対応するばかり。眠れば襲われた日の夢をみて怯え、起きている時は愛する人を亡くした悲しみにくれる日々。襲われたショックで外出する事に恐怖を感じるエリカは、護身用の銃を手に入れた。
 そして再びエリカに危険が迫った時、エリカは銃の引き金を引いた。。。
 単なる復讐劇ではなくて、愛する人を失う悲しみ、理不尽な暴力を受ける恐怖、怒り、そういった感情がとても丁寧に描かれていました。人を殺す事への罪悪感、それでも押さえる事のできない怒り。そういった苦悩がリアルに伝わってきて、エリカが痛々しかったです。ある事件をきっかけに知り合ったマーサー刑事と親しくなればなるほど、彼女の苦しみは深くなっていく。でもそんな苦しみも彼女たちを襲った犯人の顔を見た瞬間に吹き飛んでしまう。ラスト15分の展開は、目が離せませんでした。捕まるのか、殺すのか。。。この結末には批判も多かったんじゃないかなと思うけど、映画としては面白くなっていると思います。私は好き
 
 余談ですが、顔がアップになるシーンでは、ジョディ・フォスターもずいぶん年をとったなーと思ってしまいました。これから結婚を控えた女性という設定にはちょっときつい気が。。。

BABEL

2008-05-14 21:12:47 | 映画・ハ
2006年(米)

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ブラット・ピット(リチャード)
   ケイト・ブランシェット(スーザン)
   ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチャゴ)
   役所広司(ヤスジロー)
   菊池凛子(チエコ)
   アドリアナ・バラッザ(アメリア)
   エル・ファニング(デビー)
   二階堂智(ケンジ)


 この映画で、日本では全くの無名だった菊池凛子がアカデミー賞助演女優賞に選ばれて、一気に有名になりましたね。なので彼女の演技や演じている役を興味津々で観ていましたが、う~ん。。。確かに彼女の演技はすばらしかったと思います。本当に耳が聞こえないように見えたし、反抗的な10代の年頃の子の役を言葉を使わずに表情や仕草だけで表現しながら、孤独を感じさせる難しい役だと思う。理解できないのは、あのチエコという少女の行動かな。。。寂しいという理由でこんな事しちゃうのかしら?言葉や心が伝わらないからといって、ろくに知りもしない男の人の前でいきなり脱いだりするかしら?歯医者の先生の手を自分のスカートの中に持っていったりする??? 一糸まとわぬ姿でマンションのベランダに立つ??? しかも父親の前でも平然としているし。。。今時の子ってこうなのかしら???チエコの行動は私にとっては寂しさを感じるより先に、そんなことするか、普通?と思う行動が多くて、今イチ感情移入できませんでした。でも他の方のレビューを読んで気がついたのですが、彼女は精神が崩壊しかかっていて、体中でそれを訴えていたのですね。なるほど。。。
 予想外によかったのはブラット・ピット。彼はどちらかというと顔が売りのかっこいいだけの俳優さんというイメージでしかなかったのですが、この映画を見て、こんなにすばらしい俳優さんだったのか、と目からウロコ状態でした。顔に深く刻まれたしわや少し疲れた感じもよかったし、妻が撃たれた後、うろたえたり苛立ったりする演技の一つ一つが印象に残りました。子供を失ったショックから立ち直れず、夫婦の崩壊の危機にあったリチャードとスーザン。この危機をなんとか乗り越えようとモロッコまで旅行に来たのはいいけど、二人でいても会話が少なく、苛立つスーザンと疲れた様子のリチャード。そんな二人が、スーザンが撃たれた事により夫婦の絆を再生していく。この二人のシーンが一番心に残りました。特にスーザンの排尿をリチャードが手伝うシーンが印象的。排泄行為というのは人間のとてもデリケートな部分。それを躊躇なく人に手伝って貰えるというのは、その人がとても自分にとって近い人である証拠だと思います。夫婦の絆の再生がこんな形で描かれていた事は意表をついていたし、上手いと思いました。このシーンはとてもインパクトがあってよかったな。
 リチャード達の子供を預かったままメキシコまで息子の結婚式に出るハメになったアメリア。行ったはいいけど、帰りに検問(←検問じゃない?)でひっかかってしまい、サンチェゴの愚かなふるまいから大変な事態へと発展してしまう。生まれた時から世話をしてきた子供たちからも引き離され、生活のすべてを失ってしまうアメリアがかわいそうで切なかったです。
 父から渡された銃で遊び心から人を撃ってしまったモロッコの少年。撃った相手が死んだと思い込み、罪の意識におびえ、兄を失い最後は逮捕されてしまう。こんな子供に銃を持たせるなんて、と思いもしたけれど、そこはお国柄というか生活環境が違うのであの辺りでは当たり前のことなのでしょうか。あんな子供に銃を持たせた父親に罪があると思いはしたものの、長男を亡くし、次男は逮捕されてしまった彼の気持ちを思うとやはりせつなくなります。そして罪を犯した張本人の少年も泣きながら銃を壊し「兄さんを助けて」と言いながら自首する姿が痛々しかった。あの幼い少年の先の人生はどうなってしまうのでしょうか。。。
 時間や場面が何度も飛ぶのでちょっとわかりにくいなと思いながら観ていましたが、見終わってみれば一つ一つのピースがきっちり収まったパズルの絵のようにきちんと描かれていて、それがこの映画のテーマにあった演出にもなっているのだと後から気づきました。『言葉が通じない、心が伝わらない、想いはどこにも届かない』というテーマなだけあって、切ないシーンが多いのですが、心に余韻の残るとてもいい映画でした。