暇人のお気楽日記

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ヒトラーの偽札

2011-03-03 00:16:55 | 映画・ハ
2007年(ドイツ/オーストラリア)

原題: DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER

監督:ステファン・ルツォヴィツキー
出演:カール・マルコヴィクス(サロモン・ソロヴィッチ(サリー))
   アウグスト・ディール(アドルフ・ブルガー)
   デーヴィト・シュトリーゾフ(フリードリヒ・ヘルツォーク)
   マリー・ボイマー(アグライア)
   アウグスト・ツィルナー(クリンガー医師)
   マルティン・ブラムバッハ(ホルスト親衛隊小隊長)

ストーリー:1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣などの偽造を行うプロの贋作師サリー。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォークに捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られた。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。サリーはそこで贋作づくりを命じられ・・・。

感想:第80回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞作品。映画として観るなら、「シンドラーのリスト」ほどの感動作ではないかな。でも、今を必死で生き抜こうとするサリーと、自らを犠牲にしてもナチスに抵抗し贋作づくりを阻止しようとするブルガー。この二人の対照的な考え方が、「偽札を作っていれば食事と温かいペットが与えられるが、ナチスに貢献してしまい多くの同胞を殺す手助けになってしまう。でも偽札を作らなければ、自分たちが即殺されてしまう。どちらにしても戦争が終われば証拠隠滅のため殺される。」そういう心の葛藤を見事に描かれていました。周りの人の気持ちを無視して自分の意志を貫こうとするブルガーが、一見自己中心的なヒドい人に見えるのに、最終的には彼のおかげで戦争を早く終わらせることに貢献したヒーローだったり、必死で自分や同じ収容所の人たちを助けようとしていたサリーが、結局苦しむ人を増やしているだけだったり。サリーが主人公だったからブルガーがヒドイ人に見えたけど、ブルガーが主人公だったらサリーは愚かな人に見えてしまうんだろうな。皮肉な結末に、なんとも切ない気持ちになってしまったけど、戦争ってこういう思いを抱く人が沢山いたのでしょうね。戦争を終わらせる事に貢献していたり、多くの人を救った人は何かをやり遂げた達成感もあって、その後の人生も力強く生きて行けそうに思うけど、自分のせいで多くの人が命を落としたり、実際に誰かの命を奪ってしまった人たちは、一生大きな傷を背負って生きなければならない。戦争が終わっても、彼らの苦しみは一生続くのだと思うと改めて戦争の恐さを考えさせられてしまいました。


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