自民党佐藤正久参院議員は以下のように語っている。
「穴を掘って近接戦闘で小銃を撃つ、という時代ならいざ知らず、現代戦では、高性能の兵器やシステムを使いこなすことが求められる。高校や大学を出て入隊した若者がこうした域に達するには、大体１０年かかる。」
佐藤氏は、だから徴兵制はないし、戦争法ができたとしても、卒業したての20代前半の若者を戦場に送ることはないと言いたいのである。
一片の真実も含まれていない。佐藤氏は元イラク派遣隊長をいいことにウソをつくな。
自衛隊員は半年～１年の教育で第一線部隊に配置
■陸上自衛隊のホームページには以下の記述がある。
http://www.mod.go.jp/gsdf/news/train/2015/20150709.html
「新隊員前期教育修了について
「新隊員前期教育修了」について紹介します。
今春に入隊した新隊員約８，１００名は、約３ヶ月間にわたる教育を修了しました。
新隊員前期教育では、陸上自衛官として部隊で勤務するために必要な基礎的かつ共通的な内容の教育を受けました。
今後、指定された職種ごとに分かれ、専門的な教育を約３か月間受けたのち、第一線部隊における活躍が期待されます。」
■航空自衛隊のホームページには教育訓練として、以下の記述がある。
http://www.mod.go.jp/asdf/recruit/saiyou/kyouiku_kunnren/
「入隊後、たとえば任期制自衛官は約3ヶ月、一般幹部候補生は約１年の比較的長期にわたり、自衛隊の学校や教育部隊などで徹底した基礎教育を受けます。そこで自衛官として必要な資質を養い、基礎的な知識・技能を修得します。それが終了すると職種に応じて専門的な技術を身につけるため各「術科学校」に進み、卒業後部隊に配属されます。各部隊では、任務を遂行しながら段階的に知識や技術のレベルを向上させる実務訓練や、定期的に行われる演習などを通じて、組織としての能力向上を図っています。」
ここで言う「術科学校」とは以下のような課程である。
「第3術科学校 補給、輸送、車両整備、調達、施設、人事、会計など、「後方業務に関する課程」
「第3術科学校は後方支援業務に関する課程が中心となるため、職域も幅広く、車両整備員、土木建築員、電気員、設備機械員、給汽員、消防員、輸送員、給養員、補給員、燃料員、調達員、人事員、厚生員、会計員等の特技職を養成しています。いずれも、防空という任務を円滑に遂行し、それを支えるためには欠かせない職種です。」
自衛隊員は半年～１年の教育で第一線部隊に配置されているのである。
イラク派遣自衛隊はまさに「近接戦闘で小銃を撃つ」訓練をしていた
「穴を掘って近接戦闘で小銃を撃つ」というのは、まさにイラク派遣部隊が群衆のデモの鎮圧や「テロリスト」による銃撃、市街戦を想定して行っていた訓練ではないのか。佐藤氏が知らないはずがない。デモの制圧にどのような「高性能の兵器やシステム」が必要なのか。
以下の記事は、陸上自衛隊が北富士にサマワ宿営地を模した演習場（ミニサマワ）を造り、イラクでのデモ鎮圧や銃撃戦に備えた訓練をしていたことを明らかにしている。殺戮のための命中精度を上げるため小銃に「最新スコープ」を装備すること、「撃たれる前に撃て」という心構えをたたきこむことは「高性能の兵器やシステム」とは無縁だ。
※ＮＨＫスペシャル「陸上自衛隊 イラク派遣の一年」から透けて見えるもの（署名事務局）
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Japanmilitarism/one_year_of_jdf_sending.htm
以下の記事によれば、陸自の内部文書「イラク復興支援活動行動史」に「至近距離射撃と制圧射撃を重点的に練成して、射撃に対する自信を付与した」という記述がある。
自衛隊がとりわけ力を入れたのが至近距離射撃の訓練だという。多国籍軍への襲撃事例を分析し、間近からのテロ襲撃が最も危険と判断したからだ。
※銃声、群衆が陸自包囲 撃てば戦闘…サマワ駐留隊員恐怖（朝日新聞）
http://digital.asahi.com/articles/ASH8C4VLCH8CUTFK00F.html?_requesturl=articles%
2FASH8C4VLCH8CUTFK00F.html
（ハンマー）
