魯露西亜夢酔談

何でも話そう、ロシア状況のあれこれ
未来、芸術、多様な社会

ロシア人の暮らし その2

2006-03-06 23:10:03 | ロシア

前稿でソーブルについて書いた。親戚の話をしようと、書き進むにつれチェチェンの問題が気になりだした。

まず、虎の子の精鋭部隊を毎年投入し続けなければならないほどの、かの地での軍事情勢と、ロシア軍内部の問題。そしてそうまでロシアをして、チェチェンに固執させるその理由である。

チェチェン問題がこの稿のテーマではないので、また別の機会に詳細を記載するとして、親戚から得た情報をかいつまんで話すと、国防省正規軍だけでの治安維持は損害が大きく難しいために、中隊規模のソーブル部隊を全国から選抜して編成駐留させているとのこと。内務省軍の他の特殊部隊も正規軍と共同作戦をしている、とのことだった。実際かの地でのロシア軍の死傷者は、毎年相当規模に上り、徴兵制度を揺るがすほど問題化していることも事実である。

もう一方の理由については、地政学ゲオポリティカ ( Геопоитика ) の問題である、という極めて軍人らしい答えであった。なるほど地図を眺めてみると東はカスピ海、西は黒海に挟まれたいわば、隘路をコーカサス山脈が横断している。ロシアにとり、天然の城壁に守護されているわけだ。それと、南北からカスピ海沿いに延びている鉄路がチェチェン内で交差して西に向かう、鉄道の要所でもある。

ロシアにしてみれば、城壁(コーカサス山脈)から外側(グルジア、アゼルバイジャ、アルメニア)は手放しても内側の連邦からの離脱は、地政学的にとうてい許せないと言うことか。大国の論理であろうし、軍人の思考でもあろうしかつまた、人間の本質的な思考であろうかとも、思い至った。

参照:コーカサス地域図http://www.lib.utexas.edu/maps/commonwealth/caucasus_region_1994.jpg


ロシア人の暮らし

2006-03-06 11:22:57 | ロシア

母方の親戚に、つまりロシアでの話ですが、内務省エム・べー・デー МБД(Миннстерство вхытренних дел) に勤務する者がいる。

警察官 ミリツヤー(Милиция) が彼のキャリアの出発点で現在は、内務省組織犯罪総局の緊急対応特別支隊、ソーブルСОБР (Спеч Отряг Выстрого Реагирования)、で働いている。

だいたいが行政機構というか、官僚機構というか、とにかくどこの国でもわかりずらいのが通例なのですがロシアでもその点、他に引けをとりません。ロシアの内務省は大まかに、日本の国家公安委員会と警察庁を併せたような機構を持つ内務機関(米国のFBIを例にたとえる人もいる)と、軍人からなる内務省軍との二つに分かれている。この内務省軍がまた、準軍隊パラ ミリタリーと言うよりは、国防省正規軍МО(Михистерстбо обороны)と何ら変わらない。正規軍と一緒に作戦行動をとるし、徴兵の配属も受けている。

で親戚の話ですが、警察官から内務省軍に志願してソーブルに配属されているわけですが、簡単に転属できる話ではなくて、命をかけたリスクのある大変なこと。ソーブルの隊員は全員が、チェチェンでの戦闘の経験者で構成されている。つまりソーブルに配属されるためには、チェチェン行きを志願しなくてはならない。チェチェン問題のことの是非は別にして、全員が志願兵で構成されていることと、戦闘を経験することで部隊の志気は、すこぶる高いようだ。しかもことは、一度の実戦経験で済むのではなく、ソーブルの部隊は毎年チェチェンに派遣されるとのこと。そうまでしても志願するほどの見返りは、よほどのものがあるのだろうとかと興味が起きる。

親戚の話はロシア人の中でも、非常に特殊な生活になるのかもしれないのだけど、それはそれでロシア人の現実の生活ではあるし、日本人とは異なる社会の有り様の紹介になるでしょう。次回にさらに、お話しします。