緑の紙片BLOG

「緑色した軽いもの」に、なりたい。ゲーム日記はネタバレあり。引っ越して、添削中でした。格闘中に、クラスチェンジしました

創作物「パーフェクト・カレシの場合(下)」 ←後半だって、勢いだったりする。

2010年02月27日 22時56分00秒 | 絵画倉庫なのかな
前編ラストで
シリアル番号の詠唱をはじめた、女主人公だが・・
果たして、
最後まで、
シリアル番号を、彼女は、唱えられるのだろうか!?


そして
つかむは、魔法の言葉

・・・果報は寝て待て・・・ ←おい・・(´◇`;)



もちろん
冗談です。 ←(゜∀゜;)!!

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では 後編 
はじめっ!!



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( ぶつぶつぶつぶつぶつ・・・ )




女主人公の、シリアル番号詠唱にしたがい
ロボットが、なにかを答えはじめる。それは・・・。

いや。
正確には、答えたのではないか・・・。

だが、
ロボットの、その行動は、
とても、人の会話に似ていた・・・。




そう。
パーフェクト・カレシは、話す・・・
まさに「機械的」な、機械音声で・・・。




「シリアル番号、取得しました。
契約関係を、開始します。
主を、サポートします。主の声紋を、記憶します。

主。音源は、何を用いますか?」



しかし、彼の声音からは、何か、気遣いが感じられた。
もちろん
それは
あくまでも、常識範囲内における、気遣いだったけれど・・・。




女主人公、軽く混乱中。いろんな意味で、驚き中。
「( セールスマンさん。はっきりいって、彼のいってることが、わかりません・・・。音源って、何?)」 

もちろん
セールスマン氏は、セールスマン氏で
そろそろ、帰宅したくなってきている。



でも、
まだ、帰るに帰れないから、仕事をする。

「・・・・・・・・・・。契約が、スタートしました。
もう、こそこそしなくていいですよ?
声紋認識も、できたし!!
音源は、彼の声です。
そうか。
少し、プログラムいじらないと、だめだー。
ここで
『音源』って言ったんじゃ、お客さんに話が通じない・・・」



ロボットは
まだ、ぶつぶついっている・・・。
しかも、顔が、こわい・・・。

「音源は、何を用いますか? ・・・・・・・・・ ピ・・・・・ ピ・・・・」

「お客さま、どうしても聞きたい声とか、ありますか? 
特に無いなら、デフォルトの声が、バランスいいですよ? 
お勧めです。
こいつに、言ってやってください、デフォルトって」



「デフォルト」 ←現状。主のデフォルトという言葉は、ゲシュタルト崩壊中。鬼面こわい・・・。こんな凄まじい形相の、イケメンなんて初めて見る・・・。

「主に、復唱。デフォルト音源を、使用します」 ピ・・・。ピ・・・。



シュイーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

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プシュー!!!!



「何? 今の?」
「・・・・・・・・・・。このコは今、怒りすぎで、声がでない(笑)」 ←セールスマン氏にとっては、怒ってても『このコ』・・・。

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女主人公も女主人公で
怒りすぎの、多少批判的な性格、というものを見
考え込むのである。


しかし・・・。

「そいつは、怒ってても、あばれません。あばれません、が・・・。」
「はい?」



「それでも、怒ってるんです。
面倒ですが、そいつと、友好的な関係になってください。
とことん普通の性格だから。
攻略本片手に、がんばるだけでも
一時は、友好的関係になれます。
たまに、思い入れが激しくなり、このコと喧嘩する、お客様も出てくるしまつ。
しかし・・・
友好的なコです。
もちろん、文句もいいます。

ところで、
こちら、このコの攻略本です。
上下巻セットの、4980円。
税込み価格となっております。必要ですか?」

「1セットください!!」 ←いいカモ。



「・・・・・・・・・・。お客さまに、このコ関連の商品を、次々売りつけることも、可能ですが・・・」
「はい?」

「このコは、機嫌の悪さが、現状、すごいことになっています・・・。
だから
関連商品については
もし必要なら、サポート担当者に言って、そのとき買ってやってください。
Web サイトでも、いろいろ売ってますから。

それでは・・・。
・・・・・・・・・・。

そうだ。
お客様
間違っても、こいつを、げんこで殴ってはいけませんよ?」

「なぐりません・・・」 ←殴るだろうと、予想されている。



「いえ。このコを、感情的になって殴った、お客さんがいるんですよー。
しかし、こいつら丈夫です。
お客さまのほうが、怪我しました。
さらに
このコたちに教育的指導され、サポート窓口にきて、ぶつぶつ言うので・・・。
まあ、叱られるのが好きって人もいるから、いいんですけどねー」 ←ぐだぐだ状態。



「このコも、確かに
怒ってる間は、やってられない奴です。
しかし
攻略本読んで、その通りにしてたら、いい友人になってくれます。
時々、
入れあげすぎる、お客さんがでるのが、問題ってくらいで・・・。」

「・・・・・・・・・。今、このロボットは、どうして怒ってるの?」



「ここが・・・。
暗くて、湿ってて、寒くて、ほこりが多い場所だからです。
彼は、起動時、センサーで環境を判断します。
だから、不機嫌になった。

このコね、人間が快適に生活できる環境を喜ぶように、プログラムされてるんです。
お客様の生活環境を、維持するためにも、入れてあるプログラムなんですが。
それが、このコの感情に影響し・・・。
このコは、怒ってしまう・・・。

だからといって
このコの部屋だけ綺麗にすると、
このコに、いびつな喜び方をさせることになります。

全体的に綺麗にすると、いいかんじに落ち着きますよ?」


「・・・・・・・・・・。ため息がでてきたー。
もし、女性型のロボットでも、こんなに怒るのかな?」



「ええ。そういう仕様です・・・。
彼らは、
よく怒るし、よく笑います。
それでも、あばれることだけはないので。
ある種の人々にとっては、とても、よい教師です。
そろそろ帰りますねー」

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そんなこんなで
気まぐれからはじまった、ロボットとの生活が・・・。
安定したのは、数年後だったろう?



この共同生活は、わけわからんタイプのものだ。

パーフェクト・カレシは
夜中、パソコンに頭つっこんで、アップグレード作業をしてたり
これも夜中、パーフェクト・カレシ同士、
人間に聞き取れないような周波数で、ライブチャットしてたり

ネットで、何だかわからんような支払いをしてたりと
予想外の行動をとる。



しかし
このロボットは、面白い。
( ところで。激怒状態の顔を見すぎると、もともとの顔が、イケメンだってことを思い出せなくなるのは。・・・新種の大問題だな・・・)


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それでも、平和に暮らしていた。
その日までは・・・。

実は
シリアル番号を、忘れた!!



パーフェクト・カレシに限らず
この工場のロボットは、
主のシリアル番号暗証能力を、価値観の中心に置いて生きている。

なのに
主である女主人公が
シリアル番号を、ど忘れしたから・・・!!



奴は、かちんときた!!

奴は、かちんときた。
それでも主は、暗証番号を唱えられない。



奴は、さらに、かちんときた!!

「むり。思い出せない!!」



奴は
かんかんに怒って
工場へと、帰ってしまった。

しかし、
あわてて書いたのだろう
メモ用紙が、何枚も残されていた。



「早めに、さがしにきてください」

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・・・・・・・・・・。
長い間一緒にいたせいで

奴の性格が
イケメンなのか
美女なのかは、もう、わからない。



メモいっぱい、とか・・・。

怒らせて、悲しいのだけど。
・・・・・・・・・・。
メモいっばい・・・。
なんという・・・。




そうさ。気後れしすぎた場合

・・・私は・・・
工場まで、
ロボットのことを、迎えにいけない可能性さえあったんだ。


何枚もメモ用紙を残したのは、なぜ?
奴が
主は、メモ用紙一枚など
探し出せないかも・・・という、読みをした?

正解すぎて、何もいえない。



それとも・・・。

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元気を出して、
工場へ、奴を迎えにいこう。そうしよう!!

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生産工場は、整然としていた。
まるで、マネキン工場だ。
綺麗というか、不気味というか。


営業マンも、
たまに仕事で来るという倉庫に通される。
「お客さん、カレシかカノジョに、逃げられたの? 絶望的な雰囲気が、漂ってんだけど・・・」


はい
逃げられました。

「シリアル番号を、ど忘れしちゃって・・・」

受付を担当してくれて、今、倉庫への案内もしてくれてる
気のいいバイトの兄ちゃんが、
「納得」という顔をした。


「それが、仕様だけど・・・。
たまに、つらいよね。
同じようなことがあって、それで
奴らの言うところの、
『たまには、人間とつきあえ』を、実行してるんだけど・・・」

このバイトの人も、パーフェクト・カノジョと同居してるのかー。
・・・・・・・・・・。
まあ、良い教師だからな。奴ら・・・。
なんたって、キレない・・・。


「奴らも、考えてるらしい。
主間のマッチングも、たまにしてるとか、なんとか。
パーフェクト・カノジョが、いいロボットなのは事実だよ。同居してるから、わかる。
でも、人間じゃないから。奴らは奴らの善意で、人間に、おせっかいする。
たまに、頭にくる。

けど、シリアル番号忘れるとかは・・・。
奴らだったら、ありえないからなー。
老化とか病気とかは、人間の特性で・・・。生粋のロボットには、ちょっとキツイはず。

倉庫は、ここ。
セキュリティ・レベルが高い場所だから、絶対、悪いことしないでね? つかまるよ?」


そういって、開かれたドアの向こうには・・・

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同じボディをもつ、ロボットが。

いや、
パーフェクト・シリーズが・・・無数に、うずくまっていた。



奴らは、キレない。
今までも、これからも・・・。そういう仕様だから。
しかし・・・。

この光景って、とんでもなく不幸そうじゃないか!?
パーフェクト・シリーズが、
たまに、こんなことになってるとか、想像もしてなかったよ!! 私は!!



倉庫で
悪事を働くなよって言った
バイトの兄ちゃんに、聞いてみた。

「主と喧嘩して。それで、このロボットたちは、もどってきたの? とても、数が多いけど・・・」

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「そんなはず、ないしー」
バイトの兄ちゃんは、気楽に発言する。

「?」


バイトの兄ちゃんは、鼻をならす。
「パーフェクト・カノジョを、もってるから言うんだけどさ。
あんたも、めり込んでるから言うんだけどさ。
こいつら、主を選べない。たまには、ひどい主にもあたる。
こいつらに、教師や秘書の能力があるのは事実だ。でも、そんなん、どうでもいいっていう人もいる。
そして、パーフェクト・シリーズには、主間のマッチングをする能力がある。
けど。それだって、関係ないっていう人はいるよな?
当たり前さ。
人それぞれさ。

大半のパーフェクト・シリーズは、故障して、ここに帰ってきてるんだ・・・。
理由は、想像してほしい・・・。

ところで。
あんたは、自分のロボットを、どうやって見分けるつもりだ? 
奴ら、協力してくれないぞ?」


-------------------

バイトの兄ちゃんに、
ロボットが残した、メモ用紙を見せる。

『早めに、さがしにきてください』 



バイトの兄ちゃん、納得してくれた。
「・・・・・・・・・・。探したほうがいい。
しかし、この中の、いったいどれが、あんたのロボットなんだろうな?
奴らにとっては、シリアル番号が絶対なんだ。
そして、外見そっくり同じ。
どの個体が、どの個体なのかは、生産者ぐらいにしか、わからない。
この工場では、
ある意味、
特殊な能力をもった人たちが、奴らを個体識別をしてるんだけどさ。
呼びたい? 
説教されるけど、
あの人たちなら、確実に、あんたのロボットを見つけてくれるよ。

・・・・・・・・・・ 

どうして、ロボットたちに、ぺたぺた、さわってるわけ? 
こいつら、起動中だから、怒るときは怒るよ? 
倉庫内は、充電し放題なんだ。」



「ロボットに、身体的特徴とか、あったかなーって。思って・・・」

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すかさず、バイト君が言う。
「あんたに、さわられてるロボットが、嫌な顔してる・・・。
あんたと、あんたのロボットは、凶悪な関係だった? 
そんなことないのなら。
そいつは、ちがう。」



・・・・・・・・・・。いい思いつきだと思ったのに・・・。
「この倉庫にいる全部のロボットに、嫌そうな顔させるのは、非効率的だよね?」
「ここに、パーフェクト・シリーズが、何台あると思ってる? 対象多すぎ。効率最悪」



--------------------

あっちにも、こっちにも
ぐたーっと、伸びてるパーフェクト・シリーズがいる。
起動音が、あちこちでしている。
再起動してる奴も、いそうだ。


・・・・・・・・・・



同居の、パーフェクト・シリーズは
どんな奴だったっけ?

奴は
いつも、きちんとしてて・・・。こういう姿、見たことなかったなー。
とても、疲れている感じ・・・。




・・・・・・・・・・・。
なかなか、思い出せないものだ。
同居のパーフェクト・シリーズの
具体意的な特徴・・・とか?

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おろおろしてると
バイトの兄ちゃんが、にやっと笑った。

「身体的な特徴で、ここにいる全部をチェックすると、時間かかりすぎるよー?」



しかも
どうやら
彼は、あらぬことを、想像しているらしい。

何故、
そう思ったかって?
妙なゼスチャーが、はいったから!!

--------------------

・・・・・・・・・・。
あらぬことの話題は、スルーするとして。



考えても・・・ 
考えても・・・?

わかった!!

「ロボットだけど、ボールペンのインクの染みが、手に残ってる!! 
さらに、ロボットだけど? 爪の形も、一人一人違う!!」



しかし・・・
バイトの兄ちゃんの、脱力っぷりが、はんぱないわけで・・・。

「おー。正解ー!! しかし、こいつらに、爪を見せろといってまわる?
本当に、特徴がないっていう特徴が、こういうとき、きついよな。
しかし、奴らにも、主から離れるチャンスは必要だから。そういう意味では、特徴がないのも、いいもの・・・。なに?」



・・・・・・・・・・
バイトの兄ちゃんの言うことは、正しい。
見分けられない程度の愛着なら、離れてしまえとか。

それでも!!

迎えに来たんだ!!!!!!!!!!
連れてかえるんだ!!!!!!!!!!

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「あんたのロボットは、ゴミ捨て場のほうにいった、なんてことはないよな?」


突然、
またまた、不吉なことを言ってる、バイトの兄ちゃんだ。
・・・・・・・・・・。
次の機会に、ゴミ捨て場は見よう!!




「消えたいロボットは、自分から、ゴミ捨て場のほうに行っちゃうよ?」

うわー
不吉すぎ!!



「ただ。奴らには、奴らの価値観があるから・・・。それでも、絶望してるとは、いえない」
「・・・・・・・・・・・。やっぱ、何日もかけて探すしかないか・・・。
・・・・・・・・・・。ところで
さっきから気になってたんだけど。あのロボットって、だんだん、近くにきてない?」



「・・・・・・・・・・」 ←バイトの兄ちゃんは、そんなこと、一切気にしていなかった・・・。
「・・・・・・・・・・。そばに、来てるよね?」




「わからん」
「・・・・・・・・・・。あのロボットの、手を見てみるね。ちょうどよく、特徴も思い出したし。」




「ご都合主義・・・」
「( バイトの兄ちゃんが、意地悪です )
・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・。このコなんじゃない? 私のロボット・・・」



「自信なさすぎ・・・」
「( このバイトの兄ちゃんは、たまに、意地悪です!! しかし、たまにです。)
・・・・・・・・・・・。
おうちに帰ろう?
シリアル番号も、思い出せたよ?」


--------------------

「シリアル番号とか。聞き覚えると、あとで、こっちも困るから、少し離れるぞ・・・」
バイトの兄ちゃんが、そういった時だった。
『声紋確認。マッチング率、80パーセント以上!! 良縁発見!!』 ・・・う。うえっ!?


目の前の、
パーフェクト・シリーズが、そういったんだ・・・。
( うちのパーフェクト・シリーズは、一体、何がしたい!? )




ざわ・・・。
『80パーセントだと?! 
協力するぞ? この倉庫には、長らく世話になってる。
今後の倉庫生活のため、
倉庫に近しい人が、幸福である必要がある。本当に80パーセントか? ちゃんと、探したのか?』

『探してないわけ、ないだろー!! 探したよ。探したんだ!!
なかなか、いい数字は出なかった!! 
この80パーセントは、かなりいい!!』

ざわざわざわ・・・・・・・・・・。

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そして



「パーフェクト・シリーズは
ぜったい、何かたくらんでるっ!!」  

バイトの人は、こういう主張を当たり前にする人になった。
しかし、幸せそうではある。
かくして、
人の世は、たくましく続く。

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22世紀、地球。

パーフェクト・シリーズと呼ばれるロボットによる
マッチング・サービスは、
今後も、盛況みたいです。



END



追加 午前 1:22 2010/03/03 修正しました。
   
さら追加 午前 8:12 2010/04/10 ブログ間の引越しにともない、行間を修正しました。
     さらに、文字数超過のエラーも出たため、前後編になりました。
     本当に、大丈夫かぁ?


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