象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

シスラーとルース〜野球の神様はどっちだ?

2021年09月20日 06時24分01秒 | スポーツドキュメント

 かつてイチローがジョージ・シスラー(1893−1973、写真右)のMLBシーズン安打記録を塗り替えた時、このシスラーこそがベース・ルースに匹敵する程の打者であった事に、アメリカのメディアですら殆ど触れなかった。
 「されど大谷”その22”」に寄せられたコメントで、シスラーの事を思い出した。
 以下、ウィキも参考にして紹介します。


ルースか?シスラーか?

 シスラーがMLB記録の257安打を放ち、.407で首位打者にも輝いた1920年は、本塁打19本もルースの54本次いて2位で、OPSは1.08と安打製造機でもありながら、メジャーを代表する長距離砲でもあった。
 更に、打点(122)と2塁打(49)と3塁打(18)もリーグ2位だった。当時は試合数が154試合だったから、今の162試合ならイチローの新記録(162安打)は絶望だったかもしれない。

 翌1922年には、MLB史上3位となる.420を残して首位打者に輝き、更に41試合連続安打のMLB記録をも成し遂げ、球聖タイ・カップをして”最も完璧に近い野球選手”と言わしめた。
 しかし、当時はベースボールと言えば”ルースの時代”であり、1919年に29本、20年に自らの本塁打記録を大幅に上回る54本をたたき出し、MLB全体が一気に”ホームランの時代”へと移行する転換期でもあった。
 故に、シスラーの様な三拍子揃ったスピードとテクニックを高度に奏でた完璧な選手は少なからず軽視された。
 もしルースがこの世に存在しなかったら、シスラーこそが”野球の神様”とシて君臨してたかもしれない。

 メジャーデビューの1915年は、1塁手と投手を兼任する二刀流で、投手としては24試合登板で、5勝6敗の防御率2.35を残した。
 目の病気で欠場する前の1922年までは、守備に加えて打撃や走塁面でも傑出してたから、”20世紀の最初の30年間で最高のファースト”と呼ばれた。
 殿堂入りというだけでなく、メジャー史上1、2を争う程の打者でも、イチローが安打記録を破った時は、彼の輝かしい偉大なキャリアは殆ど話題にもならなかった。
 イチローには悪いが、シスラーとはそもそも次元が違ったのだ。


最後に

 勿論、周囲やメディアは(解説者も含め)子供みたいな論調で記録更新に大はしゃぎし、本人は自分の記録に深く酔い知れる。
 気持ちは解らなくもないが、過去の偉人を正当に評価するというのも、プロとしては必要な姿勢ではある。
 今の大谷フィーバーを見てると、そういう気がしないでもない。

 特に、長らく現役で活躍してきたプロ野球解説者が、数字だけに拘り、飽く事なく延々と記録更新を話題にするのには、いい加減ウンザリでもある。

 ただ、歴史にもしはタブーだが、入団7年目のベーブ・ルースが三刀流をNYYでもそのまま続け、肉体と精神が破綻してたら?
 いや、入団9年目のジョージ・シスラーが目の病気に悩まされなかったら?
 シスラーこそが”野球の神様”と今でも呼ばれてたかもしれない。
 イチロー・フィーバーに隠された歴史の真相には、実はこんなお宝が隠されてたのだ。

 故に、大谷のMLB史上103年ぶりの”2桁勝利2桁本塁打”狂騒曲にも、ベーブ・ルースという偉大なお宝をもう一度発掘すべきではないだろうか。
 そう思うのは私だけだろうか?



6 コメント

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偉業は誰がために (paulkuroneko)
2021-09-20 13:06:14
さすが上手くまとめましたね。
王とアーロン
イチローとシスラー
それに大谷とルース
メディアや周囲の騒ぎようは非常によく似通ってます。
勿論、記録を超えることは評価すべきですが、過去の記録をもう一度深く考察し、敬意をもって評価するという真摯な態度はもっと評価すべきですね。

NHK野球解説者の武田氏が”ルースを大きく超えちゃってる”と発言してましたが、この人は日本の野球以外には何にも知らない。
転んださんの言葉を借りれば、”無知のまま大人になった”ってなるんでしょうか。
当然、選手は数字で評価されますから、時代に合わせた数字の有効性に鋭くメスを入れるべきなんですが・・・
ただ単に表面上の数字だけを追いかけ、選手を褒め称えるというのはどう見ても子供の論調ですよね。
paulさん (象が転んだ)
2021-09-20 14:52:19
王さんとアーロンの時もそうでしたね。
慌てて旧後楽園の球場の両翼を77mから85mに広げました(笑)。

アーロンは打点もメジャー記録2997を持ってましたが、メディアはそういう事に一切触れず、755本塁打という数字だけを報じただけでした。それに本塁打の飛距離も全盛期のルースを凌ぐほどでした。
本塁打や打点の偉業以外に、3771安打(歴代3位)、6856塁打(歴代1位)で、”30−30”を達成した安打製造機のオールラウンダーだった事にも一切触れませんでした。

如何に日本人とメディが無知である事を思い知らされますよね。
コメントとても参考になりました。
ガキの論調 (tomas)
2021-09-20 16:42:28
確かに・・・です
でも今日の試合は緊迫感がアリアリでした。
両投手とも非常に良かった。
モンタスは僅か1安打で勝ち投手になれず
大谷は5安打10三振の2失点も10勝目を逃した。

投球の半分近くをスプリットが占めてたけど
8回は鬼気迫る形相での99マイルでした。
まだあんな力が残ってたんですよね。
まるで天国にいるルースさんが後押ししてくれたような気がしました。
多くて残り2試合ほどの登板かもしれませんが
なんとか二桁だけは勝たせてやりたいです。
tomasさん (象が転んだ)
2021-09-21 05:49:09
仲8日というより、前回の登板(3回1/3)の球数が少なかったから、心配された肩の状態はよかったですね。
ただ、8回は流石にバテてました。アスレチックスじゃなくてアストロズだったら、多分ヤラれてました。

今頑張りすぎて、今年がピークって事もあるので、記録に拘る気持ちも解るんですが・・・
多分、レンジャース戦が最後の登板だと思うんですが、それまではゆっくり休んでてほしいですね。
9試合ノーアーチ (tomas)
2021-09-21 19:27:55
やっぱり
登板の翌日は休ませたほうがいい。
微妙なズレが
二刀流による蓄積疲労のせいで修正できない。

三刀流を5年続けたベーブルースが音を上げたように
今の大谷も表面上の疲れはないものの
深いところでは音を上げつつある。
ここまで来たんだからという気持ちと
来シーズンのことを考えてという気持ちと
複雑ですよね。
tomasさん (象が転んだ)
2021-09-22 00:57:52
本人は”健康でさえあれば、ずっとで続けたい”と言ってるけど・・・
本人は”まだやれる”と思っても、不振が長く続きすぎると肉体より精神にも悪影響を及ぼすし
まぐれでも一本出れば、吹っ切れるだろうし、でも蓄積疲労は簡単にはとれないだろうし、登板の翌日は絶対に休ませるべきですよね。

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