象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

スランプと歴史的大偉業と〜されど大谷”その22”

2021年09月19日 05時17分59秒 | ベーブルース

 正真正銘のスランプに陥った様な気がする。明らかに、無邪気にプレーしてた大谷翔平の様子がおかしくなり始めてはいる。
 つまり、二刀流という二つの鋭い刃先が大谷自身に向いてる様な気がしないではない。
 オールスター戦以降の、特に打撃の不振は単純に”疲れ”から来るものだと、私も思っていた。
 しかし、事はそう単純ではなさそうだ。


103年以来の大偉業

 日本だけでなく全米中も、”打撃の神様”ベーブ・ルースですら成し得なかった”50本&10勝”という、その数字だけに焦点を当て、MLB史上初の大偉業に浮かれきっている。
 勿論、ルースの時代と今のメジャーを同じ尺度で比較する事は、ナンセンスである。
 それにルースは(大谷とは異なり)、メジャー最初の5シーズンを投手と打者と外野手の”リアル3刀流”で通した。
 これも記事にする予定だが、ルースが”9勝&29本”を成し得た1919年のチーム最多本塁打数はNYYの僅かに45本。それに対し、100年後の2019年はMINの307本(MLB新記録)。
 因みに、今年はTORがトップで、このままで行けば約260本となる。

 今は”飛びすぎるボール”が話題となってはいるが、ルースが29本を放った年も”飛ぶボールの時代が到来した”と大きく騒がれた。
 しかしルースは、”殺人打線”と恐れられたチーム(NYY)の本塁打の半分以上を、自分のバットだけで叩き出した事になる。
 このルースの偉業を今年の数字に換算すれば167本を放った事になる。
 因みに、前年の1918年も”13勝11本”という偉業を成し得たが、この年のチーム最多本塁打は15本(PHI)で、今に換算すれば190本という桁外れの数となる。
 勿論、単純な比較は危険すぎるが、如何にルースという存在が傑出してた事が理解できるだろう。

 大谷を褒め称え、騒ぎ立てるメディアや解説者の気持ちも理解できなくはない。しかし、こうした過去の偉大な記録にも敬意を表し、公平な基準をもって比較すべきであろう。

 
正真正銘のスランプ?

 ここ2日程は持ち直した感もあるが、先週の大谷は特に酷かった様に思う。
 三振が多いのは大谷の特徴だが、それが問題ではない。体が前にのめり込みすぎて、変化球も4シームも焦点が合わず、野球を知らない人が見ても”何かがおかしい”と感じるだろう。
 お陰で9月は、.187(9/48)と不調だった8月の.208(20/96)を下回る。本塁打こそ8月の5本(19打数に1本)で、9月は2本(24打数に1本)とそこまで心配する数字ではないが・・・

 それに、ベンチ内での表情も今までの大谷とは随分違う様に思える。絶好調時の躍動と無邪気さが消え去り、何かに深く重く悩んでる様な気もする。
 事実、”打撃が元に回復するには1ヶ月以上掛かるかな”と本音を漏らしたという。
 たとえそれが事実でも、今現在の”44本&9勝”の若干27歳のそれも日本人が成し得た金字塔は、(ルースを除けばだが)それを破り去るメジャーリーガーは(多分)出てこないだろう。
 つまり、それだけの歴史的な数字を、大谷は自らのバットで叩き出してるのだ。肉体だけでなく精神的にも、それに見合うプレスが重く大きくのし掛かってるのは容易に想像できる。
 逆を言えば、今現在の数字だけでMVPは当確だし、来シーズンの事を考えれば、10勝を確実にする為に、打撃を捨てて投手だけに専念するのもアリだと思う。

 勿論、”50本&10勝”という夢の金字塔を見てみたいと、我らファンは勝手に願う。しかし、大谷の今と将来を考えると、目先の偉業の為だけに無理をしてほしくはない。つまり、ここでケガをしたら、全てがパーになる。
 そんな事を漠然と思いながら、眠りについた。 


改札口にて

 私は、福岡天神駅のコンコースの中央にいた。九州一の中心駅とあって、多くの人で混雑していた。次の試合の為に、私達は電車を使って移動してたのだ。
 真夏のとても熱い日だった。
 改札口が集結するメインホームへ駆け上ると、お盆休みの客でごった返しし、うだる様な熱気に包まれ、チームの誰もがウンザリだった。
 そんなメインホームの片隅に、まるで人混みを避けるかの様に、大男が体をたたむ様にして座り込んでいた。
 疲れ切ってるのは明らかだった。
 そばに寄って声を掛けようとしたが、流石に躊躇ってしまう。あまりにも落ち込んでいたからだ。
 しかし、何処かで見たような顔だった。
 そう彼こそが、大谷翔平だったのだ。

 因みに、前回”その21”に引き続き、大谷は私の夢に10回ほど登場したが、今回ほど落ち込んだ彼を見た事はなかった。 
 そんな大谷を見て、私も大きく疲れてしまった。”こんな熱い日に電車で移動なんて、頭がイカれてる・・・”

 切符を買おうにも自動改札口は満杯だし、ここは勇気を持ってエアコンの効いた職員室に飛び込んだ。
 ”改札口が空きそうもないので、ここで切符を買えないだろうか?”
 しかし、駅の職員はビックリしたような表情で、”窓口を開けますのでそこに並んで下さ〜い”と言うだけである。
 私は仕方なく、窓口に並んだが、ここでも多くの客がここに殺到し、パニック状態となる。お陰で、すぐにこの臨時の窓口は閉鎖になった。

 次の移動場所に向かう電車の便の時間が迫ってくる。
 それでも、切符を買えそうな状況にはない。私は職員に事情を説明し、切符を特別に手配してもらった。
 その職員は、親切にも出発便のホームへの近道を教えてくれた。
 私は改札口から飛び出し、大急ぎでそのホームへと向かう。その時、隅にいた大谷が目に入ったが、彼は静かに俯いたままだった。
 声を掛けようとも思ったが、そんな状況でもなかったし、声を掛けれる雰囲気でもなかった。

 私は迷った挙げ句、ホームへと急いだ。しかし迷った分、電車にはギリギリの所で乗り遅れてしまう。やれやれと思い、時刻表を確認すると、次の電車は30分後だ。
 私は何もかもが嫌になった。こんな暑い時は中洲で遊ぶに限る。
 ”そうだ、大谷を誘ってパぁーとハメを外そうじゃないか”
 そう思うと、改札口へ駆け上がり、大谷に声を掛けようとした。
 しかし当の大谷は、俯いたままだった。何かに思い耽ってるらしく、声を掛けるのが気の毒になった。
 私は、チームのマネジャーに電話しようとスマホを取り出した。
 その時、夢から覚めた。 


最後に〜天使の休息

 今の大谷には、気分転換が必要だと思う。
 日本だけでなく全米中でこれだけ騒がれて、浮いた噂の1つもない。如何に彼が、野球に記録に自分に真摯に立ち向かってる証拠でもある。
 一方でルースは、腐るほど女を抱き、樽腹になる程までに、酒と肉をたらふく喰らった。
 勿論、そこまでハメを外す必要もないが、ある程度の気分転換は必要だろう。

 神様に近づくというのは、それだけでも苦行の道なのかもしれない。しかし、ここで無理をしてケガしては、神様も嘆くだろう。
 多分神様は、大谷に休息を求めているのかもしれない。夢の中の彼も明らかに休息を求めていた。
 勿論、休養だけでスランプが解ける保証もないが、ここで無理をすれば、最悪一生を後悔する事になる。

 二刀流による右肩と右上腕への疲労の蓄積が、打撃スランプの起因になってる気もする。つまり、上腕が張ってるから体の開きがどうしても早くなる。
 本人は”疲れはない”と思ってるらしいが、疲労の蓄積は知らない所からやってくる。”気がついたら壊れてた”というのは、よくあるケースだ。
 解説者もメディアも、大谷の二刀流も含めた彼の将来について真剣に論ずるべきだと思う。
 目先の記録に浮かれきり、自分や本質を見失うのはよくある事だ。

 ルースがそのまま”三刀流”に拘ってたら、BOS時代の5年間で彼のキャリアは終わってたかも知れない。
 つまり絶頂期ほど、人は危機意識を持つ必要がある。そう思うのは私だけだろうか? 



11 コメント

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休息か偉業か (paulkuroneko)
2021-09-19 08:29:20
十分に納得の行く論説ですね。
確かに、チーム本塁打が45本の時代と260本の時代を同じ物差しで比較すべきではないです。
でもメディアって不思議とこういうことには殆ど触れません。
ただひたすら103年以来の2桁勝利&2桁本塁打ですから。

かつてイチローがシスラーのシーズン安打記録を塗り替えた時も、シスラーがベースルースに次ぐ長距離ヒッターであることに殆ど触れませんでした。
勿論、記録単体で見れば凄い数字なんですが、目の超えた野球ファンからすれば、子供みたいな論説ではしゃぐのもウンザリってのがありますよね。
訂正です (paulkuroneko)
2021-09-19 08:31:56
子供みたいな”論説”ではなく
”論調”の誤りでした。
paulさん (象が転んだ)
2021-09-19 11:14:17
かなりのメジャー通ですね。
シスラーがMLB記録の257安打を放ち、.407で首位打者にも輝いた1920年は、本塁打19本と打点122もルースの54本に次いて2位でした。試合数も154試合ですから今の162試合だったら、イチローの新記録は微妙でしたね。
それに、1922年にはMLB史上3位の.420を残して首位打者に輝き、更に41試合連続安打のMLB記録も成し遂げ、タイカップをして”最も完璧に近い野球選手”と称賛されました。
しかし当時はルースの時代であり、彼がいなかったら、シスラーこそが野球の神様と呼ばれてたかもしれませんね。
因みに、彼もまた入団時は二刀流だったそうで、ウィキを参照です。

これだけの選手でも、イチローが安打記録を破った時は、殆ど話題にもならなかったんですよ。イチローには悪いんですが、次元が違いますね。
勿論、自分の記録に酔うのも解りますが、過去の偉人を正当に評価するというのも、プロとしては必要な姿勢ですよね。
確かに・・・ (腹打て)
2021-09-19 12:39:41
当時は黒人は排除されてたが、有能でインテリな白人層も多かったし、プレーの質とレベルも違ってたんだよな。
それに球団数は16だったし、球場も両翼を除き今よりもずっと広かった。
ボールも今のやつよりも確実に飛ばない。

今は大谷一人でメジャー人気を牽引してるようなものだけど、限界はある。
シスラーのことは名前くらいしか知らなかったけど、こんなに凄い選手が歴史と記録の闇に埋もれてたなんて、そっちの方が信じられない。
復調の気配 (tomas)
2021-09-19 14:33:55
最後の4打席目は完璧でした。
逆方向にいい打球が飛び始めましたね。
復調の兆しが見え始めて
ここ3試合で12打数5安打
9月は1割台だった打率も2割台に乗せました。

明日はいよいよ先発だけど
どうなのかな?無事クリアできるのだろうか?
念願の二桁勝利で103年ぶりの快挙には
転んださんは少し懐疑的にも思われてそうですが
怪我なくトラブルなく達成してほしいです。
腹打てサン (象が転んだ)
2021-09-19 18:54:43
結構みんな知ってんですよね。
でも敢えて口に出さない人もいる。
日本人の日本人によるメジャーの大偉業だから、それに”世界の王さん”とは次元が違うし、”世界のイチロー”ともやっぱり違う。
でも敢えて勇気を出して、口にしてほしかった気もするんですよね。

でないと本当の大谷の偉業が時間と共に消え失せていく様な気がする。
王さんもイチローさんも記録フィーバーでは湧いたけど、その後は???だったから。
テンションは最高に盛り上がってるのは解るんですが、ここに来てケガだけには気をつけてほしいですね。
tomasさん (象が転んだ)
2021-09-19 19:05:28
心配なのは、明日登板する事で再び肩や上腕に張りを覚えるんじゃないかって事です。
今は気が張ってますから、イケイケドンドンの状態ですが、こういう時に致命的なケガをするんですよね。

マドン監督も1週間くらいローテを飛ばしてもと思うんですが・・・どうせBクラスは決まりだし、無理する必要もない。
個人的にはメジャー最弱のレンジャーズ戦で決めてくれればいいかな。
祝45号 (tomas)
2021-09-22 17:27:57
とうとう待望のホームランが飛び出しました。
まさかとは思ってましたが
第三打席のセンター前ヒットがとてもいい感じだったので
一応期待はしてました。
言われる通り、登板の翌日は休養に当てたほうがいいですかね。

でもこうなると再び本塁打王のタイトルがチラつくんですよ。
解説の今中も50本も期待できるとか言ってたけど・・・こういうのが誇大要求なんですよね。
ここまで来ると全ては運次第だから、何も考えずにホームベースに通過する球だけを打つ。
そして少しでも異変を感じたら休養を申し出る。
それしか最善の策はないのかな。
tomasさん (象が転んだ)
2021-09-22 19:00:15
とうとう出ましたね。
これで諸々が払拭出来ればいいんですが。
調子自体は数日前からよくはなってたんですが、登板で無理したせいか、復調が遅くなりました。
明日はどうなるかはわかりませんが、ケガだけは気をつけてほしいです。
投げる方はレンジャーズ戦だけに絞った方がいいとは思いますが。
勝負してくれない (tomas)
2021-09-24 19:25:45
ここ2試合で7つのフォアボール
地区優勝常連のアストロズさえこの調子だから
明日からのマリナーズも外角中心でしょうか。

ただもっと積極的にゾーンの球を打ちに行くべきかとも思うけど
内角を意識して踏み込めないのか
調子が戻りつつあるのに何とももどかしい。

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