象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

リアルなファンタジー〜されど大谷”その20”

2021年07月30日 05時13分06秒 | ベーブルース

 最近の大谷翔平は、異常なまでに機嫌がいいらしい。
 救援明けは流石にバテ気味だったが、ここに来て完全復活。このままの怪我なく順調に行けば、50本近くには到達するであろうか。打点も120超えれば、打撃二冠も射程内である。
 特に今年の大谷は精神的にすごく安定している。故にスランプがないから異次元のパフォーマンスを安定して披露している。そしてそれは、夢の中でも全く同じである。
 前回”その19”に引き続き、大谷の夢の中での登場は、これで7度を数える。

 正直、大谷に関しては、その驚異の躍動と鼓動を持ってしても、不思議と興味は掻き立てられないし、ファンという程でもない。
 逆に私からすれば、あまりに優等生過ぎて、出来過ぎ感がありすぎて、つまらなく思う時がある。
 勿論、オリンピックがもたらすワザとらしい作られた感のある感動とは、異次元のものではあるが。
 それでも夢の中に大谷がしつこく登場するのは、それだけ私の脳裏に彼の衝撃が深く強烈に刻み込まれてるのだろうか。 


とあるホテルの一室にて

 夢の中で見た大谷は、相変わらず絶好調だった。
 彼は、とあるホテルの一室で本を選んでいた。
 そこへ営業マンらしき男がやってきて、黒い本皮のハードカバーで覆われた分厚い本を取り出し、積極的に勧める。
 私は反対したが、大谷は乗り気で内容を確かめる事もせずに、その黒い本を購入した。

 彼がその分厚い本を真ん中から開けると、白いクリームパイがいきなり飛び出してきて、大谷の顔に直撃する。
 営業マンが再びやってきて、更に頭の上にパイをかぶせた。
 大谷の頭と顔は、ホイップクリームで真っ白に染まった。
 私は少しやりすぎだと思った。
 しかし大谷は、ただただ笑っていた。

 私は少し熱くなった。
 ”少しやりすぎだろう!金払って本を買って、そしてこれはないだろ!”
 大谷はずっと笑い続けていた。
 ”いいんですよ。薄々は感じてたんですが、でも一杯食わされましたよ”
 私は、”お前はバカか?それとも度が過ぎるお人好しか?”と心の中で叫んだ。
 その後、私は営業マンが置いていった数冊の本を読み比べていた。しかし、本の内容は全く覚えてはいない。

 そこでも大谷とは色んな話をした。
 殆ど覚えていないが、深刻な話もしたような気もする。
 私は大谷にアドバイスした。
 ”本を読むなら、短編モノで古書の方がいい。読んじゃいけないのは日本の推理小説だ”
 大谷は怪訝な表情を浮かべた。
 ”推理モノって大好きなんだけど、ダメなの?”
 ”ダメじゃないけど、あんなのは時間の無駄さ。君は忙しい身だから時間を有効に使うべきだ”
 ”で、具体的にどんな本?まさか数学モノじゃないよね”

 私はピンク色のハードカバーの分厚い本を手渡した。
 大谷は目を丸くする。
 ”こんな分厚い本、読めないよ”


リアルなファンタジー

 私は本の中身を確認した。図書館で実際に借りてた短編小説集(写真)だった。
 夢の中に現実に存在する本が登場するというのも妙な話だが・・・
 私はある表題に目を移した。
 ”リアルなファンタジーという不思議な領域に飛び込む、偶発的で厳密なコミニュケーション・・・”
 本を読んでるうちに、露頭に迷い込んだような気がした。

 知らないうちに営業マンが戻ってきた。
 ”気に入ったものありました?”
 私は男を睨んだ。
 ”アンタは本が読めんのか?”
 男は少し怪訝な表情を浮かべた。 
 ”バカにしないで下さい。一応は小説マニアなんですから”
 ”いや、そういう意味じゃないんだ”
 ”だったら、どういう意味なんです?”
 ”純文学とか、純粋な古書が読めるかって事よ”
 ”読めなくはないですが、拘る必要もないのでは?”
 ”美しい日本語には興味がないのか?”
 ”いや、日本語はそもそも美しい言葉ですよ”
 ”オレはそうは思わない。日本語は使う人によっては腐った言葉にもなる”

 そこに大谷がやってきた。
 ”腐りやすい言葉ってこと?”
 ”そう、日本語は腐りやすい”

 営業マンが口を挟む。
 ”抽象的すぎるからですか?だったらこんな本はどうです”
 男は東野圭吾の本を勧めた。
 私はキレた。
 ”アンタはバカか!これはミステリーという名のマンガじゃないか!”
 大谷が間に入った。
 ”でも面白いですよ。日本だけでなく韓国にもにもファンは多いし、よく映画化もされてるじゃないですか”
 男も同調する。
 ”作風にクセがなく、軽いと言えなくもないですが、そこが人気なんですよ”

 私は孤立した様な気がした。
 ”君たちには<学問>というのが解っちゃいない。小説は学問の一部であるべきだし、エンタメじゃない。そして日本語は、その小説の基盤をなす言葉であるべきだ”
 2人とも不可思議な顔をしていた。
 私はますます気不味くなった。
 そして、周りには誰も居なくなった。何もない部屋に、本だけが無造作に置かれていた。
 ”俺にとって友達と言えるのは、本だけなのか?” 
 その時、夢から覚めた。


最後に

 そう、東野圭吾の作品はリアルで薄っぺらなファンタジーなのだ。
 確かに今の若者は、ミステリーと言うだけで何にでも飛びつく。そういう私もミステリーは嫌いではない。
 しかし、西村京太郎シリーズと同じで、全てがペラペラで同じ質感と同じ調子で、特徴や個性や癖がないと言えばそれまでだが、それ以上に平坦すぎる感じがする。
 特に「白夜行」なんかは、オチやウケを狙いすぎたせいか、最後はマンガみたいになった。
 逆に映像化しやすいという点では、彼の作品は脚本家からすればもってこいだろう。

 私が大谷に不思議と興味を覚えないのは、そうした平坦過ぎる個性のせいでもあろうか。出来過ぎ感が満載で、逆に薄っぺらに感じてしまう。
 しかし、彼の礼儀正しさは好感をモテるが、一時の清涼感みたいで、これまた平凡にも感じてしまう。
 私は一体、大谷に何を要求してるのだろうか?



2 コメント

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Unknown (びこ)
2021-07-30 11:22:55
やけにリアルな夢ですね。転象さんは、もうずっと夢の中に生きていたほうがいいかもと思うくらい…? 私が本を読むのは現実逃避もあるから、やはり綺麗な夢のあるのがいいです。という私は、ほとんど夢を見ない人です。覚えていないだけと言う人もいますが、一度でもいいから転象さんのようなリアルな夢を見てみたいものです。
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ビコさん (象が転んだ)
2021-07-30 12:36:29
私がリアルでファンタジーな夢を見るようになったのは、一昨年に大谷が夢に出た時からです。あの時から夢がしっかりと記憶に根付くようになった。

多分ビコさんも夢は見てる筈ですが、記憶に残ってないだけですね。私からすればそっちの方が羨ましい限りですが。
ただ綺麗な夢ってのは残念ながらそうそうないですね。夢の中で鬱になったら洒落にもならないですから・・・
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