象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

4630万円の行方〜口座凍結は誰が為にある

2022年05月26日 02時12分09秒 | 芸能&三面記事

 先月8日に、山口県阿武町が新型コロナの給付金4630万円を誤って振り込んだ問題で、警察は18日、誤振込である事を知りながら現金400万円を決済代行業者に振り替え、利益を得た疑いで24歳の男を逮捕した。
 メディアは、男がつぎ込んだとされるネットカジノの分析を元に、銀行口座の入出金記録を公開し、男の金使いの荒さを指摘するが、今回は明らかに自治体や銀行の対応にも問題がある。

 勿論、誤振込と知りながら、”振り込まれたんだから俺の金だ”と(僅か10日間で)一気に使いまくった男は明らかな犯罪だが、その間に何もしなかった(いや出来なかった)自治体や銀行にも大きな責任と慰問点がある。
 マネロンなど金融犯罪を未然に防ぐ為の銀行が果たす役割は大きい筈だ。
 実際、海外送金のやりとりは大変厳しく、取引の度に銀行から一々電話が掛かってくるという。或いは、まとまったお金が口座に振り込まれたりすると、これまた銀行のチェックが入る。
 今回の件も、疑えば(コロナ陰謀説同様に)キリがない。役場と銀行と男との裏取引が(万が一だが)あったとしても、そういう事を未然に防ぐ為にも、銀行は常に目を光らせておく必要がある。

 そういう私も、お袋が他界した時、何の知らせもなく口座を一方的に凍結され、痛い目にあった経験がある。だったら、事前から何度かに分け、自分の口座に移し変えれば・・とも思うが、銀行は取引を制限する場合があるという。
 それだけ普段から、大金の取引にアンテナを張り巡らす銀行が、今回の件でなぜ男の口座凍結に踏み切れなかったのか?
 自治体と連携してれば、明らかに誤振込な事は調べなくてもわかる筈。
 その瞬間に(誤振込の可能性があるとして)男の口座を凍結してれば、被害は最小限に食い止められ、男が容疑者になる事もなく、役場も恥を晒す事も大きな被害を被る事もなかっただろう。
 ただ今回のように、4000万を超えるお金が自治体から振り込まれた事に、銀行は何の反応もなく、何の確認もされなかったというのも不自然な気がする。


銀行は何故動かない?

 AmebaTVという番組では、様々な意見が出されたようだが、ここでは私の身勝手な主観を述べたいと思う。
 ”行政から個人という点で銀行側は確認はしづらい”という声もあるが、振込時にどんなエラーが生じたのかを確認する必要はあるだろう。
 これが欧米なら男性の口座をすぐに凍結したであろう。それに田舎の地銀であれば、役場との繋がりも密だろうし、心配であれば、金融庁に電話1本かければ、それで済んだ可能性もなくはない。
 4千万以上の取引であれば、銀行は(普段なら)チェックを入れる筈のに、今回の問題で口座凍結ができない道理はない筈だ。
 仮に、裁判になって”これは俺の金だ。口座凍結は無効だ”と主張しても、誤振込は自明で、それを無断で使えば明らかに犯罪である。

 ある弁護士は、”銀行はリスクを取らないし、責任を取りたくないから、相手にしない”と言うが、それは明らかに愚論である。
 勿論、弁護士が間に入り、”1/10の463万やるから4167万は返しなさい”と、司法取引の形になる可能性もあったかもだが、この方がずっと被害は小さいし、お互いに合理的でもある。
 事実、役場の責任はそれだけ重いし、結局、口座凍結は本人の為でもある。

 ”男にばかり注目が行き過ぎでは?”との幼稚な意見もあるが、誤振込と知りながら、市の説得にも応じず、僅か10日間で4630万近くをギャンブルに注ぎ込んだ男に注目が集まるのは当然だ。
 不運にも(いや自ら)容疑者となった男は、警察に出頭し、”全額カジノで使った”と口を割った。
 一方で、何も出来なかった自治体は”(弁護士費用を含む)5100万を要求”して提訴した。
 これに対し男は、”(少しずつだが)返済する”意思を示したという。

 結果から見れば、全くの??である。
 つまり、4630円の誤振込さえなければ、男の人生は狂う事もなかったかもしれない。
 いや、口座凍結さえしてれば、(カジノに手を染めた)男と(初歩的なミスを犯した)自治体の被害は最小限で済んだかもしれない。
 役場は、銀行に463世帯分の振込先を記録したフロッピーディスクを提出した筈だが、(銀行には)1世帯だけ記録された振込依頼書を誤って提出されていた。これが誤振込の真相である。
 銀行も銀行で、こんな初歩的なミスに気付く事なく振り込んだのだから、男に全ての責任を背負わせるのは、勘違いも甚だしい。

 そういう私だって、いきなり4千万以上も振り込まれたなら、それがたとえ誤振込であったとしても、神の御加護とみなし、全額とは言わないまでも、多少は羽根を広げるだろう。
 人間とはそういう生き物なのだ。
 人はいとも簡単なミスをする。大事な時ほど、慣れない事をする時ほど失態をしでかす。
 事実、今回のミスは、1×10=1×4630というレヴェルのミスである。
 しかし、どんな大きなミスでも、それを後悔するより、臨機応変の咄嗟の行動の方がずっと安く付く。
 そういう事を教えてもらった事件でもある。


追記〜空白と謎の10日間

 ”とっさの早い行動が必要”と言って、終わりにしたかったが、誤振込をした阿武町の花田町長が24日、”現時点で計4299万3434円を法的に確保した”事を明らかにした。
 容疑者の男は34回にわたり、約4633万円を引き出したが、その出金先はデビット決済と決済代行会社の3社。デビット決済には約340万円が、A社には約3592万円が、B社とC社は計700万円が振り込まれた。
 決済代行会社3社の口座は2つの銀行にあり、そこで町側は、国税徴収法などに基づき、誤振込の回収に乗り出した。
 容疑者と3つの代行業者には委任契約があり、”公序良俗に反する取引”とし、誤振込から20日後の4月27日に3つの口座の差し押さえを申し立てていた。一方的2つの銀行にも、”疑わしい取引”として金融庁への届けや3社の情報提供などについて対応を迫った。
 3社の事務所などが判明すると、逮捕翌日の5月19日に東京の3社の事務所に行き、差し押さえと取り立て命令の書類を渡した所、翌日に3社から町の口座に入金があった。
 町の代理人は”なぜか、満額払ってきた”と話した。しかし、残るデビット決済の340万は、現時点で回収できていない。

 容疑者は”オンラインカジノで全部使った”などと言ってたが、代理人も”使ったと言ってるが、何か財産的価値のあるものが手元に残っている状態ではない”などと説明している。
 しかし、容疑者から決済代行に移動した金はどんな状態なのか?実際にカジノで使ったのか?残金の正確な金額ども含め、なおも多くの疑問は残る。
 町が9割超の回収を確保した事で、大きな山は超えた感もあるが、容疑者が実際に返済すべき金額はどうなるのか?また、決済代行会社はどんな意図で町に全額入金したのか?容疑者がカジノで大儲けした可能性はないと言い切れるのか? 
 仮に、決済代行会社は損失を被ったのなら、”会社が容疑者に請求する可能性もあるのでは?”との指摘もある。
 以上、「阿武町長、4299万円確保も・・・」からでした。

 しかし事件の発端は、(初歩的すぎる程の)町のミスから始まったものである。 
 興味を持つ程に、情けない事件でもある。
 わざわざブログにする程でもないが、最初に口座凍結にしとけば、ここまで大騒ぎになる事も、町の職員や容疑者がここまで責められる事もなかった。
 3億円強盗みたいに、4630万を持ち逃げして姿を眩ませた方が、(阿武町民には気の毒だが)ずっと絵になる事件だったかもしれない。

 全く、謎と疑惑の10日間である。
 個人的には、何らかのサプライズがほしい所でもある。



14 コメント

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阿武町の性善説 (平成エンタメ研究所)
2022-05-26 09:00:04
阿武町は性善説に立ってしまったんでしょうね。
言えば、返してくれると思った。
銀行は凍結の要請がないので、そのままにしておいた。
田口容疑者は、カジノで儲けて返せばいいと思った。
あるいは代行業者と結託して、カジノですったと見せかけてお金をプールした。
代行業者は、これ以上ツッコまれると、いろいろヤバいことが出て来るので、損切りで返還した。
こうした偶然が重なって起きた事件なのか?
それとも闇の深いマネーロンダリング・金融詐欺事件なのか?
まあ、田口容疑者の言動を見ていると、前者の可能性が高い気がしますね。
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エンタメさん (象が転んだ)
2022-05-26 13:39:21
十分に有り得る推理ですね。
こちらこそ勉強になります。

私の推理としては
代行業者は男(容疑者)と町の職員と結託し、(可能性は低いが)更に銀行をも巻き込んで大儲けを考えた。
真相を知った阿武町は(慌てて)代行業者を突き止め、金融庁をチラつかせ脅しをかける。ヤバくなった業者は慌てて全額返還し、全てを男のせいにした。
男は逃げ道を失い、ヤバくなる前にアッサリと自首した。

考える程に色んなシナリオが湧いてきそうですが、この様な金融犯罪を未然に防ぐ為にも、口座凍結がある筈ですが。
(何の疑いもなく)振り込んだ銀行側にも不可思議な点はあるが、単に関わりたくなかったのか?いや、銀行内に犯行に加わった人物がいたのか?
しかし、犯行が完結する前に、全てが終結した様な気もします。

犯罪という点では、阿武町の盆ミスもですが、臭うとすれば、こっちのミスの方が怪しくも感じますね。
コメントありがとうございます。
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口座凍結 (tokotokoto)
2022-05-27 01:57:37
に踏み込めなかったのは
銀行内部にも何か拙い事があったんだろうか。
今回は単なる町職員の凡ミスのような気もするけど、それにしてもアッサリと男は自首し、代行業者は全額を返金しましたね。
たかが4630万如きで面倒を被りたくなかったのか。 
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tokoさん (象が転んだ)
2022-05-27 04:43:57
逮捕の翌日に業者は全額返金したので
それまでにお金の工面はしてたでしょうね。
誤振込が4/8、使い込み終えたのが4/18、容疑者の逮捕がその1ヶ月後の5/18。
日付だけを見ても出来すぎですが、銀行も代行業者も面倒を避けたくて、お金を工面したと考えられなくもないですが・・・

何だか考える程に、いろんな推理が湧いてきますね。
コメントどうもです。
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Unknown (エリコ)
2022-05-27 21:54:03
すっきりしないことになってますよね…。
私見ですけれども、振り込まれた金融機関はどうすることもできなかったと思います(出金停止にすること)。
振込まれてしまうとムリかと(決まりなので。本人の意思無しに無かったことにできない)。
振込には不備のない伝票が揃っていたので入金になったわけです(*_*)
誤振込はあってはならないのです。
私は、早く刑事事件にしろよ…と思っていました。警察が関わらないとムリだろうなと。
結局そうなりましたよね。
マルサもね(笑)

深く詮索されない為に、カジノで使ったはずの決算会社も慌ててかき集めて返してきたか??と思いましたが…。
今後どう終息するんでしょうね。
この男性も、誤振込さえなければこんなことにならなかっだろうに…。
名前や顔を曝されて今後の人生を心配に思います…
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オンラインカジノ (腹打て)
2022-05-27 22:52:43
あるメディアはオンラインカジノが違法だから、今回の逮捕劇に繋がり、代行業者も自腹を切って全額を返金したとか言ってたけど
実際にはネットカジノは違法でも合法でもないんだよな。

勿論、政府の許可を得てれば合法だけど、この類の商法は色んな中間業者が入り込み、認可を得てる筈もないから、違法と言い切ってるのかも知んない。
だったら、容疑者の男も代行業者を通さずに直接ネットでカジノをやれば、その行為自体は違法じゃないけど、資金源が(一時給付金の)誤振込なだけに、どう考えても違法(犯罪)になる。

これは多くのメディアで言われてる様に、町の弁護士の手柄ではなく、単に銀行の怠慢や代行業者のグレーな部分を突いた結果だと思う。

金融犯罪ではこうしたグレーな部分を突くケースが多いけど、キチンと法整備をしても法には限界があるから、抜け道を探し出す輩が必ず現れるんだよ。
だから、少しでも怪しいと思ったら、銀行の判断で半強制的に口座凍結出来るようにすればいい。 
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エリコさん (象が転んだ)
2022-05-28 08:41:07
基本的に顧客の口座凍結は、(銀行側で)不正利用や犯罪だと判断すれば、本人の意思に関係なく強行できる筈です(多分)。
故に、銀行内部でも何らかの問題があったのではと思います。

それに刑事事件にしてしまうと、当然、銀行にも監査が入る訳で、足元を救われかねない。
誤振込とても課長や支店長のチェックは入ってる筈ですから・・・
銀行側が関わりを持ちたくない気持ちも分かるんですが、こうしたグレーな金融犯罪を未然に阻止する為にも、口座凍結がある筈なんですが。

日本は欧米と異なり、ここら辺が甘いんですね。もし犯罪組織の口座だったら(日本の警察では)マネロンでまんまと逃げられてたでしょうか。
勿論、たかが4千万程度のお金で犯罪組織は危険な橋を渡らんでしょうが。
(額が額なだけに)口座凍結を最初に強行しとけば、容疑者を出す事も、町の職員を吊し上げる事もなかったんですよね。

コメントありがとうです。
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腹打てサン (象が転んだ)
2022-05-28 08:48:49
そうなんですよね。
何度も口酸っぱく言ってんですが、最初に口座凍結にしとけば、ここまで大袈裟になる事もなかった。

オンラインカジノなんか、色んなサイトで紹介され、楽しんでる日本人もいる筈です。
そういう私もエドワードソープを真似て、ネットカジノを少しだけやってみようかなと思ってた所でした。

でも今回の件は、容疑者のカジノ疑惑よりも銀行側の対応に、とても不可思議な点を感じます。それに、町の職員のミスも上司は確認しなかったんですかね。
考える程に疑惑だらけにも思えますが。
勿論、ここまで事が大きくなると本当の事が言える筈もないんでしょうが、それかと言って、町の職員だけを単に吊し上げにするのも、芸がないような・・・

コメントどうもです。
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Unknown (エリコ)
2022-05-28 13:21:34
何度もすみません苦笑。
できないんです。銀行側は間違ってません(いまの法律では勝手にできません…)
そういう仕事を過去にしていました苦笑。実際に誤振込やらいろんなことがありました。
https://kobe.vbest.jp/columns/general_civil/g_civil_disputes/4637/

だいたいの流れはこんな感じです(事件より前の内容なのでよくわかるかなと)。
本人の印鑑無しには出金もできません(入ってしまうと)

銀行同士の力関係もあると思うんです苦笑。
トップ(かなりの)同士の話し合いがなされたならばできることもあったかもしれませんが、末端の人間ではムリかと…。
擁護するつもりはありませんが、下手を打った…と非難されるのは可哀相な事案だと思います。
素直に、皆さんは忠実にお仕事をされているだけで、何もないと思います(^_^;)

本当に何の関係もない5000万円の正当な振込ならばいちいち関与もしませんし(個人保護法もある)…
見分けようが本当ならば難しいです(>_<)
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エリコさん (象が転んだ)
2022-05-28 15:19:21
いえいえ、こちらこそ色々と勉強になります。
一応サイト読ませてもらいました。

”組戻し”の件ですが、単なる(振込先を間違えた)誤振込ならば、紹介されてる法律も適用できましょうが、今回は単純に法律どうりには行かないと思います。
事実、(法の力というより)金融庁が圧力を掛けたお陰で、あっさりと9割が戻ってきました。これが組戻しの法律だと、男は全額を返す義務はない筈ですが。

私のお袋が他界した時は(何の知らせもなく)お袋の口座が凍結されました。慌てて銀行に無理を言って、一時金を引き落としました。
多分、相続時の金融犯罪を未然に防ぐ為でしょうね。
(お袋が死ぬ前に)”全額を段階的に引き落とせば?”と聞いた所、口座凍結に引っかかるだろうと言われました。ある意味、(単独相続人の)私も疑われてたんでしょうね。
かなり食い下がったんですが、そう決まってるから現場では何も出来ないと・・・

一方的な凍結の理由としては、”第三者が銀行へ問い合わせをしたケース”が考えられるとありました。
つまり、銀行側が犯罪や不正利用に繋がると判断した場合、凍結もありうると解釈してもいいと思います。

今回の誤振込のケースは不可思議な特異性があり、かつ”不正利用”という事で、国や銀行(上役)の判断で凍結は可能だったと思う。
特に、コロナ給付金は(町や銀行ではなく)国のお金ですから金融庁に相談してれば、その権限で凍結できたと思います。
勿論、銀行員の判断だけではダメですが(それこそ犯罪になる)。

私も口座凍結で痛い経験してなかったら、ここまで固執するつもりもないんですが、今はこうした銀行のチェックは(以前とは異なり)かなり厳しくなってると思います。
特に、お袋の資産(口座)移行に関してはチェックが厳しかったです。現場ではOKなのに上司がOKを出さないという事もありました。

それに今回の件は(マネロン程でもないんですが)、明らかに不可思議な点が多すぎると思います。
ただ刑事事件にしちゃうと、(ある事ない事)色んな事が判明しますから、役場や銀行のイメージがどうなるのか?心配ですが・・・

特に、昨今の金融犯罪は(我らが思う以上に)狡猾に悪どくなってきてます。そういう意味でも(非情でしょうが)新たな法整備が必要なんですよね。
それに個人を守る為にもです。
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