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オトナメルヘンチック。

「パンがなければ作ればいいじゃない。」

夢心地でシュールな日常
2015年 トーキョー

熱々!東南アジアの現代美術

2013-05-20 07:15:47 | アート
横浜美術館へ、『熱々 東南アジアの現代美術』展を観に行って来た。



かなりインパクトのある、カラフルなチラシで、前々から楽しみにしていた美術展である。

副題は、
Welcome to the Jungle

ジャングルとは、サンスクリット語で、無秩序な、という形容詞であるシャンガラからきた言葉だという。

東南アジアときいて、どんなアートが思い浮かぶか。
わたしの場合は自然との融合であった。これにきっと、何か社会問題が混ざり合うのだろうな、と。
アジアのアートに興味があったので、今回の展示を非常に心待ちにしていた。

Arahmaiani/ Crossing Point (2011)
チケット売り場上空から垂れた大きな布。カラフルな布には、アラブ文字で何か単語が記されている。



これは、アラブ文字を使用して、カタカナの様に音を文字に変換している。
アーティストのアラフマヤーニは、テロや恐ろしい事件を想起しやすいアラブ文字で、平和、愛、故郷、正義などといった不安を取り除く、あたたかい言葉を連ねているのだ。

理解がうまくいかない時、つまりコミュニケーションの不足は、ねじれた関係を引き起こすことがある。
解説を読み、なんだかほっとした。
愛や平和といった言葉だとわかった瞬間の安堵だ。
アラブ文字を皆が読める様にというわけでは無いのだが、ここではじめて、双方の理解ができたように思える。

Araya Rasdiarmrearnsook / Thai Medley 1.2 and 3 / 2002

死体安置所のベッドに横たわる女性の痛い。華やかな模様の布をかけられ、静かに眠る。
その間を、恋物語『イナオ』を歌いながら、歩く。
かつて恋をしていた少女だったことを忘れないようにと、既に亡骸となった身体に訴えているようだ。

本作品は、三つの映像をまとめている。それぞれの歌が重なり合い、三重奏となる。
静かな、作品。
わたしは、何故か沖縄を思い出した。

Tran Luonh / Red Scarf / Welts / 2010

赤い布を用いた映像作品。本来ならば実際に演じる。
一枚の布をひらひらさせ、ぴしゃりと鞭打つ。そのミミズ腫れの形を楽しむ。
痛い。

Lee Wen / World Class Society / 1999

ワールドクラスという言葉は、よく聞く単語であるが、果て、なにをもってワールドクラスと言えるのだろうか?
あなたがすむ社会は、ワールドクラスか?と、問う作品。
テレビ画面にから大きな白い布製のトンネルが繋がっている。それを覗き込み、曖昧にしか見ることの出来ない映像を楽しむ。
今回、上記の質問に対するアンケートに答えると、バッチがもらえるというので参加した。
壁に貼られた解答用紙には、海外からの意見も多かった。

Phuan Thai Meng / Truly Malaysia / 2010

データを読み込んでいる、インターネットの画面を描いた油彩。
データは重いから、すぐにアクセス出来ない。これを社会の不安と絡めているのが面白かった。
そして、写真と見間違う程、繊細な油彩だった。

美術展は、全体的にエネルギッシュでグロテスクだった。
日々の暮らしや社会問題を反映した、少しニヒルな作品が多い。
人は芸術作品に様々な思いを込めているのだなぁと、興味深かった。



※作品リストに、アーティストの出身国を記載してほしかった。

土曜日にも関わらず、会場はガランとしていた。皆、あまり興味が無いのだろうか。土曜日は高校生以下は無料である。ぜひ、足を運んでもらいたいと思う。とても良い展示だった。

サーカスの思い出。

2013-04-28 18:02:45 | アート
横浜で開催中の、木下ノ大サーカスを見てきたのだけど、結論、面白かった。
マイナスイメージから入ったサーカスだったので、不安だたのだが、面白かった。



一日三回のショーが予定されており、事前にチケットを買うか、一般当日券を購入するのだが、ずでに指定券は完売。当日並ぶことは余儀なくされていた。

私が例の九段下の本屋に行っている間、彼がチケットを取っておいてくれた。15:40スタートの方を買うつもりでいたのだが、すべての時間帯のチケットを同時に販売していないため、販売時間まで待たねばならなかったらしい。

とにかくチケットをゲットできたので、ほっとして桜木町を散策する。
昼ご飯はサクっと済ませたいので、野菜のサンドイッチを港の前で食べた。
今日は暖かいはずなのに、日陰は冷える。結局日向を探してうろうろ。シミも怖いが、冷えも怖い。

桜木町にも、輸入食品店の「カーニバル」がある。
私がヌテラを購入した、あの店だ。
桜木町には最近できた。

輸入食品を見るのは、とても面白い。
色々な輸入業者が頑張っているんだなあと、しみじみしたり。

ふと気づくと、また、ヌテラの山がある。



しかも、@210である。
大量輸入してしまったのか、こんな破格・・・。
もう二度と無いのではないか?と不安になる。
大量に買い置きしたい気持ちはあるが、自分の食いしん坊な性格と健康を考慮し、手を引っ込めた。

サーカスのテントへ向かう途中、ドイツのイベントがやっていた。


ちょっと覗いてみようと中に入ったが・・・人人人!
たくさんの人がビールを飲んでいる。
いわゆる「ビールフェス」である。

ビールには興味がないので、そそくさと会場を後にした。

ようやくテントに到着。


赤いテントは、想像より遙かに小さい。そのテントを囲むように、長蛇の列。本当にこの中に収まるものかと不安になる。

なかなか列が進まぬまま、20分遅れて入場。何かのトラブルか?
テントの中に、どんどん人が飲み込まれてゆく。

席について、びっくりしたのは、観客に外国人が多いこと、多いこと。
今回、私の前と右には、ロシア人家族。後ろには北米(アメリカかな)の家族が。
飛び交う言語が様々で、日本であることを忘れるほどだ。
インターナショナルが好きな私は、それだけで興奮!ちなみにまだショーは始まっていない。

木ノ下大サーカスは、世界三大サーカスの一つだという。
もう二つは、ロシアのボリショイサーカスと、アメリカのリングリングサーカス。

ほかにもシルクドソレイユや、中国雑技団もあるけれど。

日本、やるじゃん!と感じる内容だった。
マジックや、動物芸はもちろんのこと、小さく小柄な日本人たちが演じる、ラストの空中ブランコは拍手喝采である。
外国人も多く活躍するステージの中で、日本人は本当に小柄で、なんだか可愛らしい、でも、強さも感じられた。

最後に、動物のショーよりも、人間が魅せるスペクタクルの方が、やっぱり私は好きだな。



横道世之介

2013-04-26 23:40:58 | アート
吉田修一の描く青春小説「横道世之助」を読み終わった。
たった4日間で、瞬く間に読み終えてしまった。

実はフランスへ飛び立つ成田空港で購入していたのだが、なかなか読み始める気が起きず、だいぶ時間が経過してからページを開いた。

読み終えた今、すごくすがすがしく、胸の奥が少し詰まるような気分である。

ただの青春コメディではないのだ。

途中時の流れがずれるので、頭を使うのだが、実に面白い。
人生、いつどんなことが起きるのかわからないから面白いのである。
永遠の安定なんて、無いのである。

正直、祥子と世之介が付き合うとは思ってもみなかった。だから、映画版のキャストで、果たして吉高は誰を演じるのか・・・千春か?などと考えたりもした。
小説を読み終えるまで、映画のキャストを見ないと決めていたので、それが解放されたときはうれしく、そして結果、妙に納得した。

公開されて日が経っており、近所の映画館では上映されていないので、DVDが出るまで待とうと思う。

この小説は、好きな本リストに加えたい。

うねる身体 / ベーコン展

2013-04-18 17:28:17 | アート
フランシス・ベーコン展へ行ってきた。


竹橋にある、東京都国立美術館である。ここは、メトロの階段をあがるとすぐに建物の前にでるので、非常にアクセスがいい。


歴史ある美術館で、お気に入りの一つだ。


ベーコンといえば、20世紀の画家。
「怖い絵」として紹介されることが多いので、記憶に残っている方も多いのではないだろうか。
おそらく、暗いダークな色彩の、重々しい油彩で、立方体の中に、もう人物なのか肉片なのかよく理解できない物体が描かれている・・・そんな作品をイメージされる方が多いと思われる。

私もその一人。
大学時代に「怖い絵」という、悪趣味な気味の悪い絵画を集めた本を読んでいたが、もちろんベーコンも紹介されていた。
今まで見た中で、相当インパクトの強い作品だった。



没後初の個展が日本での開催。なんとも誇らしい。
世界に散らばった彼の秀作が、東京に集合である。

ーーー

1945年から、彼の作品展示は始まる。
そもそも、それ以前にも多く描いていたのだが、彼の中で納得出来るような作品は、この年以降だったそうだ。
(気に入らず、捨ててしまったものもあるらしい。)

鮮やかなオレンジ色のキャンバスに横たわる女性。


この初期の作品は、暗い色が多い中で、この作品はひときわ目を引く。

彼が描く人物には、不自然なうねりがある。まるで、日常生活には不要なひねりやうねり。
しかし、わざとらしく媚びることはないから不思議だ。

独学で学んだ油彩は、とことんエネルギッシュ。
チューブから出した絵の具は、ペインティングナイフと筆で勢いよく描いているのだろうか。
第二次世界大戦後の、不安や孤独を激しく見つめ、彼なりに模倣する手段として、そういった技法を選んだに違いない。

今回注目したいのは、彼の「身体論」が多くの芸術家、とくにダンスに与えた影響である。
実際、日本の舞踏家・土方巽の作品もベーコンの絵画からインスパイアされたものがあった。
プロジェクターに映し出された作品は、土方本人が踊っている。
下へ下へと重力のままに踊る身体、そしてうねり、身体の発する恐怖の表情などは、確かに先ほどみた作品に通じるものがあった。

また、ウィリアム・フォーサイスも彼に影響を受けている。
ベーコンの身体を表現する・・・手と靴に画材をつけ、思うままに動く。偶然床に描かれた軌跡が、ベーコンの作品。二次元から三次元へ。
実験的な試みが実に面白い。
「さすが、フォーサイス。」と、単純に感じた。



そして、クリエイターは、常に広い視野と興味を抱き、自分から突き進んでいくことが大切だと学んだ。

きっと、どこかでクロスし、自分の糧になるだろう。

ダンスに関わる人には是非行ってほしい。
おすすめの展示会である。

クライドルフの世界へ

2013-03-03 17:58:09 | アート
先週末、横浜そごう美術館へ、スイスの絵本作家「クライドルフの世界」展を観にでかけた。



実はこの展覧会、以前渋谷のBUNKAMURAで開催されていたもの。
タイミングを完全に逃してしまったものだったので、見に行くことが出来てほっとしている。




19世紀~20世紀にかけて絵本ブームが起きる。その先駆者クライドルフ。
彼はリトグラフの技術を習得した後、画家を目指し、ミュンヘンの美術学校で勉学に励む。後に訪れる母や姉の死など、辛い経験が彼を精神的に追いつめ、やがて病に倒れてしまう。しかし、療養のためのスイスの山の麓の安らかな生活が、彼が絵本作家として目覚める契機となる。

淡い色合いの、花や虫たちのメルヘンの世界が広がる。
水彩がメインであり、全体としてほんわりとしている。

ちびっこからおばあちゃんまで、全体的に会場は女子率が高め。
夢見る女の子でいっぱいだ。(いくつになっても、女の子はオンナノコなのだ。)

小さな花たちの世界、「花のメルヘン」これが処女作。
題名がすでに夢心地。
色とりどりで、元気がでてくる。
子供の絵本にとどまらない。これらはすでに芸術作品である。
長い冬のアルプスでは、花の開花が春の訪れを表す具体的セレモニー。
人々がずっと待ち続けていた喜びの瞬間なのだろう。
一つ一つの絵が、喜びに満ちている。

また、植物が細部まで緻密に描かれている。作者の観察眼の鋭さが伺える。
そして植物の特徴をよく理解しているのだろう。

最後に、実際に絵本が販売されていた。
日本版は1600円程度。翻訳されているものがあることを知らなかった。かわいらしいので、子供が出来た暁には、購入を検討する。

ちなみにドイツ語版(原文)は・・・6000円もした。
絵本にしては高額なので、手を引っ込めてしまった。これを買う人はいるのだろうか。

最終日だったので、混んでいた。やはり、出来るだけ展覧会は早めにいっておくべきだ。(最終日に行くものではない。)
かわいらしい内容だった。スイスにも、いつか行ってみたい。