~ 風の伝説 ~

プライベートの趣味ブログです♪
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『状況の力』の恐ろしさ

2006-10-12 | Words & Story
『状況の力』と呼ばれるものの力の下では残忍な行動に走りやすいという。

状況の力には3つの要素があるそうな!
●権威への服従(権威や名目があると良心や道徳を捨てやすい)
●非個人化(与えられた役割によって自分を無くすこと。制服は非個人化を促しやすい)
●間化(相手の価値を認めず蔑む状況)

イラク戦争で問題になったアメリカ兵による虐待行為やナチス等もこの『状況の力』によるものだと思う。身近な所でいくと特別な肩書や地位、権力を利用したパワーハラスメントやいじめ等もあてはまるのかも...。オバケより怖いのは「人間」...ほとんどの人間は、特別な状況下に置かれると本来の性格と無関係に、その状況に適応するため変貌するらしい...。

映画『es(エス)』 ~状況の力が人格を変える~
検査で心身ともに健康と認められた被験者は、「普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう」ことを証明する為に、2週間、仮想刑務所で看守と囚人として生活する。被験者はおそらく報酬のために集まったのだろうし、「24時間監視」「暴力行為は厳禁」等のルールを聞いて、安心して実験を始めたに違いない。ところが、開始二日目にはすでに囚人の中で心神衰弱になる者が現れ、大学構内に作られた安全な仮想刑務所は、日に日にホンモノの刑務所のようになり、実験は1週間で中止・・。

映画では看守と囚人、特にベルス(看守)とタレク(囚人であり、この作品の主人公)の対立を浮き彫りにしている。虐待行為がエスカレートしていくベルスは航空会社勤務で7年間無遅刻という、規則の中で生きてきたようなタイプ。仲間とのやり取りの中で、自分がいい父親だと言って表情をこわばらせるシーンがあったり、タレクから「臭い」となじられる(仲間も陰で臭すぎると言ってたけど)シーンがあって、そういう本来の性格やコンプレックスを指摘されたことが引き金になったのかとも思ったけど、実際の実験では「強い権力を与えられた人間と力を持たない人間が、狭い空間で常に一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、本来の性格に関係なく変貌する」と結論付けている。

囚人たちが報酬もいらないからやめたいと研究者に訴えても聞き入れてもらえなかったとか、家族が面会や見学に来ていたのに異変に気づかず、囚人たちも家族に本音を言わなかったとか、疑問点はたくさんある。訴訟問題に発展したのも、この実験が禁止されているのも納得できる。

研究者は、実験を続け成果をあげたいという野心で、実験中止の判断を遅らせてしまったのかもしれない。看守は囚人たちの暴動を沈めるため、囚人が開放されるのを阻止するために、権力を乱用し歯止めがきかなくなった。囚人は看守の仕打ちを恐れる本当の囚人のような服従者に変わってしまい、看守の策略で仲間(囚人)同士でも対立するようになってしまった。

この「スタンフォード監獄実験」と少し似た趣旨の実験がある。「人間はどの段階まで権威者の命令を聞き続けるのか」を調べる目的で、研究者と教師役と生徒役が別々の部屋にいて、教師が出す問題に間違えると生徒の身体に電流を流す、間違えるたびに電圧が増す、教師は生徒の悲鳴を聞きながらどこまで研究者の命令に従うか・・という実験だったらしい。悲しいことに、65%の教師は、研究者に反論しながらも(150Vで絶叫、315Vで実験中止を大声で叫ぶ、330Vで無反応になるらしい)、450Vまで続けたという・・。これは、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺の責任者であるアドルフ・アイヒマンの裁判の翌年(1961年)に、「アイヒマンとその他虐殺に加わった人達は、単に上の指示に従っただけなのかどうか?」を証明するために行われたらしい。

特別な肩書や地位、権力、それは正しく使える人だけが、そして信念と努力を持ち続けた人だけが、手にすることを許されるべき...。
もし身近に正しく使えない人がいたら要注意!!きっと知らず知らずの内に影響受けていますから...皆さんもご注意下さい!!



奇跡体験!アンビリバボー(06.5.18放送分)実録・恐怖の監獄