ポコアポコヤ

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「月魚」三浦しをん 感想

2012-05-02 | 小説・漫画他

先日「ビブリア古書堂」を読んだ後、なんと三浦しをんさんが、10年ほど前に「せどり屋」とか「古本屋」を舞台にした小説を出されていた!ということを今更ながらに知って、急いで読みました。

しをんさんファンなのに、何故この本を通り過ぎていたのか?!と、記憶をたどって思い出しました。
前にある知人から「月魚」は、BLがキツくてお薦め出来ない、と言われ、後回しにしちゃって、その結果、存在を忘れて、今までずっと読まずに・・・。
後悔・・・。

元々BL系に拒否反応を起こす性分じゃないので、問題無く面白く読めました。
それにプラトニックなBLなので、これくらいは、大丈夫な人が多いんじゃないでしょうか。
私が借りたのは、単行本なので、2編しかお話が入っていなかったのですが、文庫は3つ入っているらしく、悔しい!!3つめのお話を読むために、また文庫借りて来ねば。

「水底の魚」
古本屋「無窮堂」の店構え(店の立地状態や、たたずまい)が、ドツボ!
かつ、その若き店主である本田真志喜が、普段から着流しを着て、足下は普段はサンダルで(個人的に「メゾンドヒミコのオダギリジョーでお願いしたい)、たまに高級な白木のゲタって!!どんだけ萌え要素満点なんでしょうか!
それでいて、静かな線の細い美少年って、おい!!
もう片方は?というと、瀬名垣太一という男。こちらは、動なワイルド系で、ちょい悪なタイプ。古着のつなぎを着た長身の男って~~。こちらも良いわー!

いやはや、こういうタイプの違った男子2人のかけあい、しをんさんの大得意、お好きですよねー。まほろ駅前~もそうだけど。
背の高くてカッコイイ男子コンビが、ふざけつつもボロい軽トラックに乗ってる姿っていうのが、しをんさんの世界?に、しっくり来るって印象です。

2人の出会いのシーン、ある高名な書物事件が起こった日、その事件の後、太一がマシキ宅に来て・・蝉を池に投げた夜。どのシーンも凄く印象的です。時に色っぽく、鮮やか。

物語中盤、M県の亡くなられた方の遺品である膨大な書物を買い取りに行く2人。
そこで偶然バトルすることになった、現地の古本屋さんが!

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
なんと、昔蒸発して行方不明になっていた、マシキ父だった!
一冊だけ奥さんに残す本を選ぶバトル。その本を選んだ理由、7年前に知り合って~犬の名前が~、凄い推察!!
以上
このあたりは「ビブリア」の栞子さんの推理劇と似ているなーって思いました。こういうのとても面白くて好きです。

それにしても、男ばっかりで、マシキ母とか、マシキ祖母とか、太一母とか、女性が殆ど出て来ないんですよね(^^ゞ

ただのBL小説ではなく、古本、古本屋業界についての裏事情とか、池の中に住んでいる魚に、からめて幻想的に書いている処など、魅力ある小説だな~って思いました。
ただ、お父さんのキャラとかが、あまりにクールというか・・・うん。。
4つ★半

「水に沈んだ私の村」
夏休み・・。高校の国語教師は小説らしき物を書いていた。そこには「無窮堂」を連想させる「無窮館」を舞台にし、マシキらしき少年が登場する・・・。それを、太一に読まれてしまう。
プール、スイカ、花火・・・。若い頃の夏の日の思い出・・。

「ビブリア」も「月魚」も両方私は好きだし、面白かったです。

三浦しをん / 2001年05月発売

三浦しをん
舟を編む
「木暮荘物語」「天国旅行」
「まほろ駅前番外地」
星間商事株式会社社史編纂室
神去なあなあ日常
「光」
「悶絶スパイラル」「人生劇場」「仏果を得ず」感想
「きみはポラリス」感想 三浦しをん
「むかしのはなし」三浦しをん と「最後の恋」感想
「桃色トワイライト」「まほろ駅前多田便利軒」感想 三浦しをん
「秘密の花園」、「風が強く吹いてる」

コメント (10)    この記事についてブログを書く
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10 コメント

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Unknown (苗坊)
2012-05-03 23:08:53
こんばんは。
私が読んだ当初はBLという言葉を知らなかったのですが、知らない人間でも普通に読めました。
それよりも瀬名垣と真志喜の境遇が切なくてもどかしくてどうにかならんのかとヤキモキしていた記憶があります。
この頃はしをんさんの事は全く知らなかったのですが、きっと本がとても好きな人なんだろうなと学生ながら思っていました。
まあ、あそこまでぶっ飛んだ人だとは思いませんでしたが。
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なるほど (牧場主)
2012-05-05 07:53:04
私はコレからしをんさんに入ったので、つまり結構前に読みました。
私は一時期京極さんのあの分厚いシリーズにはまっており、その中に出てくる古本屋というか(こちらも結構前に読んでいて、うろ覚え)たたずまいが好きだったんです。
だから、ああ、しをんさんも同じ世界が好きで(客がこなそうなマニアック向けのひっそりした古い本の店)その世界をもっと自分の好みにアレンジしてふくらませたのだろう、って感じました。
そう、あの金色の本屋大賞の(その節は嬉しかったわ)しをんさんのコメント読まれると面白いですよ。
しをんさんのプロフィールを紹介がてら、面白可笑しく喜びを吐露されているんです~。
その中で、今まで本屋と古本屋で働いて、その後、作家一本に絞られたとのことで(そのことはエッセイでも時々書かれていたけど)「すべて本にまつわる仕事で、どんだけ本が好きなんだ、本の匂いを嗅いでいないと呼吸困難になる病気かなにかじゃあるまいかと不安にさいなまれもする」ってあるんですけど、分かる、って思います。
私も仕事で新刊にたずさわっていると、返品するとき一体この本はどうなるのかな、って思うんです。
まあ、テレビで見たことあるんですけど、こう、豊作のキャベツ畑をトラクターでがしがし潰していくのと似てて、すごく辛いんですよね。
本がゴミになり処分される、それしか方法がないってことが。
だから、古本屋って、単純に好きなんです。
ビブリアも読んでみますわ。
ビブリアね、本屋大賞、10作全部読まなくてはならないっていう決まりで、でも文庫なんか勝手に売れるからほっとけ、って思っていて。
それに表紙が巨乳だから、そして私が貧乳だから読みたくなくて、ああまた巨乳信仰が一つ増えて少年がまた刷り込みされたよ、生まれて初めて見たものについていくヒヨコのように、いや、もう、アンチ巨乳の話はやめますが、とにかく未読なんです。
「家に注文書を持ち帰ったりポップを書いたりするので、期限までに読めませんでした」って推薦文を書いたんですけど(ヒドイ)読んでみます。
ここにビブリアの記事が出たときは、「ええ?貧乳同盟の同志が裏切ったか」とか思ったけど、記事読んだら面白そうね。
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真志喜のお父さん (こに)
2012-05-05 10:54:38
全く、気の毒になるくらい情けなかったです。
BLより古書に関する部分が印象的でした。
そういえば、女性の存在感が薄かったですね。
いつも思うのですが、煙草を吸うシーンがよく出てきますよね。
しをんさんは喫煙家なんでしょうか?
私、しをんさん初心者です。これから読む作品が楽しみ♪ latifaさんの記事を参考にさせて下さいね。
(^^)
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苗坊さん☆ (latifa)
2012-05-05 11:20:26
こんにちは、苗坊さん
そうでしょうとも!苗坊さんがお読みになられた頃は、まだBLって言葉は一般的じゃなかっただろうと思います。
私もそのころ、知らなかったはず・・・。

>瀬名垣と真志喜の境遇が切なくてもどかしくてどうにかならんのかとヤキモキ
私も、やきもきしましたねー。
あれが男女だったら・・・?と置き換えて考えてみると、しっくり来ないので、やっぱりここは男子同士だから良いのかな~

そうですよねー、これが苗坊さんにとっての、初しをんさん作品だったんですものね。
私は、とあるアンソロジーの中での、春太のなんとか・・っていう、犬のお話が、初しをんさんで、一目惚れしました
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牧場主さん☆ (latifa)
2012-05-05 11:31:45
牧場主さん、こんにちは
うおーー!これから、しをんさんに入ったんですか?記念すべき作品なんですね。
いや、でも今まで読んだ本の中で、一番しをんさんらしい?しをんさんが好きな世界を書いたのが、これじゃないかなぁ~って、勝手に私はそう思いました。

>京極さんのあの分厚いシリーズにはまっており、その中に出てくる古本屋

あぁ!あの分厚いシリーズ!
ある方から、私が好きな気がするから読んでみれば?って数年前から言われているんですが、あの分厚さに勇気が沸いてこず、まだ読むに至ってないんですよ・・・。
そうかぁ~ やっぱりソソられるなぁ・・・。

>(客がこなそうなマニアック向けのひっそりした古い本の店)

私もそういう空間が、大好きなんです!!
そこんところは、それぞれ全然趣味が違う、家の家族みんなが好きだと思う・・・。

>あの金色の本屋大賞のしをんさんのコメント
おおお~!そこも読まねば!!!
教えてくださって、ありがとう!!

>返品するとき一体この本はどうなるのかな、って思うんです。豊作のキャベツ畑をトラクターでがしがし潰していくのと似てて、すごく辛いんですよね。

ううう・・・・
辛すぎます・・・。でも、返品した本って廃棄されちゃうんですか!?
今まで、書庫に入れて保存されてるとばっかり思っていましたが、そうじゃないのかな?!
そんなのイヤだ~~~

>ビブリア巨乳
については、多くの女子が、ムッとしてますよ。
私だって、巨乳だと知って、どんだけショックを受けたやら。
私は表紙は見ていたのですが、しっかり見ていなかったので、巨乳だってことに気がつかなかったんです。それがある時、巨乳キャラというのを知って、愕然。
その場にいた友達も、私同様に、表紙は見てたけどそれに気がつかずにいたそうで、同様にガッカリしまくって、もう~その場は「このヒロイン何故に巨乳にせんと、あかんのか?!」ってことで、盛り上がった、盛り上がった。
あっ・・・その場にいた友達、全員胸無いわ・・・

そうそう、最近読んだ、東野さんの「黒笑小説」ってのに、巨乳について書かれてる短編があって、どうしてこうも日本には、巨乳文化が根付いてしまったのか?について書かれていて、ふむふむ~そうかぁ・・・なるほど~なんて、思いました。よからぬ風潮ですよね。
最近は、プチ整形で、注射液で(2,3年で吸収されてしまうけれど)ちょっと大きく出来るので、アイドルなんかは、してる子も多いそうで・・・。
そりゃそうでしょう~、痩せてるのに胸だけ大きい女子は、滅多におらんのですから!!
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こにさん☆ (latifa)
2012-05-05 12:40:26
こにさん、こんにちは

>煙草を吸うシーンがよく出てきますよね。
しをんさんは喫煙家なんでしょうか?

おおおーーーー!
そういわれれば、しをん作品には、タバコの似合う男がよく登場しますね
私が若い頃は、男子がタバコを吸うのは普通の事だったのに、この10年で本当に喫煙者が急激に減ったなぁ・・と思います。
映画でも煙草を吸うシーンが普通にあったのに、今では減ってるし・・・小説も同様に減って来てる感じがします。

しをんさんは、煙草は吸ってなかったんじゃないかしら・・・。すいません、覚えて無くて・・。
でも本の表紙に使われているし、煙草を吸う男子は結構お好きなんじゃないかな?

こにさんちで、「私が語り始めた彼は」の感想拝見しましたー
私は、普通に読んだ記憶があって、もう殆ど忘れてしまっていて・・・

私は、しをんさんの小説よりエッセイ本の方が面白くて好きかも?って思った時代があったのです・・・
小説では「舟を編む」系の作品、馴染みのない世界を舞台にした小説が好きです。「神去なあなあ日常」「仏果を得ず」とか・・・。
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Unknown (苗坊)
2012-05-06 01:32:17
余談ですが、latifaさんが最初に読んだ作品は「春太の毎日」という作品でしょうか?
アンソロジーの方は分かりませんが、しをんさんの「きみはポラリス」という短編集の中に収録されています。
こちらも面白いですよ^^
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苗坊さん☆ (latifa)
2012-05-06 17:46:41
こんばんは!苗坊さん
そうそう、春太の毎日です!
そうーなんですよ。
その後、「きみはポラリス」に収められていました。
ポラリスは読んだ事があるんですよ。
色々な恋愛の短編集が集まっていて、面白く読みました。
でも、苗坊さん、追加でコメント下さって、ありがとう!!とても嬉しかったです

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Unknown (はまかぜ)
2012-05-27 20:30:01
「月魚」は私も5年前に読みました
たしかにBL要素があってちょっと戸惑いましたね
でも内容がかなり面白くて、『せどり屋』というのも興味深く、どんどん読み進めていった記憶があります。
ちなみに「ビブリア古書堂」も読んだので後でそちらにも行きますね^^
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はまかぜさん☆ (latifa)
2012-05-30 17:46:18
はまかぜさん、こんにちは
おお~~はまかぜさんは、随分前にお読みになられていたのですね!
男性の感想は、女性の視点とは、ちょっと違う処もあるかもしれないので、興味深いです。

はまかぜさんは、「せどり屋」本は、こちらが先でしたか。
ビブリアも面白いですよねー。
私は、両方それぞれ好きです。
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