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「なくしたものたちの国」「ツリーハウス」感想 角田光代

2010-11-25 | 小説・漫画他

普段の角田さんの書く毒のある現実的な話とは全然違った感じの、ほんわかしたファンタジーテイストなお話。4つ☆

主人公の成子の小さい頃から大人になる間の、ちょっと不思議なエピソードが幾つか入っています。
幼い頃色々な物や動物と話ができたナリコは、学校で飼われている、ゆきちゃんというヤギと仲良しで、お母さんのかんむりをこっそり貸してあげるものの、夏休み明けに学校に来たら、もう会話が出来なくなっており、かんむりも無くなってしまった話。
年下の中学生の少年銃一郎に生まれ変わった飼いネコとの再会。
超弩級の恋愛と、生き霊になる話。
遺失物管理庫に小さい息子と行く話。
古いカメラに入っていたフィルムを現像してみたら、凄く懐かしい物や、若かった頃の両親などが写っていた話。

この本、小説と絵本が合体したような作りになっていて、挿絵というか絵のページがふんだんに入っているので、中学生とかにも読みやすそうです。
松尾たいこさんは、presentsの装丁を担当された方なんですね。あの表紙は私も好きでした。

なくした物、知らないうちになくなってしまっていた物・・・・というお話は、なぜだか「ホッタラケの島」(乙一さんが手がけてたそうな・・)を思い出しました。こういうお話は、個人的に好きだな。

著者: 角田光代 イラスト松尾 たいこ (2010-09-24 )
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ツリーハウス」

う~~ん・・・。 今途中まで読んでいるのですが、どうしても楽しく読めないです・・・。角田さんの本で、こういう風になっちゃった本は今まで無かったんですが・・・。
角田さんの書く家族もの、空中庭園とか、夜をゆく飛行機は、すごく面白く読んだのだけれど。

内容は、都内の翡翠飯店に集う?家族の歴史を描いたお話。
戦争時代にさかのぼって、満州に渡った祖母と祖父、2人の出会い、子供が出来て、日本に戻り・・・翡翠飯店を開き・・・という風に、その時代背景と一緒に現在に至るまでを描いているのですが、何か・・こう・・・妙にアッサリとしているんですよね・・・。子供が産まれた、子供が死んじゃった・・という感じで。出来事が、妙に淡々と書かれているんです。
そもそも沢山登場人物がいるし、長い時代を描くので、じっくり深く描くとなったら、きりがないのだろうけれど・・・。(この本、相当分厚い本なので、これでじっくり書いたなら、この2,3倍の厚さになっちゃうし)
もしかしたら、角田さんは、わざと本作は、狙ってそういう風にアッサリ描いたのかもしれませんが。

なんか読みながら「おしん」を連想しちゃったんですよ。
おしんも、おばあちゃんと男孫が、おばあちゃんのゆかりの地を訪ねる旅に出るんですよね。そこで現在と過去のおばあちゃんの歴史が交互に語られる・・・みたいな。

戦争時代に満州に行って戻って・・・というお話は、「赤い月」などで以前読んだことがあったし、全然話は違うけれど「大地の子」という凄いドラマチックな名作があるだけに、なんだかこの「ツリーハウス」のそういう部分がとても弱く感じてしまうのでした・・。

もともと、この一家のDNAは、祖母祖父も孫の男子らも、熱いタイプじゃなくて、ひょうひょうとしていて、さらっとタイプなんですよね。戦時中、誰もが熱い人ではなかっただろう、なんとなく行き当たりばったりとか、逃げる様に生きてた人もいたはずで、そういう人を主人公のお話は、今まできっと誰も書いていないのかもしれず・・。そこらへんが、今まであった上記であげた熱いドラマチックな歴史小説とは違っていて目新しいのかもしれないけれど・・・。

今まで角田さんの小説って現代が舞台になっているものが殆どで、こういう昔を舞台にした歴史もの?って無かったと思うので、そういう点では、新しい試みなのだけれど・・・。
けれど・・・ばっかりですいません・・・。


「水曜日の神さま」
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「くまちゃん」面白かったです
森に眠る魚(ネタバレです 注意!)
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
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「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
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「presents」「夜をゆく飛行機」
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ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
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10 コメント

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おはようございます! (時折)
2010-11-26 08:22:41
DNAというものを、立体的にリアルに感じられたようなところがあったんだ…と、ふと思っていました。
私も、読むものどれもこれも楽しい角田さんに、微妙な思いを抱いたりするとこも出てきて、いよいよここから本当のお付き合いが始まる予感を見い出しつつあります。(ホントかな?)
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時折さん☆ (latifa)
2010-11-26 10:08:44
こんにちは、時折さん
この小説とは直接無関係ですが、DNAってやっぱりあるよなぁ~って思います。
私は両親と、そして娘と、性格が似てないんだけれど、ありえん様なすごく些細なツボというかが同じで、びっくりすることがあります。
たとえば・・・多数派よりも少数派に肩入れしたい性分の処とか

>角田さんの、たんたん(淡々×坦々)とした筆致が冴え渡るという感じの長編が、きっと好きなんです。
 なるほどー!そういうのが時折さんのお好みなんですね?

私は、読みながら登場人物の心の中に入って行って、痛い深層心理など読めるようなのが好きなんです。アッサリしたものより、グワグワ来るのを期待しちゃうんです。
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こんにちはぁ~♪ (きたあかり)
2010-11-28 11:48:18
私も『赤い月』や『大地の子』を念頭に入れて読んだせいもあると思いますが、そっちの部分ではやや迫力不足だったと思います。

祖母をもう少し堀下げると角田さんらしくなったと思うんですが・・・・・ただ、いいか悪いかは別として、この作品は今まで読者層の外側にいた団塊世代を取り込む意図があるような気がします。 市場としては大きいし、退職して本を手にとる機会の増える団塊男性は新規顧客として有望ですからね。 

それを踏まえるなら国民的な作家への第一歩と言えるのではないかと思います。 まぁ~そのあたり個人的にはかなりビミョーなんですけど。
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きたあかりさん☆ (latifa)
2010-11-29 08:47:54
こんにちは、きたあかりさん
コメント、ありがとうございました!
きたあかりさんも、赤い月や大地の子、頭に浮かびながら読まれたんですね?

そうそう・・・祖母の描写が妙に淡々としていた気がしました・・・。

そして、団塊世代を新規顧客として・・という説は、すごいな~。全然思い浮かばなかったです。確かにその市場はデカいですね。
国民的な作家って・・・すごい・・・。
でも角田さんは、同世代の人に支持される(読まれる)作家さんのままでも良いんじゃないかなあ・・なんて、思ったりもしますなぁ
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今年初めてのコメントだわ (みみこ)
2011-01-20 11:36:48
お邪魔します~~
遅くなってしまったわ・・・
私は逆に角田さんの他の家族もの読んでいなかったし赤い月や大地の子も読んでいなかったから、面白く読めたの。
確かに祖母はあっさり・・だよね・・笑
だからかな・・・満州舞台よりは日本に戻ってきてからのあの家族の生活の方が
入り込みやすかったわ。
それにしても似たような名前が多かったな。
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みみこさん☆ (latifa)
2011-01-21 10:15:43
こんにちは~みみこさん
寒いねー!!早く春になって欲しいけど、その前に花粉が6倍と聞いて、、恐ろしい・・。

>私は逆に角田さんの他の家族もの読んでいなかったし赤い月や大地の子も読んでいなかったから、面白く読めたの。
 そうっかー!
でも、面白く読めたのは何よりだったわ。分厚い本だしね
沢山の人が出て来るし、名前も色々だし、読むのに苦心しちゃったよ~
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Unknown (こまものやJUN)
2011-02-12 20:33:03
こんばんは。
ご訪問&コメント&TBありがとうございました。
ブログを書く前にお邪魔しましたがなぜかこれを見つけられませんでした。

帯にも「著者新境地」とありました。今までと雰囲気が違うようですね。新聞連載だからかな。
このあっさり感というかゆるゆる感が全編を流れるテーマかな。
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JUNさん☆ (latifa)
2011-02-13 10:07:11
JUNさん、こんにちはー
うわ~来て探してくださっていたなんて、ありがとうございます
せっかく手間をかけてもらったのに、見つからずにすいません

新聞に連載された小説とのことですが、結構分厚い本で、びびりました。
私は図書館でリクエストしたのですが、初めて実際にこの本を目にしたのが、本屋さんではなくて、図書館だったので、ええっ!こんなに分厚い本なのか?と・・・

>このあっさり感というかゆるゆる感が全編を流れるテーマかな。
 確かに
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Unknown (みみこ)
2011-04-07 17:29:49
こんにちは♪
お邪魔するのが遅くなってしまって
ごめんね~~
入学式やらいろいろあって・・バタバタしていたよ。
・・「なくしたものたちの国」
ホッタラケの島を思い出したって書いてあり
気になる~~。映画もあったよね(今・・感想みてきた・・)大森さんが声やっているので
これ観てみたいな・・・。
親子で楽しめそうな作品だよね。
そうそう・・角田さんの映画もうすぐ公開
だよね(あれ~公開したかな)
どうかな。ドラマとまた配役が違うので
雰囲気も変わってくるよね
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みみこさん☆ (latifa)
2011-04-08 15:25:48
こんにちは、みみこさん~
新学期だもんね、色々慌ただしい時期だよね。
クラスのメンバーとか、どうだったかな・・・。
私は新しい環境って、ワクワク感よりも、イヤだな~大丈夫かな?って心配の方が先に来ちゃう体質なのよ。

ところで、ホッタラケって、大森さんが声やってたんだ?見たのに気がつかなかったよ!親子で楽しめるよ~。ただ、あんまり期待しない方が良いかも・・・。

角田さんの八日目だよね?ドラマに続いて映画もだなんて、なんかすごいね・・・。

奥田一家(安藤一家?)ほんと、すごいよね~。
でもさ、モモ子さんは、どうも男子に少々良くない偏見があるっぽく感じたわ・・・。
父親も女にモテるというか・・だらしない人の様だしね・・

安藤和津さんだっけ?凄いセレブな人と婚約決まってた・・だかなのに、あの旦那(当時ホームレス)に走ったらしいよね、すごいねえ・・・。
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