ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

「くまちゃん」感想  角田光代 面白かったです!

2009-05-15 | 小説・漫画他

くまちゃんというタイトルは、恋人が着ていた服に熊のイラストがついていた事からついたあだ名なんですね。タイトルから想像するにラブリーな話なんか?と思ったら、全然違っていました。こりゃ~外しそうだな、と手に取ったのに、どっこい、すごく私は面白かったです

ふられる人ばかりが出て来るお話とのことで、恋愛物のお話なのかな?と思ったのですが、それだけじゃなかったです。クリエーターとかアーティストとして成功した人、成功を願っている人、仕事に対して諦めに近い気持ちになってる人、成功したもののピークが過ぎてしまった人・・・など仕事に対しての意識部分が、凄く興味深く読めました。

登場人物は、自由業とか、フリーター系の人や、ちょっと男女関係にだらしないタイプの人が良く登場し、バリバリ活躍するサラリーマンとかOLとかセレブ系のタイプ、堅実な人はあんまり出て来ないです(全般的に角田さんの書く本ってそういう傾向があるかもな)なので、読む人によっては、共感出来るか、まったく合わないか、ハッキリ分かれてしまう可能性も。私は角田さんとは何かツボが同じなのか、いつも数ページ読むと、ぐいぐい引き込まれてしまうんですよ。どこか自分とか自分の回り(これが微妙なんですが、実際の自分とは違うんだけど、もしかしたら自分もこういう風になっていたんじゃないか?)という感じが凄くするんです。個人的には最終章の「乙女相談室」でのまとめ方がそれほどおおっ!と来なかったので、4つ☆半です。

それぞれの話に登場人物がリンクしてる系の小説なのですが、凄く解りやすい構成になっていて良かったです
くまちゃん/アイドル/勝負恋愛/こうもり/浮き草/光の子/乙女相談室 
☆以下ネタバレです 白文字で書いています。☆
ふった側が、次の話ではふられる側になっていて、くまちゃんと苑子→くまちゃんとゆりえ→ゆりえとマキト→マキトと希麻子→希麻子と久信→次は久信と文太+苑子 最終章
最初の話で本当の恋愛を知らなかった人が、次の話しで本当に誰かを好きになり、そしてふられる・・・って感じになっていたりします。マキトの姉がわりの不可思議な存在のさよりと、計算高い希麻子が好きじゃなかったな。

最終章の「乙女相談室」では、「アイドル」で昔から憧れていたマキトの恋人になれたもの「勝負恋愛」にて別れてしまったユリエが結婚を決意に至るし、「くまちゃん」で失恋した苑子がその後文太と幸せに結婚もして、子供も出来て穏やかに暮らしている様子が「光の子」で解る
あと、くまちゃんが憧れていたスキンヘッドの総合アーティスト(ベルリンで苑子が見た)が、久信に「すげぇって思った、その気持ちの強さだけが、これからのきみを引っ張ってく力なんだぞ」と言ってくれた美術学校の客員教授のようですね

個人的には「光の子」が一番ぐっと来てしまった。 久信が14歳の時に出会った料理上手な文太、その後若くして成功していった文太に追いつきたいがために必死でイラストをかきまくり・・・気がついたらイラストレーターとしてかなり有名になっており、知らないうちに文太を追い抜いてしまっていた。成功とは何か?成功とはどういう事を言うのか?という深い部分も興味深かった。久信の「一個一個やっていかなきゃ、きっと「すげえ」と思えるところにはたどり着けない。」苑子の「なりたいものになるには自分で目の前の一個一個自分で選んでやっつけてかなきゃならないと思う」という文に納得でした。文太の子供が「久太」と解った時は涙腺が・・
以上

それと、「誰かとつきあうって、その人に合わせて、自分の分身みたいのを一個つるくような感じ。本来の自分とは違う、その人といっしょにいるためだけの自分・・・」って文も、なんか解るなぁ~と思いました。恋人といる時間を優先したいが故に、自分の仕事やら趣味やらを削って相手に合わせていく・・・みたいなのは「勝負恋愛」と「浮き草」で書かれていたかな。

印象に強く残ったのは、成功する人というのは、回りなんか見ず(見えず)ただひたすらがんばっていて気がついたら成功していた・・・って感じの処でしょうか。あいつはコネが~とか成功者に対する嫉妬とか、そういうぐだぐだ言ってる人はダメっぽい 角田さんご自身も、きっと小説家としてこうやって確固たる位置を築くまで、ただひたすら一個づつコツコツと書き続けて来たんだろうな・・・というのがうかがえます。


くまちゃん 角田光代 (2009/03)
角田さんといえば、忌野清志郎の大ファン(理想の男性?)であることを、しょっちゅう本に書かれていて、私も清志郎が好きだったので(1980年前後のRCの頃、アルバムでいうと「PLEASE」「BLUE」の頃良く聞いていて、90年以後は遠くから応援していた感じ)嬉しかったものでした。
角田さんは今回の訃報は相当ショックだったのではないかな・・・。清志郎が亡くなった次の日のよみうり新聞には、角田さんの追悼文?というかが載っていましたが、なにかあまり実感がまだわいてきてない文章に感じました。

ふと思ったのですが「総合アーティスト」って、角田さん、もしかして清志郎を少し連想しながら書いたのかな・・・?清志郎もウサギのイラストみたいのマークにしてるし・・・。歌だけじゃなくて絵本とか役者もやったり色々な事してたし・・。

森に眠る魚(ネタバレです 注意!)
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み

コメント (22)    この記事についてブログを書く
« MOSDO モスド食べてみました♪ | トップ | 「どうせ死んでしまうのに、... »

22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆう)
2009-05-15 20:00:57
こんばんは。
TBありがとうございました。
実は、角田さん同様、私も清志郎さんの大ファンで、彼の早すぎる死には混乱するくらいショックを受けました。
ショック覚めやらぬまま、この作品を手にしてまい、読んでしまった次第です。
もう少し平常心で読めたら、また違った感想が浮かんだのではないかと・・。
もう少し落ち着いたら、また読み返してみます。
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-05-15 20:41:08
こんばんは~ゆうさん
コメント、TBありがとうございます!とても嬉しかったです!

ところで、私も清志郎が好きでした。ついこの前まで左上のプロフィールの処には、訃報にショック!って載せていたんですよ・・・。記事もアップしようとして、私的に好きなきょ~しろ~のベスト5曲まで選択して、やっと投稿ボタンを押したのに、フリーズして消えちゃって・・・また再度書く気力が涌いて来ず、そのまま記事にしなかったんです。

とはいえ、私が良く聞いていたのって、1980年前後のRCサクセションの頃、アルバムでいうと「PLEASE」「BLUE」の頃だけなんだな・・・って事を今回初めて気がついて、なんか自分の青春時代のヒトコマが、清志郎が亡くなってしまったことで、欠けてしまった様なショックというか・・。
とはいえ、最近もずっと遠くから応援していたので、ほんと、、残念です・・・。
返信する
Unknown (時折)
2009-05-16 08:11:29
私もTBさせていただきました。
男のちょっと妙な角田さんファンからすると
大変味わい深い記事満載で、今朝しんしんと
拝読させていただいていました。
またうかがいます。
返信する
おはようございます。 (ゆう)
2009-05-16 09:44:20
昨日は、たくさんのコメントありがとうございました。
latifaさんとは同士のようで、とても嬉しいです。
清志郎が好きで、角田さんが好きで・・!!
私も1980年代にファンになった一人で、すくない小遣いでレコードを買っていたのから始まり・・しばらくはlatifaさんと同じみたいな感じで見守ってた時期もあるのですが・・数年前には一番前の席でコンサートを見ました。狭い会場だったので、ホントに目の前。嬉しさの余り泣いてしまったのを覚えてます。その後、すぐに病気発症・・・本当に残念です。
今度、実家に帰ったら昔の写真集とか本とかあるので、探してみようと思います。

角田さんの追悼、本当に心に染みましたよね。
まるで、わたし・・と思っちゃいました。
返信する
時折さん☆ (latifa)
2009-05-16 13:39:41
こんにちは~時折さん
コメント、TBありがとうございます!とっても嬉しかったです~

時折さんちのブログで、他の角田さんや他の作家さんの本のレビューも幾つか拝見させて頂きました☆ 角田さんの「薄闇シルエット」は5つ☆でしたね! 私も薄闇~とか、八日目の蝉とか、プレゼントとか、特にお気に入りです。
また、今後もこれを期に、時折さんちにも時々立ち寄らせてくださいネ
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-05-16 13:58:17
ゆうさん、こんにちは~
また来てくださって、ありがとうございます~!
私も清志郎と角田さんが好きだという、ゆうさんと、こんな風に偶然出会えて、とても嬉しいです

>私も1980年代にファンになった一人で、すくない小遣いでレコードを買っていたのから始まり・・
 ううう・・・レコード!!でしたよね!!私も清志郎のアルバムとかシングル(爆)は、レコードでした 
私は「BLUE」のLPが発売になったその日に、レンタルレコード店(←懐かしい~)に最初に借りる人になるべく制服で走って行ったのを昨日のことのように覚えてます。お金無くてなかなかレコード買えなくて。FMでテープに録音するとか、友達でレコードを貸し借りするとか、そんな風にしてたなぁ。確か1981年頃、レンタルレコード屋というのが世の中に登場して・・・。

最近はお化粧せず普段の姿の時にインタビューされて、照れながらぼそぼそと温厚そうに話す清志郎が好きでした。大人になってからは「昼間のパパは~♪」が、特に好きでした。

と、自分のことばっかり書いちゃってすいません ゆうさんは、数年前に一番前の席でコンサートを そ、それはうらやまじい~~~!!!嬉しさのあまり泣いてしまうっての、すんごい解るわ・・・。私もコンサート行きたかったなあ・・・。90年以後関東に越したのですが、その時にはもうすっかり落ち着いちゃってて(爆)、それまでは北海道に住んでいて、清志郎のコンサートなんて行きたくても行けなくて・・・横浜に住む友達が「昨日RCのコンサートに行って来たよ」って言うのを、いいなぁ~!と思っていました・・。

ゆうさんは、今でも実家に変えると、清志郎の物とか色々残っているんですね♪ お宝ですね

そうそう、それと「これからはあるくのだ」はずいぶん前に読んだことがあるのです 感想を書いていないので、私自身も一瞬どんな本だったっけ?と・・すぐ思い出せませんでした。ホント記憶力が悪くて、、、やっぱり読んだ本は全部ブログに感想アップしておくべきだな!、と思いました。

歩く足のアップの表紙の本でしたよね。すごく面白く読んだ本です。「スローバラード」を毛布にくるまって聴くのが角田さんの夢だったんでしたよね 角田さんのエッセイも大好きなんです。
長くなってすいませんでした。
返信する
Unknown (ゆう)
2009-05-16 23:04:42
こんばんは。何度もすみません(笑)
なんだかとっても懐かしい話題を振っていただいて、うんうん♪とうなずいてしまいました(笑)
レンタルレコード・・ありましたねぇ!!あはは!
角田さんのエッセイは読まれたんですね♪
そうそう、スローバラード実践作戦と称して奮起されたことが綴られてました。おかしくて何度も読み返してしまいました。

映画もたくさん観られてるんですね♪
参考にさせていただきます。

また、拝見させてくださいね♪
返信する
ありがとうございます。 (まちぅ)
2009-05-16 23:22:53
TBありがとうございます。
これ、なかなか面白かったですよね。

角田さんが、忌野清志郎の大ファンとは
知りませんでした。
「総合アーティスト」が清志郎・・・
そう読むと、また奥深いですね。
返信する
ゆうさん☆ (latifa)
2009-05-17 09:07:24
ゆうさん、こんにちは!
これ、もしネット上じゃなくて、どこか・・・現実のどこかで、偶然ゆうさんとちょこっと話す様になって、えっ!同志?って解ったら、テンション上がりまくって学生時代に戻ったかのような勢いで話しまくってしまった予感です (っていうか、私は、ネット上でも同様の勢いになっちゃった

レンタルレコードはあったけど、あのころはまだ「ビデオ」→今やDVDですもんね)ってものが普及されてなかったのですよね。だからレンタルビデオ店ってのは、まだ無い頃で。当然TV番組も映画もリアルタイムに見るしか無い!って状態でした。あれはあれで不便だったけど、次の日友達と「見た?」って分かち合える楽しさがありました。今は「あ~録画してるんだけど、まだ見て無くて」って事も多いから・・・。
清志郎が、黒柳さんの「ベスト10」で坂本龍一と一緒に出演した時とかも、嬉しかったものでした。

またゆうさんちに時々お邪魔しに行くので、よろしくお願いします
返信する
まちぅさん☆ (latifa)
2009-05-17 09:11:41
まちぅさん、こんにちは!
コメント、TBありがとうございます、とっても嬉しいです~~

まちぅさんは、自転車好きとのことで、清志郎と同じ??ですね
私も自転車は大好きですが、ママチャリなんで すいすい坂とか登りやすそうな、細いフレームの自転車とか乗ってみたいです

ところで、この「くまちゃん」予想外に私は面白かったです。書店さんとかでも、それほど山積みとかになっていないみたいですし・・・。角田さんの「森に眠る魚」よりも扱いが地味な気がしますが、個人的には、こちらの方が好みの小説でした
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事