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ビジネスホテルの旅

5000円以下のビジネスホテルをまわる旅です。

大曽根の夕日 1 ばあちゃん店

2005年12月07日 23時37分10秒 | 大曽根の夕日
ばあちゃん店は醤油やの前を抜けて”ずどさま”のカドを曲がるとある小さな店です。まだ出来たばかりの頃は,はやるかどうか心配したけれど、このごろは何とかやっているようだ。アイスキャンディーは5円で夏はカキ氷と,ところてんもやっている。
そのばあちゃん店の店主のばあちゃんは俺のばあちゃんでアイスキャンディーをよくご馳走してくれた。30円の魚肉ソーセージも時々くれた。でも、30センチの長さはある50円のソーセージは,今まで一度も食べたことがない。死ぬまで1度は食べてみたい憧れの食べ物だ。他の人がその長いソーセージにかぶりついて見せびらかしているのを見て,ばあちゃんに内緒で食べてしまおうと考えたが、一度も成功した事がない。1度5円のアイスキャンディーの入った冷蔵庫に手を入れたところを見つかってこっぴどく怒られたことがあった。お前がそうやって盗むからこの店はつぶれそうだと言われた。もし50円のソーセージを盗んだら完全につぶれてしまうだろうと思った。
盗みがばれた日からしばらくは店に顔を出すのはやめた。店の前の兵次郎君の家での忍者部隊月光ごっこには皆勤賞だったが、遠くからつぶれたかどうだかの確認をするだけにした。
3日程過ぎたある日、店の前トラックが止まった。冷蔵庫を積んでいた。店の古い冷蔵庫とそのひと周り大きな新しい冷蔵庫を交換していた。ばあちゃんはニコニコしていて、機嫌が良さそうだった。おそるおそる近づき
「何したんだべ」と聞くとばあちゃんは得意そうに
「他の店よりアイスの売上いいもんだがら、あだらしいのにしてけだんだど」と言った。ばあちゃんは社長に誉められたのだそうだ。
俺は本当に安心してまた次の日から毎日ばあちゃん店に顔を出すようになった。
そして、ばあちゃんのアイスをご馳走になったのでした。

昭和30年代。柏戸を見るために白黒TVをじいちゃんが買った時代。金はなかったけれどみんな希望に燃えていた時代。KYU6才の頃のお話です。