3-4 完結編
H君の言葉に驚きました。テッパというのはパッタを振り下ろす時に、間違って手が当たってしまう反則の技なのです。今まで”テッパあり”でパッタをした事などありません。この辺でしたという話も聞いた事がありません。少し躊躇しましたが、なにしろ20枚以上の差があります。少しのハンデをあげてもいいだろうとOKしました。これが間違いでした。
H君のテッパの技はすばらしく(手で出しているだけなのだが)
俺は、またたく間に儲けた分を使い果たし、2階の自分の部屋へパッタをとりに何度も駆け上がりました。
大人になってこれと同じ感覚を何度も味わいました。パチンコとマージャンです。
とくにパチンコはあと千円すれば・・・と
気づいた時には、すっからかんになっています。
5回ほど部屋へ駆け上がり70枚ほどとられた所で
これはかなわないと気づきました。
完敗でした。
H君はあちこちのポケットを膨らませ勝ち誇ったような笑みを浮かべ
帰っていきました。
その夜は、悔しくて悔しくて眠れずどうしたらリベンジ出来るのかと考えました。
「そうだ!反則には反則しかない!50万パを持っていこう!」
50万パとは、直径30㌢もある丸いパッタで
裏には何故か50万と書いてあるのです。
「ようし!取り返してやる」
次の日、H君が主戦場にしている”ずどさま”へかあちゃんの自転車を借り
籠に50万パを入れ、横乗り(注1)して急ぎました。
いました。相変わらず袖口をテカテカにしたH君。昨日の悔しさがよみがえります。
「パッタすっべ!」
俺は気負う自分を抑えながら言いました。
そんな俺を見つけたH君は仲間とパッタを続けながら言いました。
「だいわんパ(注2)禁止!50万パ禁止!!!」
仲間も一緒にはやし立てます。
「だいわんパ禁止!50万パ禁止!!!」
H君の処世術は一枚上手でした。
俺はすごすごと自転車を引いて帰りました。
大曽根の夕日 3 テッパあり 終わり
注1 横乗り・・・小さい子供が大人の婦人車を乗る方法。 パイプとパイプの間に片足を入れ、サドルには腰をかけないでペダル踏みます。
注2 だいわんパ・・・直径が20㌢以上もある丸いパッタの総称。裏にかい てある数字によって10万パ、30万パ、50万パなどがある。
H君の言葉に驚きました。テッパというのはパッタを振り下ろす時に、間違って手が当たってしまう反則の技なのです。今まで”テッパあり”でパッタをした事などありません。この辺でしたという話も聞いた事がありません。少し躊躇しましたが、なにしろ20枚以上の差があります。少しのハンデをあげてもいいだろうとOKしました。これが間違いでした。
H君のテッパの技はすばらしく(手で出しているだけなのだが)
俺は、またたく間に儲けた分を使い果たし、2階の自分の部屋へパッタをとりに何度も駆け上がりました。
大人になってこれと同じ感覚を何度も味わいました。パチンコとマージャンです。
とくにパチンコはあと千円すれば・・・と
気づいた時には、すっからかんになっています。
5回ほど部屋へ駆け上がり70枚ほどとられた所で
これはかなわないと気づきました。
完敗でした。
H君はあちこちのポケットを膨らませ勝ち誇ったような笑みを浮かべ
帰っていきました。
その夜は、悔しくて悔しくて眠れずどうしたらリベンジ出来るのかと考えました。
「そうだ!反則には反則しかない!50万パを持っていこう!」
50万パとは、直径30㌢もある丸いパッタで
裏には何故か50万と書いてあるのです。
「ようし!取り返してやる」
次の日、H君が主戦場にしている”ずどさま”へかあちゃんの自転車を借り
籠に50万パを入れ、横乗り(注1)して急ぎました。
いました。相変わらず袖口をテカテカにしたH君。昨日の悔しさがよみがえります。
「パッタすっべ!」
俺は気負う自分を抑えながら言いました。
そんな俺を見つけたH君は仲間とパッタを続けながら言いました。
「だいわんパ(注2)禁止!50万パ禁止!!!」
仲間も一緒にはやし立てます。
「だいわんパ禁止!50万パ禁止!!!」
H君の処世術は一枚上手でした。
俺はすごすごと自転車を引いて帰りました。
大曽根の夕日 3 テッパあり 終わり

