教科書採択を考える会ブログ

愛媛県松山市内の中学の歴史教科書が「育鵬社」版に変わるのを機に発足した会です。教科書比較の学習会も行っています。

9月5日 松山市議会の傍聴

2017-09-20 16:58:15 | 傍聴日記
2017年9月5日、杉村ちえ議員が松山市議会で、教科書採択問題について質問しました。

(以下、事務局スタッフが書き起こしです)



(質疑応答)
1.教育を受ける権利の主体は、子どもであるという認識はあるか?

「主体は、子どもにある。」


2.教科書は、教師や有識者、保護者をはじめ、市民の幅広い意見を反映し、より良いものを選択すべきであると考えるか?

「校長、教師、有識者、保護者の意見を反映すべきである。」
(市長への答弁の要請に対して、教育長は拒否)


3.懇話会は何回開かれたか?

「5月と7月の2回。個人の意見としてうけとめる。」


4.教育委員は、懇話会と直接意見交換をしたか?

「直接の意見交換はない。」


5.どのような方針・観点・指標をもって臨んだのか?

「基本方針は、学習指導要領、調査研究の成果に基づき、児童生徒の実態並びに学校及び本市の実情に応じた教科書を採択する。

 観点は、考え、議論する・いじめ・情報モラルについて中心に考えた。」


6.事前に採択方針を明らかにすべきだと思うが?

「事前に出す考えはない。」


7.採択委員会が、答申した教科書と異なる教科書を採択した事実はないか?

「平成23年(2011年)まで答申。平成26年(2014年)要綱をつくって懇話会になった。平成23年まではない。」


8.採択委員会が答申することにどのような問題があったのか?

「文部省の通達通知には、「教科書採択にあたっては、採択権者の責任が不明確になることがないよう、採択手続きの適正化に努めること」と示されており、
採択手続きの適正化に真摯に取り組み、現在に至っている。」


9.採択委員会の廃止について、どのように検討し、決定したのか?

「平成24年9月の文部科学省の通知で、採択手続きの適正化を図るよう示されたことから、平成26年3月の第4回松山市教育委員会臨時会で

採択委員会は、広く意見を出していただく懇話会形式で行う方が望ましいと議論され、松山市教科書採択委員会規則を廃止する規則を定めた。」


10.調査部会への指示権を教育委員会が持つことは、採択の趣旨に違反するのではないか?

11.学校報告書について、いつ・どこで・どのような議論で決めたのか?

12.従来通り、現場の希望を明らかにするために報告を求める考えはあるか?

13.教育委員による恣意的判断が可能になる、一連の制度改悪は教育委員の指示があったのか?それとも、事務方の考えたものか?外部からの働きかけがあったのではないか?

14.教科書採択委員会を再設置する考えはあるか?

「学校報告書には、序列をつけたものをもとめるのではなく、拘束力がないものにした。

 一連の変更は、事務局で審議し、教育委員で決定した。外部からの指示はない。採択の権限は教育委員にあるので、教科書採択委員会を再設置する考えはない。」


15.採択時の投票を記名とすべきと考えるが、その考えはないか?

「松山市教育委員会会議規則第10条に基づいて無記名にしたものであり、今後も規則に基づいて採択する。」

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教科書採択を、思惑通りに進めるためのシステム変更だとしか思えないいやらしいやり方だと思いました。

子どもたちの前で、道徳はこういうものだとか、いじめがダメだとか言えるのでしょうか?

言われた子どもたちはどう思うでしょうか?



そして、懇話会・調査部会・報告書については「個人的な意見」として、意見を採用するかどうかも教育委員任せになっています。

これでは、真摯に意見を表明した懇話会・調査部会・学校や保護者、市民に失礼であることはもちろん、本当に責任を取るべき事態が起こった場合に、5人の教育委員でどう責任が負えるのかと不思議でなりません。


わたしたちは、もっと民主的なシステムで採択がなされることを訴えます。

教科書採択の方法が変わった…?

2017-09-20 16:05:45 | 事務局日記


8月8日に、松山市教育委員会は「教育出版」を小学校道徳教科書に採択しました。

教育出版は、「国家主義的傾向が強い」として教職員関係団体や市民団体が、県や市町に不採択を請願していたにもかかわらず、
このような結果になり大変残念な思いをしています。


それ以上に、今回の教科書採択では、前回までの採択方法とまったく異なったものになっていたことに驚きを隠せませんでした。

非常に非民主的で独断的なシステムになったと感じています。

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[変わった点① 学校現場から希望を聞くことがなくなった]
 前回までは、各学校から希望する1位の教科書を報告することになっていた。
ところが、今回は8教科書のよいところのみを書くものをなった。良いところのみ、というのは実質、希望を聞かないということである。
学校報告書をもとにした調査部会からの意見書は出なかった。


[変わった点② 採択委員会が懇話会になり、答申は無かった]
 前回まであった採択委員会は、調査部会からの意見書をもとに答申を出していた。
今回は、懇話会となり、話し合った内容を列記したものが教育委員に届けられたのみ。



[変わった点③ 最後は教育委員の独断]
 無記名投票を行い、5人の教育委員のうち3人が教育出版に賛成し、決定した。
意見書も答申もない中での決定は、教育委員の独断でしかなかった。明確な教育出版採択の理由説明もなされていない。

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教科書裁判を支える会での学習会(8/21)参加で、教科書採択が教育委員の独断で採択できるシステムに事前につくられたことを知りました。


[いつから?]
 2014年3月、「採択委員会規則」を廃止し、「松山市教科用図書採択要綱」を作成・施行して「答申」の制度を廃止。

 採択委員会を単なる「懇話会」と位置づけ、そこで話された「協議の内容は、学校教育課が記録を作成し、教育委員会に提出する」という形に変えた。



[なぜ?]
 2001年に教科書問題が出てくる。東京と松山市で扶桑社採択が狙われる。答申制を撮っていたため、2011年まで採択できなかった。
 
 2011年、金本教育委員長「採択したいが、現場からの希望が少ないのでできない」と発言。

 2015年は、2014年3月にシステムを変えていたが以前のままを踏襲した。しかし、答申には従わず教育委員が4対1で育鵬社教科書に決定。

 2017年の教科書採択委員会では、新しいやり方で教育委員の独断で教育出版の教科書に決定。