前述のブログにも書いたが、言葉は「生き物」だから時代・時間によってどんどん変化している。特に日常会話に関しては辞書にも参考書にも載っていない。最近の映画・エンターテイメント関係の雑誌・書物に「映画」を表す単語に pic (ピック)を使っている。周知のように picture (ピクチャー・写真/映画)を短縮したものだ。
余談だが、アパートの女管理人が頻繁に refg (レフジ)を使う。こちらが refrigerator (リフリジレイター・冷蔵庫)と言っても又、同じ言葉がかえってくる。まあ、一般にアメリカ人はルーズで面倒くさがりだから単語を短縮したい気持ちも分からなくもない。でも最初にこの言葉を聞いた外国人は何のことか全く分からないだろう。40年以上米国に住んで「アメリカ人になった」神戸出身の友人がいる。彼との会話はすべて英語で日本語は一切お互いに出てこない。それは自分にとって大変勉強になる。なぜなら時折、彼が意味不明の単語を使う。それがその短縮形や現代会話用語だからで、1度目は分からなくとも3~4度繰り返して使われると何をさしているのかが明白になる。
他に「映画」を意味する単語として feature (フィーチャー)、movie (ムーヴィー)、film (フィルム)、motion pictures (モーション・ピクチャーズ)、cinema (シネマ)、screen (スクリーン)があるが、この中にも現在はほとんど使われていない死語がある。《ヨーロッパ英語では生きているような気はするが...。》
映画の中の字幕(superimpose / subtitle) を考える人には感服する。1秒間に24コマ(frame) 流れるフィルムの中で長く話された英語を短い時間、少ないコマ数で日本語に直訳・意訳・簡約しなくてはいけない。シーンの内容と字幕が全く異なることもしばしばある。《なぜ24コマかと言うと目の残像 (afterimage) 、残像後の画面のリフレッシュ (screen refresh) 、モーションのぼかし (motion blur) 、制作コスト面 (saving money) などすべてを考慮すると、自然の動きを再現する最善の数とされている。画像を良くしようとコマ数をいくら増やしていっても人間の見た目には全く変わらずフィルムの無駄になる。誰でも知っている事だが、動作の速い映像を撮るときはコマ数を減らし、スローモーション・動作の遅い映像の場合はコマ数をかなり増やして撮影する。》 同時・逐次通訳 (simultaneous / consecutive interpretation) でも同じ事が言いえるが所詮、文化、社会背景が全く違う人間が使っている2つの生活言葉を同時あるいは短時間に「正確に変えて伝える」のは不可能である。
アメリカ人に "I understand." 「分かりました。理解しました。」なんて言ったことはない。"I see." 「分かりました。なるほど。」の程度。相手の言っていることが70~80%理解出来、自分の言いたいことが70~80%伝われば「コミュニケーション100点満点以上」だといつも思っている。《日本語でもそこまでいっているかどうか、はなはだ疑問である!》
それでハリウッド映画と日本映画を鑑賞する際はすべてオリジナルのみにしている。お互いの字幕、吹き替えは観ないようにしているのは必ずどこかで「誤解」が生じるからである。#YS