フツーの見方

フツーの論理で考えれば当然だと思うことが、なぜかマスコミでは出てこない。そんな意見を書き残しておきたいと考えてます。

FMチューナーはオワコンか まとめ編-7

2024-06-06 | Weblog
・ALPINE/LUXMAN T-117 '87.6 \59.8K
 T105ではちょっと残念だったラックスだが、T117はパルスカウントとPLL検波を比較できる機種として、ひろくん&BLUESS氏共に高評だったので落札してみた。長岡氏も87年優秀賞に選出してたので音質も期待できる。
 到着時点でステレオ受信できAuto-tuneもメモリも正常に機能した。ステレオ感は十分。音質はクリヤだけど少しボヤケた印象もあり今一感。スペアナで見ると緩やかな15kHz LPFが掛かっているようだ。
 Sメータは白3列+赤1列×縦4段階で16 segmentsもあるが、白3列はパラに光るだけ+赤は同調表示で横の区別は無さそう。結局縦4段でS強度を示すだけのように思える(取説が無いので詳細不明)。総合的なパネルデザインは悪くないが普通の日本メーカ的機能優先型で特別なお洒落感は無い。

 カバーを開けたら所々トリッキーな配線があってビックリ! 日本の製品レベルでこんな器用な空中配線を見たのは初めてだ。珍しいので2か所の写真を載せておく。


 ひろくん入手の物より製造番号が小さいので初期出荷に間に合わせるため突貫工事した物だろうか?
 ひろくんやBLUESS氏の基板写真を見るとこんな空中配線は無くなっているが、ジャンパー配線はやはり多い。大手メーカーより基板設計技術が低いのか、試作を重ねて作りこむ余裕が無かったのか。
 あとひろくん&BLUESS氏の基板には右下の方に赤いLEDが載ってるが、私の基板には無かった。回路も微妙に変更されているようだ。詳細は不明だが、少なくともFMの音質は良好だった。

 電源は本機でも三端子IC(ネジで型番読めない)がメインだが T105よりケミCや周辺Trは増えててマシになってる。三端子は例によってケース直付で放熱してるがその周辺が結構熱くなる(60℃?)のが気になった。ケースは鉄製で熱伝導率が低いから底面に幅広のアルミテープを三端子周辺から外側へ向けて貼ってみた。気安め程度だろうが無いよりは熱が分散されるはずだ。
ひろくんがクラックを見つけたQ001も相当熱くなる(80℃?)。ただ傍にケミCは無いしHSを付けるのも難しいので放置。PTは50℃位で問題なし。

 FM調整は二人の調整手順の記述が微妙に違ってて解りづらい。どのみち正規の測定器がないので無理な項目は飛ばして出来る範囲でそれぞれの項目を取り入れて試行錯誤で調整した。
 FEは VT=21.3V@89.9MHz~VT=3.47V@76.1MHz で許容範囲。感度は調整で少しup。
 VR201がパルスカウントとPLL検波の切替レベル調整で、回し切るとどちらかに固定できる。
 パルスカウント回路の調整は歪最小になるようにと書いてあるが、測定器が無いのでちょっとだけ回して音の変化をみたが、正直ほとんど判らない。一応耳で調整したが元の位置からは大きくズレない程度にした。
 PLL検波調整も耳合せ。どちらも極力線が細くスッキリした音を目指して調整した。
 Sep.はL/R個別にVR+VCで調整できる豪華仕様で、パルスカウントだとL/R共≧75dBと超優秀な値が出た。一方、PLL検波に切替えると30dB程度になる。確かにHiBlendが掛かるようだ。PLL検波側でVRを再調整したら40dBは超えたがminは出ず、パルスカウント側が大幅に劣化するのでやはりマズイようだ。まあ30dBでも音質評価は可能で、遠方局には十分な性能だろう。
 19kHzのpilot信号は-85dB以下に抑えられた。これも優秀。
 AM調整は ANT端子が特殊で手持ちのLoop-ANTではうまく接続できないため感度が悪くてまともに調整できなかった。AMは使わないので頑張る気もなく放置。

 さて音質だが、パルスカウントの音質は非常にクリヤで F120よりも高域が鋭く生々しい感じ。VR201でPLL検波に切替えても音楽を聴いている限り音色的には変化は感じなかった。声に注意するとパルスカウントの方が確かに子音クッキリで立上りが鋭い。PLLでは立上りがやや丸まるが柔らかみも出て、ケースによっては寧ろ聴き易い印象も受けた。ひろくんと違って私の場合パルスカウントの鋭角的な音は集中して聴いていると疲れるのであまり好みではないようだ。
 HiBlendの影響は音質より音場が狭くなる事で、やはり PLL側は音楽鑑賞には適さない。個人的にはHiBlendとは独立にパルス/PLLを切替られるようになっていれば気分で使い分けられるのだが。あくまでパルスカウントをウリにしたいという営業判断なのかな。
 ちなみにKT1で比べたらパルスカウントには敵わないまでも結構鋭い立上り(切替比較で子音に注意して聞かないと差が判らない)で PLL検波でも十分カッチリした音は出せると思う。

 SNも78dBのSpec以上に良好で静寂感はF120(SN88dB)と大差ない。F120より響きが良いので、本機はパルスカウントのレファランス機として F120と置き換えとなった。LUXMAN名誉回復。
 なお本機のAuto-tuneはユックリ動き始めて加速し信号検知するとSCAN速度が遅くなってユックリ止まる感じで独特だ。近接局を通り過ぎないで確実に止まる狙いか。でも通り過ぎても戻れば良いだけなので高速SCANの方がストレスないと思うが。まぁメモリ数が多いから通常はボタン選局するから関係ないだろう。

・Pioneer F-X900 '84頃 \65K ミニコンPrivate CD9W{AMP:A-X900=\50K SP:S-X900=\45K CD:P-DX700=\89.8K}
 中古屋に立ち寄ってジャンク棚を見てたら超小型のtunerが目についた。見るからにシスコン機だが型番900という事で上位機だろうと推測。検索したら例によってシスコン機の個別情報はほとんど見つからないが、総合カタログが見つかり、Privateの最上位で定価65,000円もするチューナーという事が判った。値引き前提の定価かも知れないが、流石にこの価格で下手な物は出さないだろうと思いソニーのシスコン最上位ST-V9900と比較するつもりで購入した。
 仕様は、プログラムタイマー付チューナー 320x60x210mm 2.8kg 集中ワイヤレスリモコン付 SN77dB Sep41dB AM/FMランダム12局メモリ
 特徴として、ディスプレイが{局名カナ表示/LCD+ch表示/LED+周波数&時計表示/FL}と3個もある。時計保持用に単3*4本が入るようにできている。

 さて帰宅して通電したら、LCD表示が非常に暗いものの基本的な動作は異常なさそう。F120と同じくAuto-tuneやSメータは無い。MonoやMuteの切替も無い。小形化の関係でボタンは小さく表記も読みづらい。
 なお電池を入れない状態でAC抜いた場合、時計はリセットされるが局メモリは保持されており、電池は時計のバックアップ用らしい。
 手動tuneすると正規fの0.2MHzズレで音が出た。ただし音は悪く、TUNEDもSTEREOも点灯しない。典型的な同調ズレと思われる。

 カバーを開けたらチューナー基板が底部にあってその上にタイマーや制御系の基板が斜めに半分重なる様に搭載されてるトリッキーな配置。チューナー基板は紙エポで上質、制御基板を外さなくても調整可能な配置になっている。小形化のための苦心のレイアウトと思われる。F-X900の分解記事は全く見つからないので内部写真掲載。



 FEは3連バリキャップ。使用ICは、
Pioneer PA3001A(=HA11225)…FM クォードラチュア検波
日立 HA12016…PLL-MPX
SANYO LA1247…AM電子tuner
 日立 HD6305X2P…CMOS MCU
 東芝 TC4069UBP…HEXインバーター
 TD62804P|Pioneer PD3013B…情報無し,局名メモリ関連?
電源:78M05 ~ヤヤ熱い(50~60℃)程度

 似たチューナーを探したら、海外版TX-1060('86年?)とF-505('87年 ひろくん記事アリ)が見つかった。写真見る限りチューナー基板の構成はよく似ている。
それらの記事を参照しつつ、調整を行った。基板にTPの記述もあるので判りやすい。

(FM調整)
FE部 VT=7.54V@89.9MHz~2.56V@76.1MHz チェックだけ
同調点 T201(13角大型コア*1コのみ) TP3&4間電圧<±0.1V ←1コしかないので音質調整効果薄 ±1V以内で TUNED が点灯するようだ
感度 FE内コア*2+L401 TP5電圧最大化
VCO調整 HA12016傍のVR 全局ST点灯 ←左回しきりだが一応調整可
Sep. 調整VR無 実測≒40dB弱
キャリヤリーク 調整点無 19kHz≒-50dB ←f特は19k周辺だけ低下するが24kHz迄伸びてる
(AM調整)
 機能は正常らしいが、ループANTではノイズ酷く音質以前。どうせ使わないので調整手抜。
 時計の調整点は無いが月差数秒程度で十分正確。クォーツだから当然だろう。

 FMはFEが3連相当なので±0.2MHzズレても音が出る=選択度が悪い。一方、音は意外にキレ&アタックが良くて細かいニュアンスも出るので単独なら大きな不満は感じない。帯域も十分。音質は透明で明るい印象で F-120とよく似ててシスコンとしてはグレードが高い。ただし F-120と切替えると無音時の静寂感で差があり、音場も広くドッシリ落ち着く印象となり、やはり本格コンポには敵わない。
Sep.調整できるよう改造すれば音場やヌケが改善する可能性はあると思うが、頑張る機種でもない。
 F-120より2万円高い定価は、小形化の為に基板配置が複雑化した点やリモコン対応、ディスプレイ3個+カナROMのコストだろうか。'84当時のワイヤレスリモコンは今と違って非常に高かった。普及機では有線リモコンもあった時代だ。アンプよりチューナーの定価が上なのもそのためだろう。

 性能からするとお蔵入りレベルだが、超小型サイズとタイマー機能を活かして ST-G5に代えてベッドサイドラジオとして活用することにした。小さいので配置が楽。SNやSep.の低さもベッドサイドだと小音量でしか鳴らさないので問題にならない。目覚ましラジオになるのはやはり便利だ。

 取説はネットでも見当たらなかったので手探りの操作手順を記録しておく。間違ってるかも。
(設定法)
・局メモリ:局を受信した状態で、[Memory]を押す→fに対応した局名が4種?順次表示される→希望局名の出た時に Ch[1~12]を押すと登録される。表示は結構変化が速いのでタイミングが難しい。発売当時の局名ROMだから現在とは合わない場合、任意編集は不可のようだ。正しい局名が無ければ「ローカル+周波数」表示を選ぶしかない。
・時計合せ:[Clk adj]を押すと「ゲンザイジカンハ?」と表示されるので、例えば[PM]+[8]+[Hour]+[1][5]+[Minute]で PM8:15 にsetされる。部分修正は不可=[Clear]でやり直し。
 FL表示は時計がメインで周波数調整時のみ f表示になり、常時 f表示は不可のようだ。[MEMORY]を押すと登録動作になって一時的な確認は可。
LCDの表示は非常に暗くて日中は見えにくい。常時点灯してるので既にバックライトが劣化してるようだ。
・タイマー設定:[SET]+[①②EVERY|③ONCE|④SLEEP]のどれか押すと、開始時刻等を聞いてくるので時計合せと同じキー操作で入力+[Ch]+終了時刻も入力するとsetされる。途中[Clear]押すと一段階戻れる。SLEEPは時間setだけ。
 [Check]+[①~④]でタイマー内容が確認できる。[SET]+[Clear]+[①~④]で削除。
 Standby時=LCD側に次にタイマー動作する時刻が表示され、オンになってるEVERYタイマー番号が f表示横に1,2で赤く点灯。①②ボタンを押すと各個にオン/オフ切替可。③ONCEの表示は無さそう。④SLEEPは電源オン状態で押さないと無効。

 電池無しでAC抜けたら時計もタイマーも即リセット。局メモリは保持されてた。
 スタンバイ状態でFM/AMやChボタンを押すと自動でパワーONして聴けるのはちょっとだけ便利。


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