ところが、枝垂桜の写真を撮っているとき、左手の奥に見覚えのある小さな看板が見えた。

もしかして、水琴窟かなと思って行ってみると、間違いなく水琴窟だった。
あの時、この辺りまで来て周囲を見たはずなのだが、完全に見逃していた。

看板は他の七福神にあるものと同じである。

水琴窟の方は、大きな石をくり抜いた甕が置かれている。
その上に竹筒を束ねたのものが置いてある。
その奥から竹の樋が甕の上に延び、水が流れ落ちている。
甕の水は何処へ落ちているか分からない。
近づいてみたが、水琴窟の音は全く聞こえない。

今は枝垂桜もすっかり葉桜に変った。

水琴窟の廻りの木も葉が生長して、雰囲気が全く違う。
手前に大きな石で囲われた所に、やや大きめの石が並んでいる。
そばの黒くて平らな石に細いテープが張られ、何か文字が書いてある。

そこには「小石を入れないでください」と手書きされている。
どうやらこの下に甕があるらしいが、いまも、水琴窟の音は聞こえない。

以前はここに柄杓が置いてあり、それで水をすくって石の上に流して音を聞いたのかも知れない。

コロナ禍が終わらないと、確かめることはできないが。