おはようございま、ジニーです。
最近、読んだ後に放置しがちだったので、今回は早めに書こうと思っていました。
早め早めにやんないといけないですね、何事も。
さて、今回読んだのは角田光代の「空中庭園」。
とある家族を軸に書かれた本書は、それぞれの視点から自分たちの家族を
どう見ているのかを語っていく、短編集です。
娘、父親、母親、祖母、息子の家庭教師、息子
の順番で進む本作。
まず、この家族にはある決まりがあります。
それは「秘密を持たない」こと。
その実、家族のみんな、白日の下にさらせない「秘密」を持っています。
「秘密を持たない」という言葉が、その事実をよりリアルなものにしており、
この家族の危うさを、なにより明確に浮き彫りにしています。
この「秘密を持たない」というルールを作ったのは、母親です。
しかし、その母親自身が、この家族の始まりの部分で秘密を持っています。
すべては、母親の描く理想の家族を作り上げるためのもの言っても過言ではなく、
ある意味「秘密を持たない」というルールの根底の破綻が、メタファーのように感じられます。
読み進めるうちに、何とも言えない浮遊感のようなものを感じました。
ひとりとして地に足がついていない感じ。
そのまま感じた気持ちを書くと、方向感覚がなくなるイメージです。
ひとり一人、前に歩みを進めているのですが、気が付くと方向は変わっていて、
知らない、望まない景色にたどり着いてしまうような気持になりました。
それこそが「空中庭園」たる所以なのでしょう。
理想のように描かれるその家族像は、結局何かを隠すための隠れ蓑でしかなく、
結局理想とは程遠い、残酷なまでの現実を突き付けてくるのです。
この6編の中に、家族とは言えない息子の家庭教師の視点が入っているのが
とても面白いです。
じつはこの家庭教師、父親の不倫相手でもあるのですが、異様な家族像を目の当たりにし
その内側にいるとその異様さには気づかないという、滑稽さを徹底的にあぶり出します。
部外者であろことが、さらにその説得力を持たせており、救いようのない
空中庭園という、ある種のガラパゴスな景色が本作の面白さを際立てているように感じます。
ただ、それも家族。
というのが、本書で書きたかったことではないかと感じました。
ヒト単位では、家族であっても他人なわけです。
それでも家族という運命共同体の中にくくられることによって、良し悪しではなく
その運命共同体が滞りなく回れば、問題は問題として表面化しないわけです。
他人にとやかく言われる筋合いはない、うちは幸せなのです。
それが言えることが、家族としての幸せなのかもしれません。
少なくとも僕は、よその家族と違う価値観や文化があろうと、
家族が笑顔であれば、何も問題ないと考えていますし、
こうあるべきという尺度なんて、あまり持ち込みたくないと考えています(一般常識以外は)。
この空中庭園で描かれている家族も、各々知らない問題を抱えつつも幸せそうでした。
最近、読んだ後に放置しがちだったので、今回は早めに書こうと思っていました。
早め早めにやんないといけないですね、何事も。
さて、今回読んだのは角田光代の「空中庭園」。
とある家族を軸に書かれた本書は、それぞれの視点から自分たちの家族を
どう見ているのかを語っていく、短編集です。
娘、父親、母親、祖母、息子の家庭教師、息子
の順番で進む本作。
まず、この家族にはある決まりがあります。
それは「秘密を持たない」こと。
その実、家族のみんな、白日の下にさらせない「秘密」を持っています。
「秘密を持たない」という言葉が、その事実をよりリアルなものにしており、
この家族の危うさを、なにより明確に浮き彫りにしています。
この「秘密を持たない」というルールを作ったのは、母親です。
しかし、その母親自身が、この家族の始まりの部分で秘密を持っています。
すべては、母親の描く理想の家族を作り上げるためのもの言っても過言ではなく、
ある意味「秘密を持たない」というルールの根底の破綻が、メタファーのように感じられます。
読み進めるうちに、何とも言えない浮遊感のようなものを感じました。
ひとりとして地に足がついていない感じ。
そのまま感じた気持ちを書くと、方向感覚がなくなるイメージです。
ひとり一人、前に歩みを進めているのですが、気が付くと方向は変わっていて、
知らない、望まない景色にたどり着いてしまうような気持になりました。
それこそが「空中庭園」たる所以なのでしょう。
理想のように描かれるその家族像は、結局何かを隠すための隠れ蓑でしかなく、
結局理想とは程遠い、残酷なまでの現実を突き付けてくるのです。
この6編の中に、家族とは言えない息子の家庭教師の視点が入っているのが
とても面白いです。
じつはこの家庭教師、父親の不倫相手でもあるのですが、異様な家族像を目の当たりにし
その内側にいるとその異様さには気づかないという、滑稽さを徹底的にあぶり出します。
部外者であろことが、さらにその説得力を持たせており、救いようのない
空中庭園という、ある種のガラパゴスな景色が本作の面白さを際立てているように感じます。
ただ、それも家族。
というのが、本書で書きたかったことではないかと感じました。
ヒト単位では、家族であっても他人なわけです。
それでも家族という運命共同体の中にくくられることによって、良し悪しではなく
その運命共同体が滞りなく回れば、問題は問題として表面化しないわけです。
他人にとやかく言われる筋合いはない、うちは幸せなのです。
それが言えることが、家族としての幸せなのかもしれません。
少なくとも僕は、よその家族と違う価値観や文化があろうと、
家族が笑顔であれば、何も問題ないと考えていますし、
こうあるべきという尺度なんて、あまり持ち込みたくないと考えています(一般常識以外は)。
この空中庭園で描かれている家族も、各々知らない問題を抱えつつも幸せそうでした。
読書の秋、なんですね。
すごいたくさん読まれててうらやましいです。
私は今、中山可穂さんの「銀橋」を読んでいます。宝塚のお話なので好き嫌いがはっきり分かれます。元ヅカファンなので、読むと懐かしくなるんですよね(笑)。
角田さんも山田さんもほとんど読んだことがないです。図書館で背表紙はよく眺めますが・・・。
もののけ姫、やっていましたね。ジブリの中だったら「ハウルの動く城」と「耳を澄ませば」がいいかなぁ。ハウルは見た目が光ちゃんで声が木村くん、というところにキュンとなります(ジブリの内容と関係がなくてすみません)。
それ以外のジブリは見たことがないので、ストーリーがわからないんです。日本人の恥ですね。
ジニーさんの本の感想を読むと、その本を読みたくなりますね。今まで読まず嫌いな作家さんたちの本も少しずつ手に取って行こうと思います!