九里 【九里】を探して三千里

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BEETHOVEN ある一日 「夕べにすべてを見届けること」

2023-07-03 | コラム

『夕べにすべてを見届けること』

ベートーヴェンの言葉なのだそうだ。

一体どのようなタイミングで使ったのかはわからないのだが、想像してみよう。

「すべて」とは?

 

ベートヴェンのある一日

今日は引っ越し、何故なら大家とケンカをしたからだ。

大家はいつも不機嫌で、私にも、甥のカールにも、失礼な人物だったのだ。

かくゆう私も、不機嫌な人には不機嫌に接することにしている。

 

さて、今朝はやけに早く目が覚めたので、さっさと引っ越しを済ませてしまおう。

めぼしい部屋を見つけて契約をしたばかりだ。

ココよりも安く、空にも近く、いつもの散歩道である河辺にも近い。

馬車を呼び、甥っ子と荷物を片付け、最後にピアノ・椅子・楽譜を別の荷馬車に載せる。

此の衝動的な引っ越しも50回目か…

この50回で学んだことが、大事なものは最後に運び込むことだった。

 

さて、もうすぐ大変だった一日が終わる。

新居での夕べは特別だ。

あらたなワインを開けるときのように、明日からを想像し、期待する。

そして

これまでの全てを見届ける夕べなのだ。

 

明日からは新たな自分になるのだ。

 

新しい部屋の朝は陽のさし方も変わり、空気の香りも変わり、全てが変わるのだ。

もちろん私自身も変わるであろう。

 

 

 

 

 

 


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