4月4日 (水曜日) 晴れ
コラムに
ブラック企業とは、違法な長時間労働や低賃金で従業員を働かせたり、
人権を踏みにじるような行為を続けているような企業を指す。
過労死自殺を招くなど、近年は社会的な批判にさらされる。
▼逆に、社員の幸せと働きがい、社会貢献を大切にする企業はホワイト企業と呼ばれる。
首都圏の駅前などで計130店以上を展開する立ち食いそばチェーン「富士そば」は、その部類に入るだろう。
▼この会社は少々変わっている。
アルバイトにもボーナスを出す。
勤務時間は現場の判断で、カバーする人との帳尻が合えば自由。
そばの作り方に一応のマニュアルはあるが、絶対ではない。
湯切りが確実なら回数は問わない。
▼定番メニュー以外に、立地場所の特徴に合わせた独自のメニューが店舗ごとにある。
店長などの判断で新商品が生まれる。
会社は新メニューの提案を推奨し、報奨金も出す。
離職率は業界としては低い。
▼従業員を大切に扱う。
給料が安ければ仕事にほころびが出る。
細部は現場に任せる。
経営陣は従業員のやる気をそぐ言葉を発しない。
それが活力を生む。
創業者の丹道夫氏の著書
『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』(集英社新書)には
人生経験に裏打ちされた経営哲学がにじむ。
▼開会中の通常国会はいよいよ後半戦。
働き方改革を巡る論戦の焦点の一つだが、
利益第一主義が生み落としたブラック企業を一掃できるかどうか。
=========================
もう一つコラム
「人口減少時代に」
思想家、鶴見俊輔さんが日本の高齢化・人口減社会について、こんな予言をしていた。
「老人人口が増えていくことによって、
老人が単純労働に就いて、
それを生かせるような場所を工夫するようになるでしょう。
技術がそのように使われるようになる。
それが未来社会です」。
▼関川夏央さんとの対談集
『日本人は何を捨ててきたのか』(ちくま学芸文庫)での発言である。
1997年の対談を中心にした本だが、20年前の予言通り、日本はいま、かつて経験したことがないほどの人口減社会に直面している。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東日本大震災から2年過ぎ、何かを考えるために手にとった本です。
体裁は、鶴見俊輔氏と関川夏央氏お二人による対談を起こしたものです。
評論家の鶴見俊輔氏は、外祖父はかの後藤新平、父は政治家鶴見祐輔という家に生まれながらも、
厳格・苛烈な母親に反発して、若い頃はかなり危ない行動をとっていたようです。
大衆文化への造詣も深く、漫画原作者としての経験もある関川氏との会話は
なかなかいいノリで進んで行きます。
たとえば、日本の村的なものに
自由主義・民主主義を感じるという鶴見氏のコメントは面白いですね~。
「これが真理だ、手の内にいま自分は真理を握っている」
という感覚を、わたしは疑う。
むしろ、日本の村にある感覚みたいなもの、
つまり、「あいつは変なやつだけれども、殺しはしない。八分にする」
という方法に可能性を感じますね。・・・
そっちの方が、魔女裁判のような感覚よりも優れて自由主義なんだ。
▼国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、
2045年の総人口は15年より2千万人減の1億642万人になる。
人口減が著しいのは秋田県(減少率41・2%)や
青森県(同37・0%)。
和歌山県は現在の約96万人から約69万人になり、約3割も減る。
出生数が減り続けているためで、高齢者が高齢者を支える時代の到来である。
▼そういう時代にどう対処し、どう生きるのか。
高齢者が生きがいを持って笑顔で働ける環境づくりは、
国をはじめ自治体も学界や産業界としても知恵の絞りどころである。
▼個人のレベルでいえば、学校に入り直してもよい、
ゆっくりまちを歩くだけでもよい。
会う人ごとに笑顔を交わし、
道端の草花に目をやるだけでも心が晴れてくるだろう。
▼せわしなく走り、
上昇し続けてきた社会から、
ゆっくり歩く社会への転換である。
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コラムに
ブラック企業とは、違法な長時間労働や低賃金で従業員を働かせたり、
人権を踏みにじるような行為を続けているような企業を指す。
過労死自殺を招くなど、近年は社会的な批判にさらされる。
▼逆に、社員の幸せと働きがい、社会貢献を大切にする企業はホワイト企業と呼ばれる。
首都圏の駅前などで計130店以上を展開する立ち食いそばチェーン「富士そば」は、その部類に入るだろう。
▼この会社は少々変わっている。
アルバイトにもボーナスを出す。
勤務時間は現場の判断で、カバーする人との帳尻が合えば自由。
そばの作り方に一応のマニュアルはあるが、絶対ではない。
湯切りが確実なら回数は問わない。
▼定番メニュー以外に、立地場所の特徴に合わせた独自のメニューが店舗ごとにある。
店長などの判断で新商品が生まれる。
会社は新メニューの提案を推奨し、報奨金も出す。
離職率は業界としては低い。
▼従業員を大切に扱う。
給料が安ければ仕事にほころびが出る。
細部は現場に任せる。
経営陣は従業員のやる気をそぐ言葉を発しない。
それが活力を生む。
創業者の丹道夫氏の著書
『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』(集英社新書)には
人生経験に裏打ちされた経営哲学がにじむ。
▼開会中の通常国会はいよいよ後半戦。
働き方改革を巡る論戦の焦点の一つだが、
利益第一主義が生み落としたブラック企業を一掃できるかどうか。
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もう一つコラム
「人口減少時代に」
思想家、鶴見俊輔さんが日本の高齢化・人口減社会について、こんな予言をしていた。
「老人人口が増えていくことによって、
老人が単純労働に就いて、
それを生かせるような場所を工夫するようになるでしょう。
技術がそのように使われるようになる。
それが未来社会です」。
▼関川夏央さんとの対談集
『日本人は何を捨ててきたのか』(ちくま学芸文庫)での発言である。
1997年の対談を中心にした本だが、20年前の予言通り、日本はいま、かつて経験したことがないほどの人口減社会に直面している。
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東日本大震災から2年過ぎ、何かを考えるために手にとった本です。
体裁は、鶴見俊輔氏と関川夏央氏お二人による対談を起こしたものです。
評論家の鶴見俊輔氏は、外祖父はかの後藤新平、父は政治家鶴見祐輔という家に生まれながらも、
厳格・苛烈な母親に反発して、若い頃はかなり危ない行動をとっていたようです。
大衆文化への造詣も深く、漫画原作者としての経験もある関川氏との会話は
なかなかいいノリで進んで行きます。
たとえば、日本の村的なものに
自由主義・民主主義を感じるという鶴見氏のコメントは面白いですね~。
「これが真理だ、手の内にいま自分は真理を握っている」
という感覚を、わたしは疑う。
むしろ、日本の村にある感覚みたいなもの、
つまり、「あいつは変なやつだけれども、殺しはしない。八分にする」
という方法に可能性を感じますね。・・・
そっちの方が、魔女裁判のような感覚よりも優れて自由主義なんだ。
▼国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、
2045年の総人口は15年より2千万人減の1億642万人になる。
人口減が著しいのは秋田県(減少率41・2%)や
青森県(同37・0%)。
和歌山県は現在の約96万人から約69万人になり、約3割も減る。
出生数が減り続けているためで、高齢者が高齢者を支える時代の到来である。
▼そういう時代にどう対処し、どう生きるのか。
高齢者が生きがいを持って笑顔で働ける環境づくりは、
国をはじめ自治体も学界や産業界としても知恵の絞りどころである。
▼個人のレベルでいえば、学校に入り直してもよい、
ゆっくりまちを歩くだけでもよい。
会う人ごとに笑顔を交わし、
道端の草花に目をやるだけでも心が晴れてくるだろう。
▼せわしなく走り、
上昇し続けてきた社会から、
ゆっくり歩く社会への転換である。
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