とね日記

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多次元空間へのお誘い(6):4次元空間を利用した金庫破り

2015年06月20日 17時04分45秒 | 理科復活プロジェクト
2次元空間の金庫


前回の記事の終わりのほうで「その根拠はありますので、次回の記事でご説明いたします。」とお約束しました。今回はそれを説明させていただきます。

5次元空間や6次元空間はともかく、4次元空間では曲がりの自由度が3という条件で1次元物体(ひも)の絡みは生じないでしょうし、4つ目の方向(U軸方向)への移動によって3次元空間内でおきているひもの絡みは解ことができるはずなのです。

その根拠というのは「4次元空間を利用した金庫破り」の話が成り立っているということです。この話は4次元空間の説明でしばしば引用されますよね。ネットで検索するといくつも見つかると思います。

ご存知ない方のために、簡単にご説明いたしましょう。


4次元空間を利用した金庫破り

記事トップの写真は「2次元空間にある金庫」をあらわしたものです。赤いひもに囲まれたお金は、平面の中で生活している「2次元人」からは見えません。お金を取り出すためにはひもを切るしかありませんよね?

ところがこれを3次元空間の私たちから見ると、金庫の中のお金は丸見えです。透視でもなんでもありません。お金は3次元空間の上の方向に「露出」しているのですから。

ですから私たちは2次元人たちに気づかれないように、上から(Z軸方向から)お金をつまんで金庫の中から取り出すことができます。これが「3次元空間を利用した金庫破り」です。

同じ方法が3次元空間にある金庫でも可能です。3次元空間の金庫とはこのようなものです。



縦横、右左、上下のどの方向からも中のお金は見えません。もちろん扉を開けるか破壊するかしないとお金は取り出せません。

ところが4次元空間の上方向(U軸方向)からだと中のお金は丸見えです。X線やCTスキャナのように透視するわけではなく、もともとお金はU軸方向に露出しているのです。これは2次元の金庫のことを思い出せば理解できますよね?

つまり4次元空間のU軸方向から金庫破りが簡単にできるわけです。

4次元空間について復習したい方は第3回の記事をお読みください。この写真の説明が書かれています。




3次元空間の金庫のほうが3次元空間で絡まっているひもよりも、物体の移動の自由度という意味で制限が強いですよね。ですから金庫破りの例で4次元方向を利用した物体の移動ができるのならば、3次元空間でからんだひもを4次元方向を利用して移動させ、絡んでいない状態にすることが可能なわけです。

つまり4次元空間ではひもの曲がりの自由度は3で、そのときひもは絡んでいません。また4次元空間で面の曲がりの自由度は2です。そして4次元空間で面は絡むことになります。

前回の記事中に引用したウィキペディアの文面で「高次元では曲がりの自由度が3以上のときでも物体が絡む可能性があること」が述べられていましたが、4次元空間だと面の曲がりがりの自由度は3にはなれません。なぜなら面の自由度を3以上にするためには5次元以上の空間が必要だからです。


これが冒頭で「根拠だ」と申し上げたことなのです。


次回の記事では「モノはどのように曲がる?」と「多次元空間にあるモノは低次元空間からどう見える?」について説明します。


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