高知白バイ事件 新たな事故鑑定 その4
前記事に引き続き 月刊交通に掲載された事故鑑定を転載します。
(7) 争点の検証
①大きな争点である、「スクールバスは停止中であったか」について検証する。
写真5は、被告人車両を移動させた後の被告人車両のタイヤ痕を示している。
②本件は白バイの前部とバスの前部が衝突したものである。白バイは、バスのバンパー側面部に衝突し、バスのバンパー部を押し込み、バンパーを押し込んだことにより、白バイの左側面部がバンパー下部に潜り込んだ。従って,二次衝突が起こらず、バスの右側フェンダーやホイールは無傷となった。
③明らかにチョークではなく、路面がえぐれて印象されたガウジ痕と呼ばれる痕跡が印象されている
④白バイは、衝突し転倒した後、バスのバンパー下部に潜り込んでバスに引きずられたため、路面のさっか痕が右に曲げられたものが印象されたものである。
⑤この写真5には大変重要な衝突時の白バイの前輪タイヤ痕印象されている。
⑥写真3からわかるように、路面のスリップ痕は、バスのタイヤの立て溝に一致した4本の溝が見られること。バスのタイヤの下まで印象されていることから、刷毛やブラシ人為的に作られたものとは認められない。
⑦これまで述べたように、自動車と衝突した二輪車事故には、二輪車前輪のタイヤ痕が印象される。二輪車事故では、前輪が車体と衝突したとき、接触によって前輪タイヤの回転が止まり、慣性の法則によって変形が終了するまで、運動を継続するため、二輪車のタイヤ痕が路面に印象される。
⑧同様に本件スクールバスも変形が終了するまで、慣性の法則により運動を継続する。
⑨衝突し、変形が終了すると白バイとバスの前部バンパー部が衝突したことにより、バスは左方向に飛び出す。
⑩バスのスリップ痕は、白バイとの衝突後の飛び出し状況を制動痕であらわすことになる。衝突実験の写真2及び図3で示したように、二輪車と衝突した乗用車の飛び出し角度は、二輪車の飛び出し角度は二輪車のタイヤ痕が示すことを明らかにした。
⑪白バイ事故においても、白バイのタイヤ痕は図5に示されるように変形後のバスの飛び出し方向を示すものである。
⑫停止していたとするならば、二輪車のタイヤ痕は、曲がった痕跡にならない。白バイののタイヤ痕の傾きはバスの飛び出し方向を示すことになり、白バイがバスに潜り込んで、バスと一緒に飛び出して進行したことを意味している。
⑬このタイヤ痕の印象過程は、最近の研究によって明確にされたもので、スクールバスが移動中に白バイと衝突したことを示す証拠である。
おわりに
本事故は、新聞やテレビで大きく取り上げられたものであったが、人の手では作りえない痕跡が印象されており、スクールバスが移動していた事実を痕跡が明らかにしている。これまで述べたように衝突地点における二輪車のタイヤ痕が意味するところを理解して見分してほしいものである。
以上
写真5A
以上で全文掲載終了です。
鑑定士は白バイのタイヤ痕を前輪のものとして鑑定をおこなっている。そして、最近の研究結果を適用して、 白バイ前輪のものとした痕跡の形状からバスは移動中であるという結論を出している。
では、バスはどのように移動したのか?
⑧同様に本件スクールバスも変形が終了するまで、慣性の法則により運動を継続する。
⑨衝突し、変形が終了すると白バイとバスの前部バンパー部が衝突したことにより、バスは左方向に飛び出す。
と解説している。
上記の内容は衝突後 変形が終了するまでは慣性の法則に則り、バスは進行方向を変えないままに運動を続け、変形終了後左方向に進路を変更する。と言いたいのだろうか?
ところが、2つ前の記事に転載した文中(2)-④では「乗用車は二輪車と衝突後、変形し、変形終了後二輪車に押され、移動を開始する」とある。この移動とは針路変更を意味するのか?
破壊が終了してから移動するなら、破片は衝突地点(白バイタイヤ痕付近)に残るはずだが、本件事故では白バイタイヤ痕付近に破片は欠片も落ちていない。バスや白バイの破片は図4Aの⑤地点に集まっている。
飛び出し角度を説明する図3の衝突形態は図1と写真1の衝突形態と大きく違う。バイクと乗用車の衝突位置がまるで違う。図1・写真1は乗用車側面にバイクがぶつかっているが、図3では乗用車前部にバイクが衝突している。同一実験のデーターとは言えない。
鑑定士が自ら説明しているように「白バイはバスの右側面に衝突」したのなら、乗用車正面に衝突した、最近の研究と言われる図3を適用するのは間違っている
また、写真2はどの状態の衝突地点を撮影したのか不明だ。
写真1だとするなら、写真1真ん中のようにバイクは衝突の瞬間、正確には車のフェンダーをへこまし、バイクのホイールが歪んだ後に上方向に移動を開始するのであるから、前輪タイヤが連続した15cmのタイヤ痕をつけるとは考えにくい。
恐らく図3の衝突形態でのものではないか。バイクのタイヤ痕が乗用車の進行方向に引きずられているから、写真2は乗用車正面部分とバイク前輪の先端部分が衝突した図3の場合の衝突地点を撮影したものとだと思う。
本件白バイ事故と違う衝突形態を用いて事件した結果を適用して正確な鑑定が出来るはずが無い。
写真5Aをみると、白バイのさっか痕といわれるものはすべて、白バイのタイヤ痕とされるものの前方、つまり、バスと白バイが一体となって進行した方にある。
鑑定士の指摘通りに白バイ左側面がバンパー下に潜り込んだ状態でひきづられたなら、潜り込むと同時に白バイは転倒しており、後部バンパーやマフラーが接地してさっか痕が発生するが、その印象が始まる位置が白バイ前輪タイヤ痕の前になることはない。
前輪がバスの下に潜り込み引きずられる間、白バイの後部のバンパーなどはどこにあるのかを考えれば、前輪タイヤ痕の後ろに付くことは容易に判断できる。
今回の鑑定はあの痕跡を白バイの前輪のものとした前提が間違っているからどうしようもない。
ちなみに、高知県警科捜研の鑑定では白バイのタイヤ痕は後輪のものと結論を出している。県警はタイヤ痕は後輪のものという設定をした上で、さっか痕を作成したんだから当たりまえだろう。白バイタイヤ痕が前輪のものといってくれていたら裁判の結果が変わっていたかもしれない。
この事故の警察の主張していることの中で事実はった一つ 隊員が亡くなられたことだけだ。ブレーキ痕もさっか痕も白バイ速度も、目撃隊員の証言もまるで整合性がない。
この他 お傷気の点多々あると思います。
コメントよろしくです
連載のおわりに
本事故は、高知県以外では新聞やテレビで大きく取り上げられたものであったが、人の手でしか作りえない痕跡が印象されており、スクールバスが移動していた事実を痕跡に求めることは矛盾した結果になることは明らかだ。これまで述べたように衝突地点における捏造された二輪車のタイヤ痕を鑑定材料にしたり、衝突形態の違う実験結果を巧みに引用したとしても、結果ありきの鑑定は意味が無いところを理解して鑑定してほしいものである。恥をかくだけだではないかいな?
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