取り調べ小票は死んでも出さないつもり。高知白バイ事件。
2009.06.23 Tuesday
第二章 えん罪を生み出す人たち
「警察とグルになっている」
検察は捜査や公判の途中で「無実の匂い」を感じても、ひとたび起訴すれば、有罪認定に突っ走る。これが一番恐ろしい。
「取調小票(こひょう)」というものをご存知だろうか。警察での取調べの際、毎日この「取調小兵」に、被疑者の供述内容や健康状態、機嫌、食事まで細かく記す。「手控え」とも呼ばれる手書きメモだが、県警本部長の決済印欄もある公文書である。長時間、事情聴取したものを都合よく編集し、最終的な形にする供述調書とは違い、時間も無い中で作成されるので、そうした「取調小票」に書かれていることは真実に近いといえる。
志布志事件における鹿児島県警と鹿児島地検の幹部による公判対策の会議録が私の手元にある。この会議では、弁護士側から「取調小票を出せ」といわれる事を恐れ、対策が練られた。
席上、磯部一信警部は「出たら飛ぶ」と発言した。「飛ぶ」とは立件出来なくなるということだが、要は「本当のことがばれる」という事だろう。出席した検事は「取調小票は死んでも出さないつもり」と話した。警察と検察が一緒になって、事実を隠そうとしているとしか思えない。
鹿児島県警のあるOB検事は、「最初は磯辺ら県警に騙されたところもあるが、後は完全に警察とグルになっている。検察官として恥ずかしい」と真情を吐露する。