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備忘録

新たな事故鑑定 その3

2011-03-07 18:34:32 | 雑記録

新たな事故鑑定 その3

 
 前記事に引き続き月刊交通210011年1月号に掲載された高知白バイ事件の鑑定を転載していきます。
 
2 高知の白バイ事故
 
 ①テレビでもよく報道されていた、白バイとスクールバスの衝突事故について述べる。本件事故は、生徒を乗せたスクールバスが右折するために、道路から出て右折進行していた時、直進してきた白バイと衝突し、白バイの警察官が死亡した事故である。
 
 ②スクールバスの運転手は、停止していたと主張し、路面に印象されたスクールバスのブレーキ痕は、警察官がデッキブラシとコーラで書いたものであると主張したものである。
 
(1) 事故の概要
 
①事故は図4に示すように。被告人運転のスクールバス(生徒22名、引率教員3名乗車)が国道沿いの飲食店の駐車場から国道に出て右折する途中。右側からきた白バイと衝突した。
 
②白バイはバスの右前部に衝突した。スクールバスに乗っていた生徒と教員に怪我はなかったが、白バイの交通機動隊員は死亡した。
 
イメージ 1
 
(2) 警察の捜査
 
①警察は、現場の痕跡から、スクールバスが衝突したと認め、安全確認を怠ったととして、スクールバスの運転手を業務上過失致死罪容疑で逮捕した。
 
②当時の警察によるとする新聞の発表では、スクールバスの運転手は容疑を認めているとされていた。(2006年6月23日付け地元紙朝刊)
 
(3) 検察の対応
 
①検察は。警察の捜査を基に、業務上過失致死罪でスクールバスの運転手を起訴した。起訴事実では、安全確認を十分しないまま右折しようとして、右から来た白バイと衝突させたとした。この時期の新聞にも、起訴事実を認めているとされていた。(2006年12月14日付け地元紙朝刊)
 
②その後、裁判になって、被告人が起訴事実を否認したため、検察側は「被告人が右折進行に当たり、右からくる白バイを確認せず、優先通行権を妨害した過失は重大で、事故の落ち度を反省する姿勢もない」として、禁固1年8ヶ月を求刑した。
 
(4) 弁護側の主張
 
①2007年1月19日付け地元紙朝刊によると、初公判が18日に高知地裁で開かれ、被告人は、「十分に安全を確認して車道に出た」などと無罪を主張したと記載されている。
 
②弁護側は「現場付近はカーブになっており。確認した段階では、視線の範囲になかった」として過失を否定し、「白バイは少し注意すれば、停車中であったスクールバスを発見し、事故を回避できた。事故は、白バイの前方不注視とスピードの出しすぎによるもので、スクールバスの運転手には過失はない』と反論した。
 
③さらに弁護側は写真3が示すように、「スクールバスが印象させたというスリップ痕(長さ1~1.2m)は県警が捏造したものである。事故は、白バイのスピードの出し過ぎによるものであると主張した。
イメージ 4
 
(5) 争点
 
 裁判での争点は、
 ① スクールバスは停車中であったか
 ② 白バイの速度はどの程度であったか
であった。
 
(6) 判決
 
 ①地裁では、被告人側の無罪主張を退け、禁固1年4ヶ月の有罪判決を言渡した。裁判官は「事故直後、被告人がバスに乗った状態で、撮られた現場写真(写真4)もスリップ痕がついており、、被告の運転によってついた。スクールバスの速度は時速5~10kmであった」と認定した。
 
イメージ 2
 
                                              以上
 
 さて、山崎氏の鑑定資料が出てまいりました。
 
 〇 図4の現場見取り図は、距離の数値もなくて、さらに正確性を欠いていますので、土佐署作成の実況見分図を転載します。
図4A
イメージ 6
 
 
 ④地点 警察主張の衝突地点 道路端より6.5m
 ⑤地点 衝突後バスが白バイを3m引きずった後に停止した位置 
 
 図4の見取り図は別の事故の見取り図といっていいほど不正確であるのはわかっていただけると思う。緻密な鑑定にこのような資料を用いて大丈夫なのか。
 
 鑑定人の図4における衝突地点は図4Aの⑤地点にちかい。この⑤地点は片岡さんが主張しているバスが停止していた位置であり、白バイとの衝突地点だ。
 
 また、図4の右折車線の幅の狭さはどいうことだ?反対車線の右折写真はきちんと書かれているが、比較すれば不自然さは明らか。まだまだ指摘したいことはあるがそれは後述する。
 
〇 同様に 写真3と写真4も解像度の高いカラー写真がありますので、それを掲載します。
写真3A
イメージ 3
 
 バス前輪のブレーキ痕跡とされるもののどこに「よく見るとタイヤのたて溝が印象されている」のだろうか?
 写真3Aを見れば明らかにタイヤの立て溝はない。それでもあると言うなら、鑑定人の手元にある写真にはさらなる『改竄』によって「たて溝」が作成されているとしか思えない。
 
 写真4A
イメージ 5
(6)の①に『被告人がバスに乗った状態で撮影された』という写真4のカラー写真である。どこに片岡さんがいるのだろう。バスの外に移っている方は完全な第3者であることは支援する会が確認しています。
 
この写真の説明も故意なのか錯誤なのかはわからないが正確性を欠いている。
 
この写真は図4Aの⑤地点(片岡さん主張の衝突地点)を撮影したものである。警察はこの地点を衝突後バスが最終的に停止した位置としている。
 
(6)によると争点は①バスが動いていたか否か ②白バイの速度の2つであったのは間違いない。しかし 再審請求で弁護団はそれに加えて③衝突地点も大きな争点とするようだ。仮に図4Aの④地点でバス停止中に白バイがぶつかったとなっても、片岡さんの一定の過失が認められるだろう。
 
 事故の事実は「図4Aの⑤地点で、バス停車中に事故が発生した」 
 これ以外にはない。真実は一つだ。
 
 警察は衝突地点が④地点でなくては都合が悪いし、なにより片岡さんに事故の責任を転嫁できないから、ブレーキ痕やさっか痕を捏造し、そして 目撃隊員に偽証をさせたと私個人は考えている。
 
 次回はいよいよ本題である(7)争点の検証を転載させていただく。その後 各項目についての意見をさらに述べていく予定です。
 
 
 
 

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