鑑定と検証 その10 激動の9月10月
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高知白バイ事再審請求、激動の9月、10月でした。
動きのきっかけは9月2日に、東京調布市の富士フィルム関連会社で行われた高知地裁のネガ検証なのですが、実際には7月4日の高知地検ネガ開示から始まっています。
さらに遡れば、今年3月末の高知地検がネガの開示決定をしてからが、大変だった。
ネガと鑑定その10
2007年 2月の高知地裁公判で今回のネガから焼き付けられたとされる136枚の写真が掲載された捜査報告書が提出された。作成日は2007年2月5日。前年の12月に起訴された時点ではなかった報告書だ。
高知県警は この白バイと片岡さん運転のスクールバスの衝突事故を重大事件と認識し、当時の小松民生交通部長(現自賠責高知事務所役員)が事故現場で指揮を執り、40人の警官を動員して事故の捜査にあたっている。
その重大事故の写真報告書が裁判が始まってから作成され、それが法廷に提出された。普通ならそんな後出しの証拠なんて不同意とされるべきだったかもしれないが、とにかく法廷に証拠として上ってきた。
以来4年と半年間にあらゆる場面でネガの開示を求めてきた。高知県警証拠隠滅容疑の告訴も国賠訴訟もすべてはこのためのことだった。
もう出ないだろうと考えていたネガを開示すると言ってきたときは、驚きが強かった。
村木郵政冤罪事件で大阪地検特捜部の証拠改ざんが大きく影響したのだろうか? とにかくは地検の「出さざるを得ない」という判断だろう。この判断は当然のもので、証拠写真はネガが存在することでその証拠としての価値を担保されている。写真はいわば原本のコピーであり、ネガフィルムは原本となるのだから、原本を見せないことは極めて不自然だろう。
その不自然さが刑事裁判でも国賠訴訟でもまかり取ってきたのだが、それが開示されるされることになった。言い換えればは開示する準備が整ったということだ。
普通なら開示するにあたって準備なんてものは必要ない。愛媛白バイ事件においてはネガの開示にあたって、ネガを切り刻み、警察に不利な撮影部分を排除したが、高知白バイ事件ではその手は使えない。何故なら、片岡有罪証拠として「すべての写真を掲載した」報告書が採用されているからだ。
出来れば「不見当」としたいところだろうが、それも前述の理由からできない。隠された証拠物ではなく、有罪の根拠となった証拠の「原本」が不見当とはさすがの高知県警でもいえないだろう。
どうしてもネガの開示が避けられないとなれば、残された手は「でっち上げ」しかないだろう。本物のネガはあるだろうが、そのネガを切り貼りしてねつ造フィルムは作れない。その本物のネガにはスリップ痕やバスの中の片岡さんが写っていないコマがあるからだ。
高知県警は、PCで加工したした写真をプリンターからプリントアウトしている可能性は高い。これは現役の科警研顧問の画像解析の大学教授が地裁に提出した鑑定書にも明記されている。
ネガからプリントした写真ではなく、PCで加工し、その後プリントアウトした写真を提出したからには、証拠採用された同一写真と色調やコントラストが違う写真のネガを出せないはずだ。
残された手は写真報告書に添付した写真を再度プリントアウトして、フィルムカメラで接写で再撮影してネガを作るしかないだろう。馬鹿げた話だ。
こんなバカげた方法を使ってくるには、捏造を否定し捜査の正当性を保つそれなりの方策を立てたからだろう。あるいは、ネガは捏造されたものという決定的な痕跡さえ出てこなければいいと考えたのかもしれない。
7月4日 片岡さん達は高知地裁でネガフィルムの接写をおこなった。その結果、入手した画像の解像度は400万画素程度で、これまで入手していた画像とたいした差はなかったから、これまでの解析結果を確定し、立証することは困難だった。
したがって、私たちは高知地裁が行うネガの検証に期待をするしかなかった。大学教授や専門家にアドヴァイスをもとめ、弁護士を通して高知地裁にプリントサイズや手焼きでプリントする等のいくつもの検証方法を申し入れた。
しかし、高知地裁が決定したネガの検証方法は次の2点だけだった。①ネガからL版サイズでプリント ②300万画素程度の画像のデジタル保存。これではネガ検証の意味がなかった。ネガの検証先は裁判所が指定した企業であり、こちらの要求した検証方法は採用されないという状況で、片岡無罪の、そして高知県警証拠捏造の再重要証拠の検証が始まった。
ネガの検証方法が決まってから2週間で、私たちが立てた対策はただ一つだけだった。絶対に高解像度のデジタルデーターを入手すること。これに賭けることしかなかった。これさえ手に入れば何とかなると考えていた。
実をいうとこの時点で 先日のフライデーに記事が載った三宅教授に鑑定を依頼することは決まっていた。三宅教授はネガの現物の提供が無理なら高解像度のデジタルデーターがあれば解析は可能と私たちに伝えていた。
9月2日 東京調布市の富士フィルム関連会社で検証が始まった。立ち会ったのは裁判官一名。片岡さん側3名。それと企業の作業を担当する技術者。この時に片岡さんは高解像度画像の必要性を強く訴えた。
「ネガの検証というからには可能な限りでの解像度が必要ではないか。それが300万画素程度では意味がない。300万画素では地裁でのネガ接写以下の条件となる。」
至って正論と思が、私が聞いた話では、すぐには裁判官は首を縦に振らなかったらしい。それが今回の結果に至ったのは、技術者として片岡さんの意見に同意してくれた社員のおかげだそうだ。そして、もし、この場に検察官が立ち会っていたらどうなっていたのかと考えると・・・・。とにかくは1200万画素の画像データーが入手でき、三毛教授に手渡すことができた。
300万画素の不鮮明なデーターから得られるものなど何とでもなると考えていた高知県警にとって、この高解像度画像が片岡さん側に渡ったのが最大の誤算だろう。このデーターがなければ三宅教授と言えども責任ある解析はできなかった。
ネガの検証が行われた後、片岡さんは三宅教授と有楽町のホテルで面会し、作成したばかりのDVDロムを手渡して正式に鑑定を依頼した。
これを機に白バイ事件再審は動きを見せる。
続く
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