![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/12/fadae0487a799f975cf94c623962aa8f.jpg)
東京都港区の愛宕(あたご)山は標高およそ26mだ。
周囲を高い建物に囲まれているので山という印象はないものの、23区内では最も高い山である。
現在の様なビル郡が無かった江戸時代には、房総や筑波まで見渡せる眺めのいい名所だった。
山頂には徳川家康が建立した愛宕神社があるが、本尊は家康が以前から大切にしてきた地蔵尊だ。
この地蔵尊は防火の守り神なので、火除けの神様として信仰されてきた。
さらに、本尊に祈った事で家康が天下を取れたという話が広まり、開運や勝利運にもご利益があるとして信仰を集めたのである。
愛宕山を訪れる人々は、基本的には「男坂」と呼ばれる急勾配の階段を登るか、比較的緩やかな「女坂」を登る事になる。
また現在は境内の裏にはエレベーターも設置されている。
男坂は別名を「出世の石段」というが、この名には思わず冷や汗が流れる様なスリリングな話があるのだ。
徳川三代将軍家光の命を受けた曲垣(まがき)平九郎という人物が、男坂を馬で駆け上がって神社の梅の木を折り、再び馬で駆け下りて将軍に献上した。
平九郎は馬術の達人として讃えられたという。
じつはこの男坂が、非常に険しい急坂なのだ。
約45度の傾斜で、階段も一段が20cm以上とかなりの高さがある。
登りも苦労するが、下りは足がすくむ様な恐怖を覚える。
そこを馬で登り下りするなど、命がけの荒業だったと言えるだろう。
もっとも、平九郎の武勇伝が実話かどうかは定かではない。
ところが、これにチャレンジして成功した人が何人かいるそうだ。
彼らの勇気に感動し、ご本尊が守ってくれたのかも知れない。