梅様の教室

独り言

旅行記⑰

2014-01-29 14:31:55 | Weblog

  
最後は仙巌庭園。入場料1,000円也。旧島津家の別邸です。しかしどんなに整えられていても、審美眼のない私の眼にはただの庭。これにて2泊3日の、少しも暖かくなかった「あったか南九州」ツアーは終了です。

   鹿児島空港に戻り、一路羽田へ・・・・。という段取りだったのですが、帰国の便は運良く窓側の席に。日本列島の夜景が楽しめるかも・・・と着席すると間もなく、あの夫婦がやって来ました。私の列のところで止まると、並んで座ろうという体勢。どうやら並び席になったようです。ただでさえ幅を取る夫婦。このままでは窓側の壁に押し付けられて息が詰まってしまう・・・。

   「すみません、私は通路側の方がいいんですが、よろしければ席を代わっていただきませんか?」

   当然の快諾。御主人は優しく、「K子行きなさい。」と奥さんに窓側の席を譲ってあげます。食事の時といい、この御主人は万字が万事奥さまファースト。無理をしているようにも見えませんが、そんなに奥さんを甘やかして良いのでしょうかと思ってしまう私でした。

   真ん中の席に座った御主人、横幅があるので、当然太い腕が横にはみ出して、私の領域を大きく侵して来ます。とっさに通路側をゲットした私の判断がなければ、本当に厳しい空の旅となったに違いありません。少なくとも左側が通路である以上、左に逃げることができます。おそらく100回近く乗っているはずの飛行機の旅ですが、今回ほどとっさの判断力が試されたことはありませんでした。

   やがて飲み物のサービス開始。私は無料のコーヒーをお願いしましたが、隣席の御主人は有料のハイボールを注文。ちびちびと飲み始めると、奥さんも飲みたがり、御主人は優しくコップに注いであげたのですが・・・。しばらくすると突然「すみません。」と御主人の声。アルコールが入ったのでトイレに行くのかと思ったらさにあらず、二人揃って空席へ移動し始めました。

   最初からそうしてくれれば良かったのに・・・と思いつつ見ていると、二人は空席に並んで座らず、相前後して別の列に陣取っています。なぜだ?二人並んで座るのがそんなに苦痛なのか?と更に観察を極めると、どうやら奥さんの方が体調を崩したらしく、ぐったりと座り込んでいます。優しい御主人は奥さんのためにCAを呼んで何やら話をしています。奥さん、顔が真っ赤で、どうやら軽度の中毒症状を起こしている様子。機内で販売しているハイボールの濃さなどたかが知れています。まして御主人が大半を飲んでしまったはず。たかが知れた量で中毒症状を起こすなんて、どこまでアルコール耐性がない人なのか。いや、それ以前にその年になるまで自分が極端にアルコールに弱いということをどうして認識していなかったのか。

   奥さん、CAが持って来てくれた濡れタオルを首に当て、いかにも苦しそうな様子。そんな奥さんを心配そうに見守り、せっせと脂汗を拭いてやっている御主人。CAも何度もやって来て優しい言葉をかけては面倒を見てくれています。 「あと・・・分で着陸ですから頑張ってください。」などと声をかけているのが聞こえて来ます。

   この二人は私がこれまでの人生で出会った、最もラブラブで幸せそうな夫婦でした。世の中にはこれほどまでに人からの親切を受けるために存在している人がいるのだと思うと、とても不思議な気持ちになりました。

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