還暦

とうとう還暦まであと一週間を切ってしまいました。毎日鏡を見ていると別に年をとったという気はしないのですが、写真を見比べると歴然。パスポートは５年に一度更新なので、はっきりとした違いが見られます。
　私の正規勤務もあと３カ月で終了します。振り返ってみると、最後にＫＴＳに来たことを後悔はしていないものの、大きな誤算でしたねえ・・。商業科では責任のない英語という科目を細々と教えて、研究室に引っ込みながら皆さんとはあまり交わりもせず、そんな人いたっけ？と言われるような教師になるつもりでいたのに、逆に存在感が増してしまったような気さえします。
　最近は新しい教え子から年賀状が来ません。１０年くらい前からそうした傾向が強まっています。一つには個人情報保護とやらで名簿を発行しなくなった影響が大きいと思われますが、一方で先生と生徒の関係が希薄になってきていることも確かなのだと思います。テレビドラマでたたえられるような熱血先生は現場ではけしてたたえらる事はありません。現実にはモンスターペアレントと呼ばれる保護者がいつなんどき台頭してくるかわからない今、教師もとても神経質に慎重にならざるを得ません。したがって、私たちの側からも生徒との関係を濃いものにしないような努力が求められている面も否定できません。何しろ生徒との間で問題が生じたときに備える保険すら誕生しており、実際これに加入している教師も少なからずいるのが現状なのですから。
　教師が生徒をしかり飛ばすことすらはばかられる今の学校において、これからの教師はどう切り抜けていくのか心配です。もしかしたら私はいいところで現場を去ることになるのかもしれません。安全係数を見込んで型にはまった教育をしないでもやっていけた時代はもう終わってしまったようですから。