一期一会・

宇宙と仏法のあり方についての洞察。人間の成仏。

メチタの海、第3章の始まり(二)チョコレート、チュウインガム

2014-09-19 | web

 

 一郎の父は、終戦とともに需要が無くなたレンガ工場を閉鎖して、雇っていた女工さん達全員を解雇した。父は、収入見込みが途絶えたので以前からレンガを納入していた味の素の鶴見工場に運搬員として就職した。工場内では色々な荷を馬車馬で運んでいた。そんな時代である。

 アメリカ軍の兵隊は、連日列車で各地から運ばれてきた。列車が来ると、沿線の子供達は競って線路際の草むらの上に並んで列車のアメリカ兵を見上げていた。アメリカ兵は、大きな声で「ヘーイ!ボーイ!」と薄汚れて栄養失調寸前の敗戦の犠牲となった子たちに向かって、まるで野良犬に餌でも投げ与えるように競ってチョコレート!チュウインガム!など言って投げてきた。

 子たち

はゆっくりと走っていく列車の後をチョコレート!チュウインガム!と叫びながら追った。沿線の草むらや砂利石に投げられたチョコレートやチュウインガムを仲間の友達の間で奪い合うように拾って走った。転んで沿線の茂みの沿ってある池に嵌って泣く子もいた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿