独断と偏見で、今年の十大ニュースを次のように選んだ。
■プロ野球十大ニュース
1位 中村剛也、驚異のホームラン量産
2位 統一球で投高打低現象
3位 ソフトバンク、他を圧倒する完全優勝
4位 熱戦続きの日本シリーズ
5位 内川聖一のセ・パ両リーグ首位打者
6位 田中将大の沢村賞
7位 中継ぎ投手(中日・浅尾拓也)が史上初のMVP
8位 ロッテ、日本一から最下位へ
9位 澤村拓一、江夏豊以来の新人200イニング越え
10位 交流戦でパが圧勝(78勝57敗)
統一球の導入によってかつてない投高打低現象がプロ野球を覆った。両リーグ投手の防御率1点台が6人に対し(昨年はダルビッシュ有1人)、打者の3割台が9人(昨年は27人)と急接近したのだ。そういう中で中村剛(西武)はパの総本塁打数454本に対し、その10.6パーセントに当たる48本を記録、話題を独り占めした感がある。
セ対パという図式で見ると、日本シリーズでソフトバンクが中日を下し、これで過去10年の勝敗はパ・リーグの7勝3敗になった。それ以前の10年(92~01年)がセ・リーグの7勝3敗だから立場は完全に逆転したと言えるが、過去40年というスパンで見ればパの21勝19敗と拮抗。この流れが繰り返されれば。今後10年で勢力図が塗り替えられる可能性がある。
◇グラウンド外のプロ野球十大ニュース
1位 清武英利元GMがナベツネに造反
2位 落合博満監督、リーグ優勝しても退任
3位 東日本大震災で開幕戦が遅れる
4位 嶋基宏の本拠地開幕戦での感動的スピーチ
5位 菅野智之(東海大)、日本ハムの1位指名を拒否
6位 ダルビッシュ有など有力選手のメジャー挑戦が相次ぐ
7位 横浜の親会社にDeNA
8位 名将・西本幸雄氏、死去
9位 巨人がオフに大補強
10位 ソフトバンクから43勝が流出
“清武の乱”が圧倒的に話題をさらった。渡辺会長の求心力低下や、巨人のブランド力の低下が取り沙汰されたが、個人的にはフロントの役割、権限を再考する機会を与えられたと思っている。東日本大震災による開幕の遅れでは、巨人が悪役になった。「球界の利益確保」という大義名分で開幕の強行を訴えたわけだが、球界の盟主としての役割など他球団はまったく期待していなかったということだろう。
■アマチュア野球界の十大ニュース
1位 日大三、黄金時代到来か
2位 都市対抗が大阪で11月に開催
3位 被災地の光星学院が選手権準V、明治神宮大会V
4位 東洋大が大学選手権2連覇
5位 都市対抗で史上初の東京決戦(JR東日本が初優勝)
6位 東浜巨が3年生でリーグ記録の17完封
7位 明大が15年ぶりに明治神宮大会を制覇
8位 静かだった選抜大会(鳴りもの禁止のスタンド)
9位 東海大相模が選抜優勝
10位 全国にダルビッシュ2世が出現
番外 スポニチ大会決勝直前に東日本大震災が発生
1位に日大三を持ってきたのは、10年に選抜準優勝、明治神宮大会優勝を飾り、11年が選抜4強に続き、選手権で優勝を飾り、完全に黄金時代を迎えているからだ。東日本大震災に話題を転ずれば、アマチュア野球界にも深刻なダメージを与えた。例年、11月に大阪で行われる社会人の全国大会は日本選手権だが、今年はその開催を中止し、代わりに都市対抗を東京から大阪に移した。高校野球では被災地、青森県八戸市にある光星学院が夏の選手権で準優勝、さらに秋の明治神宮大会では優勝を飾り、神宮大会枠1つを東北にもたらした。21世紀枠で石巻工が選出されれば、2012年の選抜大会は史上初の“東北から4校選出”が実現する。