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『危険なメソッド』(PG12) 史実の陰にあったスキャンダルな物語

2012年11月09日 | ビックリ!だった映画

原題:A DANGEROUS METHOD(PG12)
2011年・イギリス/ドイツ/カナダ/スイス(99分)
               
製作:ジェレミー・トーマス
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
原作戯曲&脚本:クリストファー・ハンプトン  
音楽:ハワード・ショア
出演:マイケル・ファスベンダー、ヴィゴ・モーテンセン、キーラ・ナイトレイ、
   ヴァンサン・カッセル ほか


鑑賞日:2012年11月6日 (渋谷)

『最強のふたり』、『アルゴ』、『のぼうの城』・・・
「なんだか、最近[実話]や[史実をもとにした・・・]という作品の鑑賞が続いているなぁ。」
と、
思いつつも、
“この映画は、史実に基づく物語である”という、
フロイトとユングの蜜月から決別までを描いた『危険なメソッド』に、
やっぱり足を運んでしまった。

<ストーリー>
1904年、若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は
高名な精神分析医フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する画期的な治療法を、
新しく受け持った患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に実践する。
そしてユングは彼女が抱えるトラウマの原因を突き止めるが、
二人は医師と患者の一線を越え禁断の関係に。
やがてザビーナの存在は、ユングとフロイトとの関係に確執をもたらしていき……。


女性の性に対する開放度が、現在とは格段に違い閉塞的であり、
インモラルな事柄に厳しい時代。

ユングが受け持ったザビーナは、そういった時代の女性であり、
彼女の症状が、抑圧の結果であることが、やがて明らかとなっていく。

ユングは、患者との性関係という越えてはならない一線を越えてしまったが、
結果的にザビーネを病状から救い、
のみならず女医として独り立ちしていく(皮肉な意味で)一助となる。
(驚きだったのは、患者を演じたキーラ・ナイトレイの演技。
 ユングのカルテに、その症状が詳しく書き残されていたらしく、
 忠実に演じていたようだ。
 それでも、監督によれば、実際はもっと激しい症状だったところを、
 キーラには抑えて演じさせたのだそうだ。)

スキャンダルな話ではあるが、
ソフスティケイテッドなドラマに仕上がっているのは、
もともと舞台作品だからだろうか?

両巨頭の出会いと決別、
そこに介在したひとりの女性、
自らの懊悩は解きほぐすことのできない精神科医というこの物語は興味深い。

ヴィゴ・モーテンセンの常連度:★★★★★★★★★
キーラ・ナイトレイの女優魂度:★★★★★★★★★★★★★★★★
M・ファスベンダーの作り込み度:★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
D・クローネンバーグ監督の鬼才度:★★★★★★★★★★★★
人間の精神の不可思議度:★★★★★★★★★★★★

鑑賞後の総合評価:★★★★      

それにしても、
『プロメテウス』ではアンドロイドのデヴィッドを演じたマイケル・ファスベンダーが、
本作ではユング役を演じているというギャップに驚愕。
演技派3人のアンサンブルが活きた作品だとも言えるのかも。  
                                   

自我と無意識 (レグルス文庫)
ユングが経験から得た所見を、
できるだけ平易に、なんの予備知識も持たない読者に解き明かそうと努めたもの。
ペルソナ、アニマ、アニムス、自己といったユング心理学の基礎概念について、
これほど丹念な説明を加えた自著は他にほとんどない。
第三文明社(1995/03)

 

心理学対決!フロイトvsユング (史上最強カラー図解)
精神分析をはじめ、精神医学の基礎を築いたフロイトと、深層心理の研究を行ったユング。
師弟として出会い、一時は親交を深めたものの、最終的には決別した2人の生い立ちから、
主な理論、その後の研究まで、ビジュアルでわかりやすく解説。 山中 康裕
ナツメ社 (2010/3/24)


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