寿司は、家で握るのがいい。
鮮度の良い刺身を使い、美味しいお米で寿司米を炊き、まだ、ほんのりとぬくもりが残るすし飯で握る作り立ての寿司、寿司は家で握るのが一番だ。
寿司を握る時には、まず、白米にこだわってみる、と言っても日本からアメリカに輸入されている日本産米は高くて手が出ないので、カルフォルニアで作られているコシヒカリで良しとする。
すし酢は、美登里寿司店のものか、おたふくの昆布だし入りすし酢を使う。昆布を入れて炊くご飯には劣るかもしれないが、これらの昆布だし入りは、便利で良い。味に丸みがあり、ふくよかな美味しい酢飯に仕上がる。
お醤油は、できれば丸大豆しょうゆにする。うちでは寿司刺身用のしょうゆは使わない。混ざりもののない純正醤油で寿司は頂く事にしている。
握る寿司のネタは、NJにある大手日系スーパーのお魚売り場で売られている刺身を使う。
このスーパーの魚売り場の食材は味が良い。舌はうそをつかないと言うが、一度このお店のお魚コーナーで刺身を購入したら、他では買えない、と言うのは私の考えだけど。以前、NY州のクイーンズから、お魚を買うためにわざわざバスに乗ってこの店に2時間かけてお買い物に来ると言う、おばあさんにあったことがあるが(日本人ではない)ここのがうまいんだと、しきりに話してくれた。
我が家も全く同じだ。この店の存在に大変感謝している。
鮭は、キングサーモン。鮪は、ブルーフィン。それに、あればヒラメを買うくらいで、うちの握りのネタはこの3品。それに加えて余裕があれば、レタスとツナマヨで巻きずしを巻く。
握った形? 見栄えにはあまりこだわらない。味で勝負の家握りなのである。
今晩は、特別な日でもないのに、握りずし。
キングサーモンは脂がよくのって、とろけるし、本マグロは雑味のない濃厚な魚そのものの味がする。
家で寿司を握るたびにうちのが言う。
「マンハッタンの高級レストランに行って食べても、これだけの味の寿司はなかなか食べられない。」
「これだけの寿司を外で食べたら200ドルは取られる。」
それくらい良いものだから、ありがたく頂けと言う事だ。
寿司をする時は、茶わん蒸しをつける。日本の妹が「白出しで簡単にできるよ」と教えてくれた作り方が、目からうろこで、驚くほど簡単においしい茶わん蒸しができてしまう。以来、寿司に限らず、事あるごとに作っている。
卵1個に水100㏄の割合で、うちは4個の卵に400㏄の水を用意し、6人分を作る。その水に白出しをくわえて、わりとはっきり目に味をつけ、塩も少し加えて、(目分量で大丈夫)その味のついた水と、溶いた卵を混ぜるだけでおしまい。
具を入れた器に、この卵の液を注ぎ、湯気の立った蒸し器で強火で3分、弱い中火にして約12分。
これでOK、一度も失敗したことがない。
マンハッタンで食べる寿司は、どうかすると日本のそこら辺の寿司より旨いよ、と言う人がいる。
マンハッタンの口の肥えた美食家を満足させるだけの寿司を、レストランは出しているはずなので、そう言っても間違いではないだろう。
寿司はすし飯で決まる、と言うのもうなずける。米がおいしくなくて残念な寿司を食べた時は、損した気分になる。鮪の味がしなくてただご飯の上に冷たい物がのっかっている風な寿司を食べた時には、お金を返してと言いたくなる。高い値段に合うだけの旨い寿司に出会う事が、過去になかったので、以来、外で寿司はすすんで食べない。
アメリカの残念な所は、衛生管理が行き届いていて、保健所と言うところが寿司の販売にも基準を設けていて、寿司は生ものと言う扱いだから、冷蔵庫で‼‼販売しないといけないことになっているとの事だ。日本ではありえない事だけど、アメリカのスーパーで売られている寿司は、そんなことで、たいそう冷たい。
ただ、さすがに日本人の寿司シェフなる方々が握ったレストランの寿司は、論外。
その味もさることながら、刺身の切り方、握り方、寿司飯のほぐれ具合、並んだ寿司の美しさまで、まるで芸術品。上記の日系スーパーのマグロ解体実演の時に応援で来ておられた、マンハッタンの一流寿司シェフと言われる方の作ったすしおりに並べられた握り寿司の何と美しかった事か。
プロの技に感嘆したものだった。
日本の職人技、こんなところでも私達を感動させてくれる。
人を感動させることができるって、ホント、素晴らしい事だ。