チャニョル。

2015-04-30 | ordinary world

スホヒョンが俺の部屋を訪ねてきた。

話がある、って。

「ほんとはぼくの部屋に呼べばいいのだけど、ごめんね、床が洋服ダンスだから」

 

…根に持ってる。

ラジオで、ヒョンの部屋が汚いって言ったこと、このひと、根に持ってるんだ。

 

平静を装って椅子をすすめる。

 

椅子に優雅に座って、そしてゆっくり俺を手招きする。

 

…怒られるのかな。

2回も、ラジオで部屋が汚いこと暴露しちゃったから。

 

それとも、

 

インスタ連続投稿のこと、怒られちゃうのかな…。

 

恐る恐る近づく。

 

俺の手を取り、優しく引っ張る。

しゃがめ、って言ってるようなので、恐る恐る、ヒョンの前に跪く。

 

ヒョンの手が、俺のほっぺたを包み込んで、それから頭を抱えて抱きしめられる。

 

 

「泣いても、いいよ。」

 

耳元で、天使が囁く。

 

 

「もう、泣いて、いいんだ。」

 

 

「ぼくは、もう、昨日、泣いたから。今度は、お前の番だ。」

 

 

ゆっくりと、俺の耳に入ってくる言葉は、俺の体中をめぐり、

 

やがて、どこにあるのかわからない、『心』に辿り着く。

 

 

「ありがとう、チャニョル。みんな、お前のことが、大好き。だから」

 

 

ヒョンの『心』の音がする。

 

 

「だから、泣いてもいいよ、チャニョル。」

 

 

この音を守るためなら。

 

ヒョンたちの。

弟たちの。

 

この尊い存在を守るためなら、俺は泣かない、って決めてたのに。

 

 

 

背中をさすってくれるヒョンの手は、あの時と変わらず、温かだった。

 

 



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