森をゆきあをきヴィオラのつるをゆりしづかにめぐるカノンの響き

森をゆきあをきヴィオラのつるをゆりしづかにめぐるカノンの響き　　　　揺之

ほろほろと吐くうたくづのまひおちてつれなき人の背中に散りぬ

ほろほろと吐くうたくづのまひおちてつれなき人の背中に散りぬ　　　　揺之

何知らぬをさなきころのあやまちをはぢて苦しむわが心かな

何知らぬをさなきころのあやまちをはぢて苦しむわが心かな　　　　揺之

声もなくかたぶく月をうらみては去りゆく君の袖をつかみき

声もなくかたぶく月をうらみては去りゆく君の袖をつかみき　　　　揺之

あやまちをなして落ちつるおのが身の暗きを知りてゆふやけを見る

あやまちをなして落ちつるおのが身の暗きを知りてゆふやけを見る　　　　揺之

くさはらに憂き身を投げてあふぎ見る空の青さにとけゆく心

くさはらに憂き身を投げてあふぎ見る空の青さにとけゆく心　　　　揺之

野いちごのちひさくあかきたまをつみ光に照らす君の明るさ

野いちごのちひさくあかきたまをつみ光に照らす君の明るさ　　　　揺之

かひもなきこひのうらみをなげきつつ野に芹を摘む人のせつなさ

かひもなきこひのうらみをなげきつつ野に芹を摘む人のせつなさ　　　　揺之

風すさぶ荒野の闇をさまよひてみづからにこふそのひとつ星

風すさぶ荒野の闇をさまよひてみづからにこふそのひとつ星　　　　揺之

とらへてしてふをはなちてかたこひのうらみになやむわれをすくはむ

とらへてしてふをはなちてかたこひのうらみになやむわれをすくはむ　　　　揺之