降りやまぬ時雨の野にはてんてんとちひさき花の灯りてうたふ 揺之
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人の身のちぎりを胸にたくはへてけふゆく道の風の涼しさ
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あらかねの土の深みに夢を植ゑ生ひくるものはおのれのあかし
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いかづちのごとき怒りをこらへては月夜の風におのれををさむ
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楠の木のこぬれにかかる月を見て思ひ出づるはとほきふるさと
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苦しくも身のあやまちをねずのごと胸に飼ひつつこの世を生きむ
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幽霊のごとくとひくるものありてうれひの歌を風に混ぜたり
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浜をゆき胸のうれひをかみしめてこひしき人の幻をおふ
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悲しみのただよふ風にひたりゐてもとむるものは明日の光
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花を折り君の心を苦しめて過ぎて帰らぬわれをぞ恥づる
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野の道を花をめでつつそぞろゆけば彼方に君の袖ふるを見る
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