さゆり花ゆりをちかひし人は去りひとり野に伏し見る昼の月 揺之
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秋時雨降る野の道をひとりゆき寂しさに凝るゆふべの心
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光さす小部屋の窓にひじをつき君思ふ時の甘きため息
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日は暮れてこひしき人にあひたきと月をたよりに野に打ち出でぬ
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ゆふづきのかたぶく空をとほく見て思ひ出にゑふたまゆらの恋
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ゆくすゑをちぎりし人の去りゆきてせむる心の後の寂しさ
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夕映えの空に心を放り投げ落ち来るものは悲しみばかり
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こひごころ君の残せし花の香を抱きてむせびしその夜更けかな
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いつはりをいひてもだしし君の目にあはきくもりのあるを悲しむ
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山の端に月はかたぶきぬばたまの闇夜のきぬのきざし来たりぬ
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しらたまの君の心をおひかねて幻の野にひなげしを摘む
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