米国には移民のためのESL、つまりEnglish as a second languageのクラスが無料で開講されているらしい。米国に劣らず移民の多いカナダでも、例えば僕が住んでいる所ならばToronto市のESLをただ同然の授業料で受けることができる。移民でないとちょっとした制限があるのだが、なぜか僕のように就労許可証を持っている外国人にも開放されているので、貧乏人の僕もありがたく利用させてもらっているが、日本人に会うことはまれだ。移民のためというだけあって、貧しい国で苦労してきたという人が多く、そんな仲間に混じって英語を勉強するとは、日本にいては全く想像できない状況である。1年以上前、3ヶ月間だけTOEFLのクラスを受講してみたが、大学に進ませるべくそして進むべく、講師も生徒もみな必死だった。母国で大学を卒業して、大学院を修了し、博士号を取って、英語もろくに話せないのに就労許可証を携えてお気楽にやって来る僕とは大違いである。そんなクラスの中で講師のJeanが耳にたこができるほど叫んでいた言葉が"Use it or lose it."である。英語だけではない。習ったら使っていないと、何事もきれいさっぱり忘れてしまう。